神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

まとまりのないバーザム情報集

この2,3年くらいで急に商品化されてきたのが近年のバーザム事情である。
もちろん良いことだ。
バーザムとは、ちょっと目立たないだけの普通の量産機であって、難しい設定とかマイナー資料とか前提でなきゃ話題にできないような状況になってしまうのはおかしいのである。まだ限定販売だったりもするが、多少は気軽に語れるような状況に近付けたんじゃないだろうか。
誰もついてこれないマニアックさに魅力は感じない。

そういう考えが本ブログの前提にあるのだが、今回はそういう前提とは全く逆の話をする。
今回は単独記事にまとめるほどでもないが故に、ネット上でもなかなか見つからないバーザム情報をまとめて叩きこみたいと思う。
誰も興味がないような情報とも言う。

とはいえ、わかりにくい話をする前に、基本として公式サイト系で読めるものをまとめる。
プレバンのROBOT魂バーザム
下のほうに結構詳しい設定あり。これだけで十分だ。ウィキなど参考にする必要はないぞ。

エウティタDXのバーザムリンク切れ
シンプルにまとめてある。
ガンダムvsZガンダムの公式サイトにも画像だけ載っているが、設定未掲載。

新約Z「星の鼓動は愛」の公式サイト
新約の公式サイトだけガンダムMk2ベースという設定を掲載していない。既存武器を使えるという設定は古い資料にも多い表現なので、参考にした本がそっちなのかな?
ただし新約のパンフレットではMk2設定で載ってる。
TV版のサイトにもいるが、設定未掲載。

これら公式サイト情報に何らかの不満を持った人もいると思うが、その人は既に何かをこじらせている可能性が高いので自覚してほしい。

星の鼓動は愛のパンフレット
ガンダムMk-IIの基本設計をベースとしながらも、総合性能のさらなる向上を図っている。
Mk2より強いのか!?

1/220バイアランの箱
バーザムはプラモ化されていないせいで設定がまとまっていないが、実は当時のプラモでバーザムについて語ったものが存在していた。それも説明書ではない。箱だ。
いつものことながらこちらの通販サイトで読める。
>RMS-154“バーザム”と同様に、連邦軍ティターンズ)によって、大気圏内(主に地球上)での局地戦闘用に開発されたのが、このバイアランである。
つまりこの文面からバーザムも大気圏内用モビルスーツだったことは確定的に明らか
初登場が既に宇宙じゃねーかという指摘に対してはバイアランも宇宙で活動可能ということで完全に論破できる。

小説「機動戦士Zガンダム」3巻
富野由悠季がアニメと並行して執筆していた小説版。バーザムは3巻PART15に登場。アニメと同様、キリマンジャロ上空のアレキサンドリアで、ハンブラビと共に新型のモビル・スーツとして登場。ヤザンハンブラビ隊を支援する。
その評価は
>そして小粒ながら支援モビル・スーツ、バーザムは、小回りが利く。
設定上では妙に大柄なバーザムだが、それに似合わない珍しい表現がされている。この小説ではジ・オなどがアニメ版と違う設定で出てくるが、バーザムも変わったのかもしれない。
(バーザムは本来小型機としてデザインされてるのではないか?と自分は予想しているのだが、その予想の裏付けとなるものはこれくらいしか見つけてない)
なお戦闘シーンについては、リック・ディアスと戦っている様子が見られるが、武器が何だったかさえ描写されていない。
また角川スニーカー版の小説Zでは口絵にモビルスーツの解説とイラストがついているが、バーザムは無かった。
小説内にある「小粒」以外の具体的な設定はない。

ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑【PART.2 グリプス戦争編】
89年にバンダイが発行したZ、ZZの設定解説本。現在のMS大全集の前身にあたる本のひとつで、公式資料扱いらしいのだが、古い本なので現在通用していない設定も結構ある。
バーザムについては、Mk2ベースという設定をまだ記述していないが、特異な記述はなし。
それはともかく56ページ、グリプス時代の連邦軍RMS/RXナンバー、開発拠点コードが現在のものと違っている。
10:グラナダ
11:ルナツー
12:ソロモン
13:旧ア・バオア・クー
14:グリプス
15:軍事機密のため不明
16:キリマンジャロ
17:ニューギニア
18・19:ジャブロー
現在と違うのは14、15、17。この本の設定ではバーザムRMS-154の開発拠点は不明、しかもニューギニアではないようだ…
ていうかこれだとガンダムMk2ニューギニアになるが、同じページに「例外は大戦中の機体の改造機で、ナンバーを踏襲している。(MS-17B→RMS-177)」という説明があり、ガルバルディβの型番RMS-117を間違えてるが、ガンダムMk2はどこで開発されてもRX-178になるのかもしれない。ならないかもしれない。
まあ死んでる設定なのは明らかなので、気にしても仕方あるまい。
個人的予想ではバーザムをニューギニア製にしたのはPROJECT Zじゃないかと思うなのだが、15=ニューギニアというふうに型番と拠点を結びつける設定をモデグラ系列がいつごろ採用したかは未調査。
センチネルの時点では15:ニューギニアとなっていて、現在通用するものとなっている。
また現在のものは14がペズンになっており、センチネル由来のものであることは確実だろう。

このPART.2にはバーザムのデザイナーである岡本英郎氏がイラストを描いていて、バーザムも描かれていた。

EB2のバーザム

他のMSはそうでもないのだが、このバーザムだけはかなりアレンジされている。手にはPROJECT Zでデザインしたのと同じグレネードランチャー。左肩にはビームライフルがある。いつもバーザムのビームライフルは右手にしか持ってないが、これはいつものビームライフルとデザインが違うみたいだ。

ENTERTAINMENT BIBLE.3 機動戦士ガンダムMS大図鑑【PART.3 アクシズ戦争編】
このPART.3もイラストを岡本英郎さんが担当しているのだが、「ペズンの反乱」のページにバーザムらしいものが描かれている。

EB3のバーザム

バーザムだと思う。
センチネル版を参考にしたものかどうかは不明だが、明らかにTV版バーザムよりガンダム系の特徴が増えている。発表時期はセンチネルでバーザムが登場したのより後らしいので、たぶん参考にしてるんだ思うが、センチネルバーザムと同一のものでもない。

総解説ガンダム辞典Ver.1.5
2009年発刊。皆河有伽による宇宙世紀ガンダムシリーズ解説本で、1.5には個別MSの解説もある。
この本の多くの記述は既存設定を集約したもののはずだが、ときどき見慣れない設定があり、Mk-IIとの関係についてエゥーゴ奪取以前の機体データを基に設計されていたものを、ティターンズ系の技術者が設計変更した」と書いてある。
この「ティターンズ系による設計変更」、この総解説以降によく見られるようになるのだが、発生源は99年の旭屋のフィルムブックらしい。この2009年の時点で10年越しに表に出てきてたようだ。(2005年のガンダムファクトファイルにはない)
この設定はMISSION ZZのハーピュレイの設定に似てる気がするが…ていうかガンダムMk2自体ティターンズ系技術者じゃないのか。
他にも、「ジムIIの1.5倍程度のコストを実現するため、一部にフレームが装甲と一体化する形で剥き出しになっている」「大出力ジェネレーター、大推力スラスターを搭載した結果、軽量化につながらなかった」と、何となくスペック表やデザインから導出したような、あまり過去の本で見覚えのない記述が並んでいる。

機動戦士Zガンダム 機動戦士Zガンダムフィルムブック (パート2)
90年代末に登場した旭屋出版のフィルムブックシリーズは特殊な本である。アニメ各話の解説、用語集、解説なんかが充実している本なのだけど、非公式本らしいという情報があるのだ。
特にZガンダムフィルムブックについては、書いたライターの一人らしい人?がサンライズ校閲を出してないと自サイトで語っている。
その真偽は定かでないが、この証言を裏付けるように、他の本で見ない独自設定が何点か見られる。
非公式本と書いてあるわけじゃないので、本当に非公式かはよくわからないし、なぜか「著者:サンライズ」という恐ろしいことになっているが何でかは知らん。
わかっているのは、このシリーズの設定は特異なものが多いことと、後に引用された設定はあまり多くないこと、そしてGUNDAM OFFICIALSがこのシリーズを引用していたことだ。
少なくとも皆河有伽は公式本と同等の資料として扱っていたらしく、GUNDAM OFFICIALSだけでなく、総解説ガンダム辞典にもこのシリーズの設定が反映されている。
「独自設定をほとんど創作していないはずのOFFICIALSや総解説ガンダム辞典に散見される見慣れない設定」の発生源を探すと、だいたいこのシリーズらしい。
バーザムの「ティターンズ系技術者による設計変更」も、今のところこの本由来だと思われる。
バーザムについての記述は3箇所あり、最も多いのは204ページからの「続・第二世代のモビルスーツ」という記事。
「コスト的にはジムIIの1.5倍程度でありながら、」
ティターンズ系技術陣によって設計変更が行われた結果、その外見は似ても似つかないものになっているものの」
百式同様にむきだしになっているフレーム部は、装甲と一体化した、従来のものに比較すると簡易版とも言うべきシステムになっている。」
「大出力のスラスターエンジンを搭載した結果(中略)全体として軽量とは言いがたい機体となってしまったのである。」

総解説の見慣れない記述と同じものが全部見つかった。
他に廉価版のバーザムには難しいけど、微調整すればGディフェンサーみたいなのが装備できたかも…と恐ろしいことが書いてあるので、こっちも採用してほしかった。

ガンダムコンバージ

コンバージバーザム

また「ティターンズが仕様変更」だ。旭屋の設定ではなく、総解説をベースにアレンジしたような感じ。
ムーバブル・フレームとガンダリウムの使用は量産機としては高性能って書いてあるけど、ネモやマラサイと何か違ったっけ。ネモは本によってムーバブルフレームと明記されてなかったかもしれないけど。

アニメ「機動戦士Zガンダム
バーザムの初登場回が機動戦士Zガンダム第35話「キリマンジャロの嵐」であることはもはや説明するまでもないほど有名なことだが、この35話のタイトルのせいでキリマンジャロ基地にバーザムが配備されていたと割と誤解されていた。
あらためてここで確認しておくが、アニメのキリマンジャロ基地にバーザムの姿はない。
しかしジェリドのスードリ部隊に入っていたので、地上のどこかには配備されていたはずである。
アニメで見えなかっただけで、キリマンジャロにもいたのかもしれない…

アニメ「機動戦士ガンダムZZ
確認の意味で書いておくが、バーザムはZZに一度も登場していない。
「ZZのダカール戦にバーザムが出ていた」という情報がごく稀に聞こえてくるが、これはドワッジ用ヒートホークを持ったザクマリナー」が何かよくわかんない感じに描かれてたので「ビームライフルを持ったバーザム」と見間違えたものと思われる。
こちらのブログで言及されていることによると、ファクトファイルのどこかの号でもこの誤認が書いてあった?未確認なのでどんなふうに書いてあったかはわからない。
余談だがハイザックマラサイガンダムZZでもレアキャラクターのように出てくる回が複数ある。

GジェネレーションF
バーザムの生産キャピタルは15400で、型番RMS-154から覚えやすい。
この数字になってるのはFだけなので偶然だろう。

PROJECT Z
モデグラのムックのひとつで、Zガンダムの機体の作例やオリジナル設定、番組スタッフによるコメントなどが載った本。
とりあえずバーザムはRX-178ベースだと明記してあって、Mk2ベースである旨を文章で明記したのはこれが初出ではないかと考えられている。
とりあえず自分もそう考えている。
ただ、この本は公式資料ではないようだ。ハーピュレイなど、この「PROJECT Z」オリジナル設定の機体はムックの独自設定というスタンスで書かれているっぽい。
だからバーザムはオリジナル機体じゃないけど、この本のバーザムの設定も公式設定とみなされたものではない、気がする…
だけど、この時点で明かされていなかった公式設定を基に書いたものなのかも…

モデグラ系以外はかなり後までこのMk2ベース設定を採用しなかったことは確からしい。ENTERETAINMENT BIBLEなどでは全く触れていない。いつごろを境に公式なものとみなされるようになったかも不明。

MISSION ZZ
PROJECT Zの続きのムック。バーザム自体は載っていないが、85ページに、ジム3のデザイン経緯についてこういう記述。
>リックジムと並行してデザインワークが行われ、このGMⅢもベースはジムⅡである。機体の発達はガンダムMk.Ⅱ→バーザム→GMⅢと考え、部分的にガンダムMk.Ⅱのパーツを使用している。
どうしてそこにバーザムの名前が?!
ジム3のデザインにバーザム要素など全く見当たらないが、バーザムがMk2系でジム3のお兄さんという認識が制作サイドやデザイナーにあったことの裏付けになるのかもしれないし、ならないかもしれない…
この認識がPROJECT Zに由来するのか、近藤和久の漫画の影響なのか、最初からそういう設定だったのかもわからない…
この記事書いたの誰なんだろう。

バーザムはガンダムMk-IIがベースという設定について
わざわざ書くのも嫌なんだけど、書かないとまた自称詳しい人から何か言われそうなのではっきりさせておきたい。
当記事を書いてる人はバーザムがガンダムMk-IIベースの量産機という設定に問題を感じていない
現在出ている情報を総合する限り、Mk-IIベース設定は近藤漫画もしくはモデグラ設定に由来する後付けであると、断定はできないのだが、その可能性は高いと考えている。
だがそれがどうしたというのか。後付け設定なんていくらでもあるぞ。デザインに共通点がない?リック・ディアスとディジェだって全然似てないぞ。

特に「公式」作品であるAOZでMk2設定に触れていないことなどを根拠にして、Mk2ベース説に否定的な人も見かけるが、AOZに明確に否定が書かれていた事実もない。しかもAOZ自体センチネルの影響が端々に見られる作品だ。
AOZだけを根拠にデータコレクションと総解説ガンダム辞典1.5と星の鼓動は愛のパンフレットとMS大全集2013とGジェネとファクトファイルとパーフェクトファイルとROBOT魂を全部非公式設定として切り捨てることができるのかと。
AOZだって後付けであることに変わりはないし、見た目で言うならヘイズルだってMk2よりはバーザムに近いかもしれないけど、そんなに似てるわけではない。
仮にAOZだけが唯一の公式で、他の資料は全部有象無象の非公式だと言いきれる人がいたとしても、その主張が万人に受け入れられるほど説得力を持っているとは思えない。
AOZではバーザムはMk2じゃないし、それだけが現状唯一の公式!と個人で主張されるのは結構であるが、現状僕がその意見を支持することはないし、僕以外の支持もあまり得られないと思う。その主張にはもう少し決定的な根拠が必要だ。
「AOZの作品内ではMk2解釈を支持していない(かもしれない)」という見解であれば否定はしません。しかし、それが他資料に優先したり強制されるものではないです。
もちろん、AOZがMk2解釈を書いてないこと自体を批判するものでもありません。

股間の形状について
バーザムの股間部はどうやら平坦な形状でデザインされていたらしく、凹み型は見間違いに由来するものだと思われている。
しかし凹み型も定着度は高く、ROBOT魂では二種類の股間から選べるようになった。
この解釈問題について、最初に凹み型にしたのが近藤漫画という説明をしている画像も出回っているが、たぶんそんなことはないということも書いておきたい。アニメ本編で既に凹み型で描かれているわけだし。
まあこれも「平面型が唯一の正解!」というふうに言いきらないでほしいです。
何で正解を一つに定める必要があるんですか。

BFTのバーザム
ビルドファイターズトライにはバーザムも出てきたが、ここでは10話で登場したHGUCバーザムの箱について。
構図はHGUCガンダムMk-II(ティターンズ仕様)をそっくり真似たものとなっていた。商品番号は154。現実のHGUCだとマツナガザク。
股間部は線だけ見ると平面型のものに見えるが、赤い部分に立体感のある変なグラデーションがかかっていて、正解など決めさせるかという意思を感じる。

スクコマンダー

この横井孝二氏のツイートによるとマスクコマンダーのモチーフにはバーザムも入ってるのかもしれないし、入ってないのかもしれない。

よく見るバーザム外人

コラ画像

よく出回っていて本物と信じてる人もいる画像だが、これはコラ画像である。かなり精度が高い仕事なので判別は難しいが、バーザムの字周辺をよーく見るとフォントの微妙な形状差が見えるはず。
しかしながら、コラ元画像は現在ネット上に存在していない模様。
調べたところ、元になったのは2008年1月18日放送のTBS「ランキンの楽園」で放送されたものだそうである。
裏付けとして、当時の2ch実況スレをあさってみた。

実況 ◆ TBSテレビ 11650 上戸彩石原さとみ
http://live23.2ch.net/test/read.cgi/livetbs/1200645302/
ランキンの楽園
http://live23.2ch.net/test/read.cgi/livetbs/1200650142/

19時5分ごろにガンダムについて語っているレスが確認できるが、バーザムに反応したものはない。
いいちこれがバーザムだったら実況ログなどなくても末代まで祭りになったはずだ。なってないということは、そういうこと。
なんか元はガンダムキュリオスだったのかな?どこかで聞いた話だと「日本ではもう売ってるんだな…」というような字幕だったようです。
なお、ツイッター上でこの画像を拡散しているアカウントが無数に存在しているが、ほぼ全アカウントが同じ文面で投稿しているのでパクツイbot・スパムの類と思われる。

データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編Ⅱ](クソ本)
このブログでも何度か触れてきた本だ。明らかな非公式設定も意識的に載せてるのが特徴で、キャラクター列伝と言いつつ、モビルスーツの話もたくさん載ってるよくわからない本。
この宇宙世紀編Ⅱの21ページにアナハイム製MSの一覧解説があるのだが、MSAナンバーについて「幻となった008、0012、014タイプも存在する」と書いてある。
クロスボーンガンダムやGセイバーの画稿まで載ってる本なのに、MSA-008バージムは載せられなかったのだろうか。幻となってしまった。
バージムの型番MSA-008は、型番の規則的にはアナハイム製としか考えられないのだが、バージムに開発経緯を示す設定はない。アナハイム製っぽい文言が出てきたのは僕の知る範囲ではこの本だけ。
どうすればバーザムの後継機をアナハイムが作ることになるのかは割と謎だ。
余談だがこのデータガンダムという本、非公式設定込みのまとめ本のように見せかけて、この21ページのように微妙に設定を創作しているとしか思えない難儀な本なのだが(このページでも百式改の型番MSRはナガノ博士が関わってないナンバーという出典不明設定が書かれている)、先日読み返した際にシャクティの解説が小説版をベースにしながら、創作どころか原書を著しく歪めるような内容であることがわかったので、本書の扱いについて少し考え直したいと思った。

ADVANCE OF Z
最初に。AOZでバーザムについて詳しい設定が出たことは、ない。
バーザムについて、この初代AOZでの説明は以下の通り。
>(前略)また、TRシリーズによって得られた機体開発のデータは、ティターンズの新型MS開発に活かされており、T3部隊が担っていた役割の大きさを知ることができる。下の2機(注:バーザムと「次世代量産機」)のように機種によっては、部分的に基となった機体の面影を残している物もあり、MS開発の系譜を垣間見ることができるだろう。

建機ザム

これがAOZバーザム、いわゆる建機ザムについて直接説明している全てだ。バーザムはT3部隊の影響が見えるものとして紹介されているだけで、バーザムがどういう開発系譜のどういうモビルスーツであるか、建機ザムがTV版と違うデザインである理由は何なのか、このデザインのものは本当に生産されたものなのか。当初のセンチネル版のようにパラレルな存在なのか、そうじゃないのか。横の「次世代量産機」とかいうのは何か関係があるのか。
T3部隊の影響があるというのはT3部隊側から見た場合の説明であり、バーザム自体がT3部隊から発生した機体というふうに書かれているわけでもないし、そうじゃないとも書かれてない。
だから以下は勝手な考察、はっきり言えば妄想同然のものである。

AOZ版バーザムが登場したのは電撃ホビー2007年1月号。ちなみにムックVol.5に再収録されているはずだが雑誌しか持ってないので、以下はムックと内容は同じだという前提で話を進める。上のほうでも書いた通り、ガンダムMk-II系列とする説明は避けている。Mk2設定を否定しているんだろうか?
わからない。
とりあえず設定は上記で書いた分が全てなので、デザインについて。パッと見だとちょっとアレンジされてるだけで普通のバーザムと区別できないくらいなのだが、比較すると胴体が明かに違う。テレビ版の甲羅みたいな胴体に対して、こっちはより機械的なイメージだ。
この胴体、センチネルのバーザムに似せられているようだ。

胴体比較

並べるとわかりやすいが、コクピットハッチは形状がほぼ一緒だし、胸部装甲の角度、細い胸ダクトも、黄色の出っ張り部分の形状も類似。そして肩に露出したムーバブルフレームはガンダムMk2と共通の特徴だ。
TV版をアレンジしていて偶然似てしまったというレベルではない。意識してセンチネル版に似せているのだろう。
逆にTV版には全く似ていない。

肩について参考リンク:島国大和のド畜生『ガンダムmk2の肩問題』に関して

だから建機ザムはMk2系の機体として説明されていないが、少なくとも胴体フレームはMk2系の機体であるセンチネルバーザムを意識している、ひいてはMk2自体も意識したものと見ていいだろう。もっとも、似てるのはセンチネルバーザムであり、Mk2自体と共通しているのは肩だけなのだが。
また、センチザムと建機ザムの間にパーツ互換性がある可能性も見える。バーザムはヘイズルやTR-6と同様、胴体を丸ごと入れ替えることができるのかもしれない。ガンダムブレイカーみたいに。
ところでAOZ世界にセンチザムやテレビザムが存在していることは証明されていないが、それは深く考えず存在しているということにしておいてほしい。

胴体以外については、もう少し明確に系譜が示されている部品がある。
ムックVol.4に詳しいが、アドバンスド・ヘイズルの頭部センサーユニットについているのはバーザム風のモノアイだと設定画に明記されている。
また、アドバンスド・ヘイズルのソール部分すなわち大きいカカトもバーザムにつながるものだと設定画に明記されている。
ソール無しの時点での太い脚部のデザインも似せていたようだ。
AOZにおいては、バーザムはアドバンスド・ヘイズル由来の部品が比較的多いことがわかる。

しかしヘイズルを量産したのがバーザムという明記はされていない。
ヘイズルとかT3部隊の影響を受けた機体は山ほどいるというのがAOZの主張であり、バーザムもジ・オやハンブラビのように「ヘイズルなどが影響を与えたものの一つ」くらいでしかないかもしれない。
使用されている部品数から考えて「バーザムは比較的アドバンスドヘイズルの影響が大きい、かなり近いコンセプトの機体である」という程度には意識していると思われるが、はっきりした系譜はAOZにも書かれていなかった。胴体や腕はヘイズルのものではないし、T3系とみなすにしろ別のTRシリーズの影響を考慮すべきだろう。

胴体のフレームは先に言ったように「Mk2系列に近い何か」に見えるが、外装部分に注目するとハイザックキャノンの胴体追加装甲にも似せてあるらしい。
(そしてセンチネルのバーザムは胴体が二重装甲としてデザインされている。この部分を差し替えたものが建機ザムの胴体だとも考えられる)
また、それぞれ後で別に説明するが、リアスカートはハイザック[ヴァナルガンド]のもので、腕はギャプランのものを意識している可能性が最近出てきた。
建機バーザムはT3系に限らず、複数の機体の混合機としてデザインされていると見て良いと思う。思うのだが、繰り返すがはっきりしたことはどこにも書かれていない。
独特のバックパックだけは、今の情報でもよくわからない。

「次世代量産機」についても触れる。
アドバンスド・ヘイズルと比べると、脚部と頭部はそのままだが、胴体はプリムローズになり、バックパックは旧型のヘイズルのものに戻されている。
同じページに並べてあることから考えても、この機体が建機バーザムと対比した何かであることは間違いないが、ヘイズル系の新型機なのか?それともヘイズルの組み換え案として提示されているだけなのか?
「次世代量産機(コンセプトイメージ)」ってのはコンセプト機という設定なんだろうか、正式に設定画扱いされてないってことなんだろうか。謎である。

一つ考察を入れると、胴体がプリムローズであることから開発時期が制限される。AOZにおいてプリムローズの登場時期が結構後、0087年11月ごろであり、それに対しバーザムのロールアウト時期はニューギニア基地陥落前の0087年7月と考えられる。
だから「次世代量産機」はバーザムを作るために開発されたヘイズル系機体ではなく、既に開発されていたバーザムに近付けて作られたヘイズル系機体と考えるしかないのである。

この建機バーザムの前に出たムックVol.4には「ガンダムTR-1[ヘイズル]開発相関図」というのが載っており、そこに「次世代量産型試作機」という似たような名前の機体が出てくる。

次世代量産型

設定は「次世代量産型の実験用に開発されたヘイズル」
「次世代量産機」と比べるとバックパックが違っている(この画の時点で胴体はプリムローズになっているが、確かこの系譜図が出た時点ではまだプリムローズのデザイン出ていなかったはずなので、先出ししていたようだ)。
バックパックが違うとはいえ、名前の微妙な違いは単なる表記揺れのような気がするが、武器も違う。この機体のビームライフルとシールドは珍しいガンダムMk2型だ。この系譜図のヘイズル系でこれを採用しているのはこの「次世代量産型試作機」と、もっとMk2に似たパーツ構成の「次世代試作機」のみだ。
この2機は設定は違うが、名前は明らかに似ていて、装備も共通。「次世代試作機」と「次世代量産型試作機」、両者ともおそらくはMk2を意識して描かれているのだろう。
つまり「バーザムに似せてあるらしい次世代量産機の表記揺れと思われる次世代量産型試作機はガンダムMk2を意識したデザインであるかもしれない」
「らしい」とか「思われる」とか推測を何個も挟むが、AOZはバーザムがMk2系という設定を全部否定したいわけでもないのだと結論づけたい。
従来のMk2だけでなく別の解釈を追加しているということであり、過去設定の否定まではしていないのではないだろうか。

繰り返すが、AOZでのバーザム自体について具体的な言及は乏しい。以上述べてきたかなりの部分が本記事独自の解釈に基づくものであることに注意してほしい。
しかし建機ザムの画稿が載った本って、たぶん現在までに3冊くらいしか存在しないはずだよな…しかも2冊は雑誌、1冊はプレミアのついてるムックだし…
普通なら設定を論じられるほどメジャーな機体になってるはずがないんだけどな…

MS開発記録2
ヘイズルの立体アイテムのひとつ。商品情報はこちら
第2段に「次世代量産機」がラインナップされている。本体仕様はバーザムの横に描かれたものと同じ、武器はシールドブースター2個に、ヘイズル型ビームライフル2丁か?現物は見てないので知らない。

また建機ザム掲載号の電撃ホビー2007年1月号だが、たまたま同じ号に「MS開発記録」の第1段で再現できるヘイズルバリエーションの紹介も載っていた。その中にヘイズル・アウスラ量産機(仮)なる機体がある。

アウスラ量産機

写真わかりにくくて申し訳ないが、相関図の「次世代量産型試作機」の再現と思われる。名称が固まっていなかったことの裏付けとしてここで触れておく。
しかし胴体がプリムローズになっていないので再現じゃないのかもしれない。

刻に抗いし者
「ADVANCE OF Z 刻に抗いし者」はAOZシリーズの2作目。地上編4冊と宇宙編「エゥーゴの蒼翼」4冊の小説全8巻を中心に展開した。
Zガンダムの外伝小説としてとっつきやすく、前作の知識がなくても楽しめるようになっていて、結構おすすめなのだが、この小説は後半になってバーザムを異常にクローズアップし始めるという特徴がある。
どのくらいかというと、以下のような実績を達成している。
1.バーザムの試作機が故郷ニューギニア基地に配備されて実戦参加していたことを初めて示した。
2.バーザムがティターンズの人間から見ても異形に見えていることがわかった。
3.バーザムの量産はキリマンジャロで行われていたらしいことが明らかになった。
4.バーザムにハミル以外の名有りパイロットを7名追加した。うち3名女性。
5.反ティターンズ側の勢力に初めてバーザムを使わせた。
6.バーザムにメガランチャーを初めて使わせた。
7.エースパイロットの搭乗という実績ができそうなところをギリギリで阻止した。
8.バーザムにジェットストリームアタックを使わせた。(この小説ではバーザム以外も使ってる)
9.バーザムのバルカンポッドをたぶんストーリー内で初めて撃たせた。
10.しかもリック・ディアスに乗る名有りエースパイロットをそのバルカンで戦闘不能に追い込んだ。
11.バーザムの脱出ポッドがたぶん史上初めて発動した。
12.作者があとがきでバーザムのプラモを欲しがっていた。
13.0089年のネオ・ジオン残党との戦いにまでバーザムを参戦させていた。
このくらい達成している。

ニューギニア基地については、アニメの描写と後で出た年表などからバーザムの初登場は0087年11月ごろ、ニューギニア基地の陥落は7月ごろに定まっており、冷静に考えるとブランクがあった。ニューギニアでは試作だけで、キリマンジャロあたりで生産したのだろうという考察は以前からあったようだが、それを作品内で初めて明らかにした形になる。作中のものはまだ塗装もされていない試作機で、ガンダリウム合金の地肌がむき出しになっていた。それを実戦投入する地上ティターンズの厳しい状況についてのコメントがある。出撃後の状況は不明。
このバーザムは腰がないと明言されており、センチネル版の可能性は無い。
元は「当初グリプスで開発が進められていたティターンズ主力機の計画」なるものがニューギニアに回されてきたものらしい。単純に考えればこれはMk2系列の計画になると思うのだが、そこは明記していない。
でもグリプスでMk2以外の機体はありうるのだろうか。ベースがジム2だったら「主力機の計画」とかあやふやな表現にしない気がするけど。まさかハーピュレイとかいうんじゃなかろうな…それでもMk2の影響は無いことはないが…

「刻に抗いし者」で登場したバーザムパイロットは以下の7名。
宇宙に上がったアーネスト(本作のティターンズ側主人公。ロリコン)の部下として新たに配備された3人の女性、エスター・マッキャンベル少尉、メイジー・ハリス曹長、プリシア・ブラシウ軍曹。
バーダー少佐(ティターンズのエース)の部下のシミオン少尉、キンバ中尉、テーホー少尉。
そしてコンペイトウの反乱に参加した反ティターンズ連邦軍整備部隊のテイカーの7人だ。多すぎである。

バーザムに搭乗しそこなったエースパイロットは、本作屈指の強敵であるユーイン・バーダー少佐だ。失った乗機の代わりにガブスレイを回してもらうことになって、そのガブスレイの整備が間に合わなかったという理由でバーザムに乗る展開になったのだが、これは非常に意味が大きい展開となっている。
もともと彼は高性能のモビルアーマーを好むパイロットで、マラサイの性能に文句を言っていたような人物である。また機体の整備が遅れることを許さない場面もあった。そして本作のバーザムは兵士たちからその性能を絶賛されながら、よく読むとシミュレーター上はマラサイとほぼ互角ですとしっかり書いてあって、特に高性能というわけでもなかった。
ガブスレイの整備が間に合わなくてバーザムに乗るなど、それまでのバーダー少佐であれば論外なのである。
これは直前でキンバ中尉のバーザムに救われたことでの心境の変化によるものであり、マラサイでもガブスレイでもなくバーザムであること自体の意味が大きく、この小説はつくづくバーザムを象徴的に使うもんだと思ったものである。
作者の神野淳一先生が宇宙編3巻のあとがきで語ったところによると、TRPGで愛機として使っていた経験から個人的な思い入れがあるらしい。メガ・ランチャー装備が達成できたことも喜んでいるし、意識的に優遇していたことは明らかである。

ネオ・ジオン戦での登場は番外編『審判のメイス』の部分。このパートは単行本未刊行だがまだ読める。
http://www.gundam.info/topic/7640(公開終了。2022年現在コミカライズ版以外読む方法はなし)
「鹵獲バーザム」なるものが最終話で突然出てくるが、エウティタDXの鹵獲カラーだろうか。さすがに大した活躍はしていない。

鹵獲カラー

シャイニングガンダム

画像はエウティタじゃなくてガンダムvsZガンダム。
エゥーゴというよりシャイニングガンダム

ハイザック[ヴァナルカンド]
「刻に抗いし者」に登場したハイザックの大改造機だ。リアスカートにバーザム風のものが使われていることが設定画にも明記されている。
T3部隊ともニューギニア基地とも直接関係ない機体であるが、バックパック、頭部、ソール部にヘイズル系のものが使われているという。スカートもT3系の部品で、T3とバーザムのつながりを示しているのかもしれない。
小説での説明によると、ベースがハイザックなのは単に開発時の最新機がハイザックだったからのようだ。

ビグザムとバーザム
「刻に抗いし者」では、バーザム以外の全貌がまるで不明だったニューギニア基地についても掘り下げており、ここで開発されたマタ・ビリというビグ・ザムをモデルにしたモビルフォートレスも登場した。
……これは可能性として書いておきたいのだが、この小説のバーザム推しは度を越しており、作者は名前の由来くらい考えていた可能性は十分ある。
ニューギニア基地が出てくること自体が既にバーザムを意識しているのだろう。そこにもう一つの新メカが存在していた。無関係ではないかもしれない。
すなわち、のちにマタ・ビリと呼ばれるモビルフォートレス用に考えられた名前が本来バーザムで、試作MSのものに変わっていたとか、あるいはビグザム風のものとの連携を前提として開発していたからザムの名を持っていたとか。
バーザムとビグザムという二大ザムの接点が存在したかもしれないことを、ここに書き残しておく。

AOZ2作例
「刻に抗いし者」でバーザムの活躍についての反響は結構あったらしいんだが、フルスクラッチ作例まで作られた。
掲載は2012年4月号で、「刻に抗いし者エゥーゴの蒼翼ビジュアルブックコンプリートファイル」にも再録。ってこのムックも値上がりしてるし…
(以前は電撃ホビーの公式サイトでも写真が見れたが、残念ながらサイトがいつのまにかリニューアルされ記事も削除されてしまった)
製作は射水宏さん。古いガレージキットのパーツを少し使っているが、「ほぼすべてスクラッチ」とのこと。
>アニメ放映当時の設定そのままよりも若干現代風なアレンジも加えたいと考え、デザイナーの藤岡建機氏が以前『A・O・Z』用に描いたイラストも参考にしております。胸部や脚部などの形状はこれを参考にしつつ、(後略)
とのことで、TV版ベースながら胴体がTV版と違う形状になっている。と言っても建機ザムと同じというわけでもないようで、いわば射水バーザムと呼ぶべき新バリエーションである。股間は凹みタイプ。
ただし、この作例の機体は作中に登場した誰の機体とも書かれていない。
宇宙編4巻ではバーザムの上半身だけイラストも描かれたが、TV版ベースと思われ、この作例の個体ではなかったようだ。

本来のバーザムは脚部の側面装甲が内側と外側で非対称で、内側は平坦、外側は膨らんだ形状なのだが、この射水作例は外側も平べったい装甲になっている。これは建機ザムの画稿でもやや平べったい感じだけど、より平坦にアレンジしているようだ。
形状は平坦だが筋彫りは内外非対称になっている。

バーザム脚部
雑な図解だが。

バーザム足

バーザムの脚部側面、ブーメラン型の装甲は内側と外側で形状が違う。
しかし基本の前向きの設定画では外側がよく見えないためか、「両方内側になってる間違い」はけっこう見かける。後ろ向きの設定画と側面の設定画では外側の装甲がちゃんと描かれているので確認してほしい。
射水作例ではアレンジで両方平坦にしているようだし、他の人も間違いじゃなくアレンジなのかもしれないけど。

ガシャポン戦士NEXTプレミア2
AOZ詰め合わせ商品。なんでこのラインナップの中にバーザム?という感じだが、建機ザムの初商品化。
名称は「バーザム(A.O.Zver.)」。これが初めてつけられた名前ということになるだろう。
建機ザムの特徴である胴体をしっかり再現。建機ザムに武装は描かれていないので、ビームライフルはTV版のものが付属。
この商品も脚部装甲の形状間違いが見られる。本来は建機ザムの脚部装甲も外側と内側で非対称であるが、この商品は両面が内側型になっている。

近藤和久機動戦士Zガンダム
近藤ザムも両側面が内側型の装甲だ。これもアレンジかどうかは知らない。
近藤漫画設定では「頭部の羽根飾りはティターンズのシンボル、ファイティング・イーグルからきている。」という説明がされている。確かにそんな感じだが、近藤漫画以外でこの説明をしているものは知らない。
あと近藤漫画といえばグリフォンの存在についても触れておきたい。RMS-156グリフォン「旧式化しつつあるマラサイタイプの蘇り処置としてバーザムタイプの機体ポテンシャルを移動させた機体。」だ。
マラサイとバーザムの性能差って、アニメとかではっきり描写されていなくて、数字だけ見るとバーザムのほうが少し負けていたりする。バーザムを異常に持ち上げている「刻に抗いし者」でさえ、性能自体はマラサイと互角程度と評し無理やり褒めているのだが、近藤漫画ではバーザム>マラサイは明確のようだ。
実際どのくらいの強さでイメージしてる人が多いんでしょう。
あとグリフォンの型番は156でニューギニア製ということになるが、近藤漫画で型番と基地の因果関係があるかは不明。

バーザムとマラサイ
バーザムとマラサイの関係性だが、ほとんどの本で書かれていない。マラサイティターンズから見れば予定外で手に入ったものなので、設計時期を考えるとバーザムの開発にあたってマラサイの存在はあまり意識されていないのだろう。
あてにならないが表記上のスペックだけ見ると、推力だけバーザムのほうが上で、重量、ジェネレーター出力、センサー有効半径はマラサイのほうが上である。マラサイのほうが軽いので推力もそんなにアドバンテージになってるとは思えない。
しかしこれも数字だけの話である。

電撃HOBBY MAGAZINE 2012年6月号
おそらくムックなどに再録されないレア資料。特集「TITANS 蒼き巨人たち」でAOZの内容を含む設定解説もあり、ヘイズルの「次世代量産機」とバーザムについて言及あり。
>一方、ヘイズル自体の系譜は、TRシリーズのノウハウを注ぎ込んだ次世代量産機へと発展する可能性を秘めていた。だが、戦局が激しさを増し、T3部隊が実戦部隊へと昇格したためか立ち消えとなったが、ヘイズルの特色を濃く受け継ぐ機体がニューギニア基地で開発されることになる。それこそがRMS-154バーザムである。
この「立ち消えとなった」という記述は新事実だと思われる。
ニューギニアとT3部隊の関係が薄いことについては、コンペイトウから開発が移管されたのかも、ニューギニアで再現できたのがバーザムだったのかも…というようなことが推測を交えて書いてある。
>細部は次世代量産機と異なるものの、開発をニューギニア基地に開発移管された際、現地で実現可能な着地点として、バーザムという姿で再構築されたのではないだろうか。
断定はされていないし、個人的にはこの推測はしっくりこない。
この記事で言っている「次世代量産機」というのが建機ザムの横にいた次世代量産機と同じかははっきりしない書き方だが、スラスターやセンサーがバーザムと類似しているようなことが書いてあるので、ライターが想定しているのは実質同じものだと言える。
しかし、上で書いたようにあちらの次世代量産機はバーザムより後の機体の可能性が高いので、この特集記事のものが同一だと上手く説明できないことになる。
バーザムより後に次世代量産機のほうも残っていたのだとすれば、立ち消えになったわけではないということだろう。

Mk2系設定については触れていない。
バーザム周辺はAOZで明文化されてない部分を明文化する形で書いたのだと思うが、記事自体はAOZ公式見解というわけでもなさそうであり、レア資料ではあるが、それほど重要な資料でもないと思う。

ROBOT魂
ホビージャパン2013年10月号で突如「Ka signature」版のバーザムが発表された。
まずカトキハジメさんのコメントだが、
>私がバーザムを描くと、それがいつでもセンチネル版になるという訳ではありません。
これ誰に向けて言ってるんだ。
カトキ氏のことをバーザムに腰をつけてリファインしようとする怪人みたいに言ってる勢力が何処かに?

魂ザム

この画稿も10月号に掲載された。TV版のアレンジながら、首や関節部に見られた動力パイプらしいディテールが排除されており、肘関節もジム系のものに近い。頭部は胴体に沈む感じだったのが浮き上がっている。TV版と比べ、中身にジムやガンダムと近いものを意識していると思われる。肩のマーキング「AX」はアレキサンドリアの意。
この「魂ザム」はTV版に忠実な印象を与えながら、実際の所かなりアレンジされており、やはりこれも「カトキ版バーザム」と呼ぶべきものである。
おかげで僕はセンチネル版をカトキザムなどと呼びにくくなった。
なお画稿の肩にはムーバブルフレームのようなディテール?が追加されているが、これは商品には反映されていない。
股間部は立体タイプだが、でっぱり部が平面解釈に合わせるようにちょうど右上に来るように描かれている。

商品のレビューについては余所のサイトを参考にしてもらったほうがいいと思うが、一つ書いておくとこの商品は大きすぎる。Ka signatureは1/144が基準のはずで、商品のサイトには全高約134mmと書いてあるが製品は全く違い、自分で測ってみたところ、頭頂高約150mm、全高約176mmだった。
本来の設定は頭頂高19.4m、全高24.2mであり、頭頂高基準だと約1/129、全高基準だと約1/138のスケールになっている。
商品の144倍を考えると頭頂高21.6m、全高25.3mに相当する。(134mmなら19.3m)
まあHGUCも1/144より明らかに大きいアイテムもあるので、それらと並べるにはちょうどいいのかもしれないのだけど、10月号のコメントによるとカトキ氏はバーザムの設定身長が映像のイメージより大きいと考えており、その上であえて「設定身長を大事にしたいので、オーソドックスなMSよりも幾分大きい仕上がりを予定しています。」と言っている。しかしここまで大きいのはやはりおかしい。

11月号のボリノークとの比較

11月号の写真ではボリノークより大きいことについて言及があるが、実際はたぶんボリノークの姿勢が悪いわけじゃなく、この試作の時点で既にバーザムが大きすぎるんだと思う。
TV版バーザムを尊重した完成度の高い商品だけに、その点だけ非常に残念である。
まあKa signatureも1/144だと言ってたのは発表当初の話で、商品や公式サイトに1/144と書いてあるわけじゃないのだけど。

第4のカトキバーザム
カトキハジメは最初にセンチネルバーザムを描いて、次にGFFバーザムを描いたので、これまでに2回しか描いてないとホビージャパンで言った。そして3回目がROBOT魂だが、その翌月のホビージャパン2013年11月号に4回目が載った。

第4のカトキバーザム

これは商品化用のイラストではないようだ。これが魂ザムに対する何であるのか、ホビージャパン誌では一切説明していない。
再録の見込みがある画稿かは不明。たぶんされない。
一見するとGFF版と大差ないが、頭部だけROBOT魂版ベースの新規デザインになっており、センチネル仕様ではなく新個体であるとみなすしかない。
とりあえずこいつのことを「第4のカトキバーザム」と呼ぶことにする。

魂ザム顔比較

並べると魂ザムとほぼ同じだが、モノアイは緑に変更され、センチネル版の特徴である「Zガンダムみたいなアゴのあれ」がついており、バルカンポッドがセンチネルと同様にMk2型に変更されている。魂ザムをベースにセンチネル版に近付けた再アレンジである。
センチネルバーザムは魂ザムと部品に互換性があり、頭部を交換できたりするのだろうか?
上のほうで建機ザムはガンダムブレイカー的な機体かもしれないと書いたが、カトキハジメも同じようなことを考えているのかもしれない。
このポスターには後ろ姿の線画も掲載されていたが、GFF版の流用と思われる。

第4バーザムのスペック

スペック表も書かれていた。数字はセンチネルではなくTV版のものになっていて、武装にシールドが追加されている。SHIELDが誤字ってるが。

GUNDAM FIX FIGURATION
実はセンチネル・GFFのバーザムにシールドの設定は無い。
GFFの商品付属のシールドはバーザムにも装備できるが、「GUNDAM Mk-II」とマーキングされており、基本的にはMk2用のものと考えられる。

ガンダムバトルユニバース
2008年発売のPSPのゲーム。なぜかバーザムがセンチネル版で登場。それともGFF版か?
これもシールドを装備しており、Mk2型のものを畳んだ状態で使用している。
GFF版の盾は畳むとちょうどGUNDAM Mk-IIのマーキングが消えるようになっているので、それを意識したと思うのは考えすぎかもしれない。
このゲームはセンチネルも登場しているので、バーザムのデザインもそっちに合わせたのかもしれないけど、扱いはZガンダム枠。

第2次スーパーロボット大戦α
第2次スパロボαにセンチネル型バーザムが出てくるのは有名だが、他にもセンチネル機のグラフィックが描かれていたらしいという情報が流れている。
センチネルの参戦を見込んでグラフィックを作成し、それが上手くいかなくてバーザムだけが残ったのだろうか?
この情報については、真偽も含めて正確なところが確認できなかった。詳しくは別記事にて。

A.O.Z Re-Boot
Vol.2(2014年2月号)
この号ではTR-6の組み換えバリエーションおさらい。

ギャプランII

なんか[ギャプランII]から矢印がTV版バーザムに伸びている。
要するに[ギャプランII]はギャプラン的パーツを比較的使っているだけで、ギャプランではないということなのだろう。意味わかんねえ。
けどこれでAOZの見解がはっきりした。バーザムの腕はギャプランだった。共通点は肩のあたりにビーム兵器を接続できることで、前腕の形状も似ていて大変わかりやすい。
あとギャプランというと、ハーピュレイを意識してるのかがちょっと気になるかな…
この記事でハーピュレイの名前出すの3回目だが、ハーピュレイがギャプランガンダムだとすれば、このギャプランから作ったジム風味の機体という[ギャプランII]も思想は似ている。
ちなみにギャプランと矢印がつながってるのは[アドバンスド・フライルー]。

Vol.3(2014年3月号)
TR計画においてのバーザム(建機ザム)の立ち位置を解説していた。建機ザムの立ち絵が載った本は知る限りこれが3冊目。
TR-1の次世代量産モデルとしてアウスラを紹介している。あれ量産されてる設定あったっけ…?
とにかくTR-1はTR-6完成までの暫定で少数量産されたとのことである。
>また、主力量産機であるRMS-154との関係にも見られるように、TR計画と従来機の技術開発は一方向ではなく、相互に影響をし合っている。
本格量産されてないという資料もあるバーザムだが、ここでは主力量産機と明記していた。
相互に影響というのは、要するにバーザム側からもTRシリーズに影響しているということだろう。Vol.2でギャプランとの関係が示されたことからも、現AOZ設定においてもバーザムはヘイズル系だけから生まれた量産機ではなく、他の要素も関わっている。
まあギャプランとかもTR計画のうちに入っているのかもしれないけど。

RMS-154 バーザム
>TR計画においては、TR-1量産からTR-6配備までの繋ぎであり、拡張性を限定した廉価版量産機的位置付けにある。

TR計画から見た場合のバーザムの立ち位置はTR-1とTR-6の中間。このVol.3ではTR-1の量産はアウスラのことであるみたいに書いてあり、やはりアウスラの次の機体としてバーザムを考えているみたいだが、それだと時期的に説明が合わないんだ。アウスラの開発が思ったより早いんだろうか、うまい解釈が思い付かない。
とりあえず、どのへんにかは不明だがTR-6は割とバーザムの影響を受けているのかもしれない。やっぱりパーツの換装ができることだろうか。さっきから主張してきた「建機ザム=ガンダムブレイカー」説も少し説得力が増してくる。

ガンダムパーフェクトファイル
パーフェクトファイルは全号追ってるわけじゃないので、バーザムの話題を見つけたぶんだけ。

No.22「ティターンズのMS開発」
ここにもバーザムはティターンズ系技術者に設計変更されたと書いてあるが、この記事には何から変更されたのか書いてなくてよくわからない。
それよりもこの記事で重要なのは、UC0090年代のモノアイ排斥に関係して、MSA-008(RGM-87)バージムもこの時代に配備されてたかも、という予想が載っていることだ。
パーフェクトファイルは昨今のガンダム本の例に漏れず「ダブルフェイク」を基本的に扱っていない本なので、このようにダブルフェイクの中でもマイナー枠に入るバージムの名前が確認されたのは異質なことなのである。

No.103
バーザム単独記事の掲載号。一見すると特に目新しい設定はないけど、ティターンズ系の技術者(ニューギニア基地の旧公国軍系とされる)が設計変更を行って開発された」と書いてあり、旭屋発祥と思われる「ティターンズ系による設計変更」がセンチネルの「ニューギニア基地の旧公国軍系」と合体している。
実はバーザム及びニューギニアの技術者をジオン系としているのはセンチネル特有の記述であり、TV版バーザムではほとんど見かけない設定だ。
それをTV版に持ち込んだという意味ではちょっと新しい設定か?
あと、「脚部はフレームが装甲と一体化する形で一部が剥き出しである。」というやはり旭屋発祥設定が書かれているが、旭屋や総解説には「脚部」とは書いてない。腕部もそうなんじゃないだろうか。
そしてこのパーフェクトファイルの設定でもそうなんだけど、データコレクションの頃までに「本格的な量産はされていない」って設定が発生してるようなんだけど、これの初出はどこなんだろう。

No.165「ティターンズの軍事拠点」
ニューギニア基地の話題があり、「ニューギニア基地に佇むバーザムの後ろ姿」と思われるイラストが描き下ろしで掲載されている。文章での解説は特になし。背景がなんとなく南国っぽいのでニューギニアなんだと思われる。
イラストのカラーはテレビ版制式仕様。「刻に抗いし者」に登場したニューギニアバーザムはまだ塗装されていなかったので、そっちとは違う解釈になっている。

ゲーム類未確認情報 確認がめんどくさい
初出が謎の「本格量産されてない」って設定は、知ってる範囲ではデータコレクションが最古なのだが、それより前のゲーム関係に由来がある可能性があるかもしれない。というのは、GジェネFでこの設定が出ていることは確認しているが、初代からそうなのかは初代持ってないので知らないため。
もしくはそれより前のスパロボなどの図鑑かもしれない。またその攻略本なども。
そのあたりが最古かはともかく、データコレクションよりは古い出典あるんじゃないかと目星はつけているのだが、このへんのゲーム買うのはともかくやるのしんどいし…
ロボゲーばっかりやりたくないし…アンサガとか世界樹とかやりたいし…レジェンドオブレガシーもまだやりたいし…

データコレクション 機動戦士Zガンダム 上巻
ガンダムMk-IIを参考としているため、」と明記。PROJECT Zを別とすると、TV版資料でMk2ベース設定が出てくるのは手持ちの本ではこれが一番古いのだが、もちろん全部の本を読んだわけじゃないのでそのあたりは調べきれてない。
ニュータイプ100%コレクションやENTERATAINMENT BIBLEに由来する記述でないことは確かだ。
データコレクションはPROJECT Zを参考に書いたのか、センチネルを参考にしているのか、それとも別のネタ元があるのか。
まあ遅くともPROJECT Zの時点で存在してた設定なんだから、データコレクションで再採用されたから何か変わるというわけでもないかもしれないが。
引っかかってるのはMk2云々よりも「本格的な量産機とはならなかった。」という設定のほうで、この本で作った設定じゃない気がするんだけどな…
それとHi-νガンダムの記事でも書いたが、データコレクション自体も旭屋の本と同じように非公式本であった可能性は否定できない。前々から言ってきたように、公式な本などあるのかわからないし、公式と非公式で何が違うのかもわからないが。

MS大全集
意外だったのだが、データコレクションより後発のMS大全集98、2003にMk2ベース設定は記載されていなかった。その後の2006、2009は持ってないので知らない。
で2013のカラーページ
>当初、Mk-IIの量産機として設計されていたが、ティターンズ系の技術者が設計変更を行っている。
また旭屋由来と思われる設定だ。時期的に考えると直接は総解説を参考にしてるように見える。だからこの書き方だとMk2の開発者はティターンズ系技術者じゃないのかと思うので、この表現どこかで直したほうがいいと思う。
白黒ページだと
>MkIIのトライアルデータも取り入れられており、
ちょっと内容が違っているようだ。

無理やりまとめ
いい加減疲れてきたのでまとめに入るが、見れば見るほど、資料を統一して解釈するなんて無理だなあと思う。99年の旭屋の設定がなんで21世紀になって急に混ざってくるんだ。そりゃあ、そんなに突飛な設定じゃないとは思うけどさ。
そして意外に多くの資料で見られるのが「ジムIIの後継機」である旨の設定だった。むしろほとんどのTV版資料ではジムIIとの関係を書いていて、バーザムはジム系なのかもしれない。ただし「ジムIIから開発した」という表現ではないことに注意。
もちろんMk2ベースとする設定は、この10年くらいはほとんど全部で記載していると思われる。
そこまではいいが、この後の部分が資料ごとにまちまちだ。「コストが安い」「生産性を重視している」「独特の機体構造」「性能は高い」「特徴がない」「本格的な量産はされなかった」「既存MSの武器を使える」など、トッピングの部分が適当に選択されては入れ替わっている感がある。
総解説以降は新メニューとして「ティターンズ系による設計変更」「フレームと装甲が一体化」などが加わる。
このトッピングを全部載せるとクドくなるが、数種類をほどよく選べばそれっぽいバーザム設定のできあがりだ。熟考の末に選んでも、ランダムで選んでも、設定の完成度は大して変わらない気がする。少し工夫すればバーザム設定ジェネレーターを作ることも可能だろう。作らないけど。
たぶん似たようなことはバーザム以外のMSでも起きていると思われる。
それにしてもAOZ系のトッピングは全然ない。AOZ発祥のバーザム設定は今のところ電撃HOBBYの記事以外で採用したものを見たことがなく、公式外伝と言ってもムックはレア化してるし、このままではマイナー設定止まりであまり定着しないと思う。ドーベンウルフのセンチネル設定が定着したように、AOZ関係もちょっと反映していったほうがいいと思うんだど、現在進行形で設定が増えているので、すり合わせも難しそうだし…

今のところ、ROBOT魂バーザムが採用した設定は比較的定着度が高いやつだと思うので、難しいことを考えずにROBOT魂公式サイトだけで十分なんじゃないだろうかということを当ブログの公式見解とすることで、本記事は終わりとさせていただきます。