神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

Hi-νガンダムとナイチンゲールと

ナイチンゲールとHi-νガンダム、そしてβ・アジールについての話題。
この記事は多分に憶測を含む。

やっぱりゲームで有名になったのでは
Hi-νガンダムは小説版νガンダムがルーツなのだが、実際に有名になったのはおそらくゲーム、それもSDガンダムの出るゲームだった。
現在のデザインを確立したのが90年のホビージャパン作例であることは間違いなく、名前の発祥はガレージキットであるらしい。
だがそれらが有名だったとしても、その後のガンダムシリーズの盛り上がりやスパロボの隆盛はもっと大きく、90年代末のゲームで活躍した記憶のほうが強い人も多かっただろう。

「非公式」なHi-νガンダム
RX-93-ν-2 Hi-νガンダム。「急いで作った劇中のνガンダムと違って、十分時間をかけて作られた完成版νガンダム」という感じの設定が90年代末までに存在していた。
つまりネオジオン戦争の歴史がちょっとばかり違うifの入った後継機といった感じになるのか、アムロがいなくなった後に誰かが作った後継機なのか、いずれにしろνガンダムの上位機という書き方がされていた。
デザインは小説版が元ネタだが、設定は小説版と異なる。それがよく知られたHi-νガンダム
この設定は99年以降にGジェネZEROなどのゲームで有名になったものだと思われる。時期的には98年の「データコレクション 逆襲のシャア」の設定を引いたようだ。
少し後に出たスパロボの場合、小説版が元ネタであることは知っていたようで、そのことに触れながら「近年後継機というのが公式設定になったようだ」みたいな憶測の入った書き方をしている。先に出ていたGジェネ設定のほうを参考にしたのかもしれない。こういうのを読んだプレイヤーは、普通はこういう「公式設定」になったのだと考えるものだ。
ちなみに最初の作例は青のほうが近かったようで、紫色にしたのはデータコレクションのような気がする。何のために?わからない。ともかく主要なゲームでは紫色で出ることのほうが多かった。

Hi-νガンダムの「公式」設定化
マスターグレード化の際にデザインが変わったのは周知の通りで、このデザインが「公式設定版」であることを繰り返し強調している。過去の体型から変化し、カラーも紫色ではなくなった。
もうひとつ重要なのは、このときに設定も小説版のものに変わったことで、Hi-νガンダムは短期間で開発された機体である、つまり本来のνガンダムと同時期のものであることになり、強化版ではなく同ランクのパラレル的存在であることが示された。
同時に、ゲームなどで知られる設定は非公式設定であったことも強調された。
でも、その設定の元はゲームではなくデータコレクションだ。
だいいち「Hi-」νガンダムという名前が生まれた時点で、後継機的な想定もされていると考えられる。データコレクションがこの設定の初出かどうかまでは知らない。

ガンダム界において、ゲーム由来の設定は非公式設定だという線引きは、どうもあるらしい。どちらかというとゲームの開発者側にその意識があるようである。
だが、よく知られるHi-ν設定が非公式だと言う現在の見解が間違っていないのであれば、データコレクションは明確に非公式本だったとことを意味する。スパロボGジェネはそれを公式設定だと思い、使ってしまったと。
そうなのか?
そうかもしれない。

なぜデザインを変更する必要があったか?
ゲームで有名になったHi-νガンダムはSD体型の印象が強いということであれば、体型変更してもゲームプレイヤーの印象としては大幅には変わっていないと考えられた可能性はあるかもしれない……
データコレクション持ってる人間も90年の作例を覚えてる人間も、割合としてはそこまで多くはないだろう。
だけど思い入れが強いのは、そのルーツを知る人たちの中にいたとも思う。

デザイン変更を主導したのがデザイナーなのかどうかも定かでない。
まったく根拠のない憶測を書くが、
Hi-νガンダムの過去の設定とデザインは非公式なものであるとして、それがゲームによって公式設定と誤解されている状況だった。
だから、非公式設定に基づいて商品化される実績ができることを恐れた人がいるんじゃないだろうか?
であるから、デザインを変更して作り直すことで、過去のものを非公式として切り離す必要があった。
なおかつ、新デザインをSD化した際に違和感のないレベルであれば十分と考えた、かも…

スパロボは公式化以降のHi-νガンダムを出していないという。たまたまなのか?

ナイチンゲールの場合
これも本来は小説版サザビーみたいな扱いだったはずだが、いつしかHi-νと同じくサザビーの後継機という設定ができていた。
現在の設定画の初出はB-CLUBだそうだが読んだことなし。
サザビーの上位機扱いの設定は、やはりデータコレクションで確認できるが初出不明。設定では画稿で確認できない隠し腕がついてることになってるが、これも初出不明。
さてナイチンゲールも「RE/100」シリーズで商品化されたが、過去の設定画からの大幅な変更はなしで、公式化宣言もされていない。
ただ設定は小説版準拠で、サザビーの後継機としての解説をしていないようだ。やはり後継機というのは非公式設定だったのだろう。隠し腕もついてないが、存在するのかどうかが怪しいのだ。
ナイチンゲールが設定化された経緯については、各誌ともHi-νガンダムほど詳しく説明はしてくれていない。

β・アジールはなぜ消えていた?
話は飛ぶが、CCA-MSVに「β・アジール」というのがいる。他のCCA-MSVと同様、α・アジールのプラモの説明書に載ったものだそうだが、なぜか他のCCA-MSVと違って長らく資料集に掲載されていなかったことで知られている。
2009年以降は一部資料に掲載されるようになったが、過去に掲載されていなかった理由は今もって謎である。
このβ・アジールナイチンゲールの存在を前提にした設定だそうだ。
ナイチンゲールが非公式であったとする。それを前提とするβアジールは、同様に非公式なものとして扱わざるを得なかったのではないだろうか?
そう考えた人間が、資料の編纂者の中にいてもおかしくはない。
ナイチンゲールの設定をデータコレクションに載せた時点でβ・アジールは載せても良くなっていたのだが忘れていた。ナイチンゲールは非公式なのに資料集に載るようになった。
で、ナイチンゲールが事実化するうちにβアジールを消し去る理由がないことに気付いたから戻ってきた、そう考えればつじつまがあう、気がする。
これも憶測である。ガンダム界には不明なことが多すぎる。

パチモン商売
ネット以外ではほとんど黙殺されているのだが、何年か前からガンダムの中国製のガレージキットやプラモデルが出回るようになっている。もちろんすべて非公認。造形はどうもコピーではなくオリジナル。オリジナルだからといって許されるわけではない、海賊版そのものなのだが。
これらは日本製の存在しないMSが好まれるようなので、Hi-νガンダムもMG化以前にあったようだ。MG化はそういう動きへの対抗という見る者がいたのも確かだ。
今話題のHi-νガンダムのHWSだが、実は中国製では既にあったものだと聞く。
海賊版キットは存在するのは事実なのだから、話題そのものをタブー化するのもどうかと思うし、かといって普通の正規キットのようにレビューする人がいるのもおそらく正しくないと思うんだけど…
制作側は海賊版キットの存在を完全に黙殺する姿勢のようなので、今後もこういう勘ぐりに対し否定も肯定もしないだろう。