神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

ペズン・バーザムの名前について思うところ

F2ザクの正式名称って何だっけ?

いきなりだけどバーザム改というモビルスーツは非常に特殊な扱いを受けていて、詳しいことは省くが正式名称はあくまでバーザム。通称はバーザム改だけど、これは設定上の名前じゃなく本名はあくまでバーザム。
バーザム改という名前はガンダム世界内に存在していない。今のところそう呼んだ人間はガンダム世界にはいない、はずである。
このように現実で通用して商品名などに使われているが、設定上は存在しない名前を「公的な通称」と呼ぶことにする。
私が決めた。

「公的な通称」の条件は、雑誌記事なりゲームなり商品名なりで使われること。
そんな事例じたいがあまり無いので例を出すのが難しいのだが。やはり有名なのはウイングガンダムゼロカスタム、正式名称ウイングガンダムゼロ、最近の通称はウイングガンダムゼロ(EW版)。

* 銀翼の騎士ゼロカスタムがいるので、SD世界まで考慮する場合はゼロカスタムの名はガンダム世界内に存在するのかもしれない。

バーザム改の名はGFFの商品名と、ガンダムウォーのカード(GFFではなくセンチネルのデザイン)で確認できるので、「公的な通称」としては有効だが、実はこの二つしか使われてない(たぶん…)ので、その正当性は高くない。
評価するなら『アルトロンカスタム』よりは若干有効程度であろう。

* ゼロカスタムは設定資料にも書いてある名前なのでバーザム改よりも評価が高い。
* トーラスカスタムやサーペントカスタムのことは忘れろ。

近藤版バーザムや建機版バーザムに「公的な通称」は見当たらない。なくても近藤バーザムとか建機ザムとか呼んでおけば話は通じるので特に困らないわけだが。
バーザム改の場合は「私的な通称」は「カトキバーザム」であるが、これの公的な通称は他にもある。ガンダムセンチネルの設定ページのタイトルになっている『バーザム[リファイン版]』がたぶん正当性のある名称。しかし商品名としては使われていないし、呼びにくいのでイマイチだ。

もう一個が「ペズン・バーザム」
ペズンとはカトキバーザムの配備されていた小惑星ペズンを意味する。

この名が確認できるのは「データガンダム」という奇書で、多量のMSVが掲載されているページに、出典ガンダムセンチネルという名目でこっそり記載がある。
この本は非公式設定上等というスタンスの特殊な本で、このページだけでも明らかに非公式のもの(サイコガンダムMk-IVとか)も載ってるので公式設定としての価値は無に等しいのだが、この本はガンダムエースの名を冠した商業誌であり、書かれているものも非公式レベルながら決して捏造リストなどではないので、「有効な通称」として認められる程度の正当性はある。
そのはずである。

果たしてこれを認めていいものだろうか。
私は設定を好き嫌いで語る人であるが、ペズン・バーザムという名前については否定的です。

理由1:
最大の理由はペズンにしか配備されてないという設定があるわけじゃないこと。
原典であるセンチネルでニューギニア製の普通の量産機として扱われているのにペズン・バーザムという名前に決定するのは設定を歪めてるし、狭めてる。
もっともそれは改造機じゃないのに改をつけた「バーザム改」にも言えるわけだが。

バーザム改に後付けで設定を与えるなら、ペズン教導団仕様の改造型とか戦争末期の後期型とか位置づけるのはそんなに不自然じゃないと思うが(エゥーゴ的意匠がデザインに含まれているのは仮想敵の意でのアグレッサー仕様だからかもしれない。そこまで意図してデザインしているかは知らないが)、その設定であれば「バーザム改」で特に不具合があるとは思えない。
ペズン・バーザムは改造型ではなく、むしろ初期型とか別プランとか解釈したいのかもしれないので、その意味ではバーザム改より適しているのかもしれない。

理由2:
ルナツー・バーザム」と対比したネーミングに見えること。
* ペズン・ドワッジのほうかもしれないが。

近藤バーザムは電撃コミック版でRMS-115という型番になっていて。この型番はルナツー製の5番目の機体を意味する。
ただ、これは誤植の可能性が高いので、これをルナツー製とするのは無理やり設定を与えた形になる。

ルナツー・バーザム」は同じルナツー製のガブスレイよりかなり前に開発されていることになるため、絶対無理ではないが不自然な機体である。
* 一年戦争時の機体は順番錯誤してもいいルールがあるとのことなので、旧MS-17を引き継いだRMS-117ガルバルディβは大丈夫っぽい。

存在自体が肯定しがたいルナツー種との対比の意を含んでいるため、ペズン・バーザムはいただけない。
ところで近藤漫画にRMSナンバーのルール適用できるんだろうか。全肯定なら当然適用するでしょうが。

理由3:
3つ目の理由は設定の話ではなく、成立経緯に不審な点があることである。
ペズン・バーザムの名前の公的な初出はデータガンダムなんだと思うが、間違いなくそれよりも前に非公式考察界隈で発生している。誰が言い出したのかは定かでないが自然発生的なものと思われる。

バーザム改はあくまで商品名で、さらに言うと深い考えがあってつけられた名前ではなさそうであるのに対し、ペズン・バーザムは理由2までで述べたように独自考察を前提として生じた名前のはずである。
なのに気が付いたら本に載ってた。なぜ? 独自考察じゃなかったのか?
データガンダムという本は奇書である。明らかな非公式設定も(わざと)大量に扱っているのだが、中にはこの本が初出と思われる設定が若干ある、らしい。正直私もどこまでそうなのかよくわからん。
この本が初出の設定は、この本で創作した設定と定義せざるを得ないのだが、ただ「ペズン・バーザム」の名は創作する理由がない。既にバーザム改という名前があるのだから、一覧にもバーザム改と書けばいいだけのこと。ダメなら[リファイン版]でもいい。既に異名がいくつもあるのに、なぜ増やす必要があるか。

誰がデータガンダム、もしくはその元になった資料にペズン・バーザムを入れ込んだのか。この本の著者の岡崎氏なのだろうか。……岡崎氏はバーザムの議論してる掲示板とか覗いてたんだろうか?
この本、あんまりそういう雰囲気は感じない。ましてバーザムについて重点的に触れてる本でもない。そんな本がAOZ2の小説以外にあるなら見せてほしい。

とにかく、ペズン・バーザムの名前は誰か(岡崎氏なのかもしれないが、違うのかもしれない)が非公式の名称を公式的な資料に混入させたというふうに考えるしかない。
設定がどんどん増えるのは今さら止めないが、こういう不透明なやり方は嫌いである。
なお、この本が初出じゃないという情報をお持ちの方は教えてください。

理由4:
最後の理由だが、単純に流行ってないからです。
載った資料の知名度の問題もあると思うが、ぶっちゃけバーザム改も含めて全部非公式レベルの呼び方なのに、なんでその中でわざわざ流行ってないペズン・バーザムを支持する必要があるか、ですよ。
カトキバーザムの呼び名一覧の中に羅列するのを躊躇する程度には流行ってない。
逆に言うと今後「ペズン・バーザム」の名がどこかで流行りだしたら、上の1~3の理由はさほど重要でないわけです。