神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

ファンネルミサイルのこと

今回のテーマは「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」に出てくる武器「ファンネルミサイル」について。

よくある間違い
なぜか誤解が広まっているのではっきりさせておくが、「ファンネルミサイル」という名前はGジェネで設定されたものではない。確実にファンネルミサイルであるものが小説3冊の中に3回出てくる。

3回の内訳は、
・上巻のペーネロペーの設定に「ファンネルミサイルラック」がある。
・下巻86ページでペーネロペーが「ファンネル・ミサイル」を使用。
・下巻88ページでペーネロペーが「ファンネル・ミサイル」を使用。
よって、ペーネロペーの「ファンネルミサイル」は当時から存在する設定。
閃光のハサウェイ以前の富野小説でもファンネルを直接ぶつけて使っていた」という指摘もあるが、それもあまり関係ない話で、ファンネルミサイルはやっぱりファンネルミサイルであり、普通のファンネルではない。
正確にはガイア・ギアに出たファンネルミサイルのほうが先だそうである。読んだことないからわからないが。

Ξガンダムのファンネルミサイル

より厳密に言えば、Ξガンダムが使用した武器が「ファンネル・ミサイル」「ファンネルミサイル」と表記されたことはない。
だから「Ξガンダムにファンネルミサイルがあると明記したのはGジェネが最初」という厳密な指摘なら正しいかもしれないが……
下巻137ページでペーネロペーと同種の「ファンネル」を使っていることが明記してある。これはどう見ても「ファンネル・ミサイル」であり、それをGジェネの後付けと主張することにあまり意味はないと思える。
Ξもファンネルミサイルを使える。まず間違いなく、当時からそういう設定。

どこまでがファンネルミサイル?

下巻の86ページは「ファンネル」「ミサイル」「ファンネル・ミサイル」という3つの呼称全部が使われているが、文脈からは全て「ファンネル・ミサイル」の呼び方を変えたものとみて間違いない。

他のページにも「ファンネル」「ミサイル」の呼称でファンネルミサイルと思われるものが何回か出てくる。
このうち、「ファンネル」と書かれているものに関してはビームやレーザーを発射する描写はなく、全て直接ぶつけるファンネルミサイルのようだ。
「ミサイル」と書かれているものは、普通のミサイルとファンネルミサイルが混在しているようである。ミノフスキー粒子散布下でもミサイルが使用できないわけではなく、この小説では普通のミサイルも大変よく使われている。

ただ……引っかかる点があるのだが、どうも下巻86ページまでファンネルミサイルと思われるものは一度も使われていない。下巻86ページを境に、脳波で動かすミサイルorファンネルが急に出てくるようになる。このページで新装備として登場したわけでもなく、本当に突然使い始めるのだ。
ちなみに「ファンネル」という名前が出てくるのもこのページが最初だ。
また、このページ以前に何回も出てくる「ミサイル」だが、脳波で動かしていると思われる描写は一度もない。
もっとも、普通のミサイルだと断定できる描写も少ないが……。(中巻41ページでΞが撃っているものは普通の誘導ミサイルのようだ)
それまで使っていた「ミサイル」の中にファンネルミサイルも混ざっていたのか、それとも下巻まで出し惜しみしていたのかは定かでない。

上巻の設定画ページ

Ξガンダムの設定に「ミサイル」はあるが「ファンネル」「ファンネルミサイル」はない。
Ξガンダムの設定には脳波を拡大する「サイコミュブロック」があるが、何に脳波を使っているのかの説明はない。
ペーネロペーの設定にはファンネルミサイルラックはあるが、通常のミサイルはない。
ペーネロペーの設定にサイコミュに関する記述はない。

ファンネルミサイルは常識的に考えればサイコミュなので、ペーネロペーサイコミュ機として設定されているのだと思いたいところだが、実際にペーネロペーサイコミュらしい描写を見せる場面は下巻までなく、Ξに至ってはファンネルミサイルという設定自体が無い。
あまり設定が固まっていなかったのかもしれない。
しかしながら、小説版完結時点でΞ・ペーネロペーの両方にファンネルミサイルがあったことは疑いようがない。

補足。上巻の293ページで、たぶんペーネロペーの腰に、設定には存在しないミサイルが装備されている。(たぶんというのは、文章の書き方が微妙で、Ξ視点なのかペーネロペー視点なのかわかりにくい)
上巻の設定にない武器が増えていても特に驚くことではない。

ファンネルミサイルの利点

ファンネルミサイルは「脳波コントロール」できる(下巻137ページ)。
これ以外あまり詳しい説明はない。従来のミサイル、ファンネルの両方と比べた場合の利点、いろいろ想像はできるのだが、特に説明はないので、何か利点が説明されていたら全部後付けかファンの考察と思ってよい。何しろ「ミノフスキー粒子散布下でも誘導できる」という当たり前の説明すら小説では満足にされていない。

ファンネルミサイルが大気圏内用という設定に関してはGFF版の箱に書いてあったらしい(未確認)。
これも誤解があるがGジェネの解釈ではない。GジェネF当時は地上でファンネル使用に制限はなく、またGジェネNEO、SEEDは地上でファンネルが使えない設定だが閃ハサが参戦してないので関係ない。
一方「ギレンの野望アクシズの脅威V」も地上でファンネルを使えない設定を採用しているが、こちらはファンネルミサイルも通常のファンネル同様地上で使えない設定になっている。おかしいじゃんよ…

ニュータイプ用か否か

設定上、Ξガンダムにはサイコミュは搭載されているが、ハサウェイはニュータイプだと自覚はしていない(下巻41ページ)。ハサウェイにニュータイプ的な描写は特にされていない。なのにファンネルミサイルだけは抵抗もなく使っている。
この時代、サイコミュを起動できる、ファンネルを飛ばせる程度のパイロットは、既にニュータイプとは思われていないのかもしれない。

また、一般パイロットでも使えるサイコミュという可能性も否定できない。一般兵に使えるサイコミュ・無線兵器はガンダムZZの時点で設定されている。それから十数年後のΞがそうだったとしても特に驚くには値しない。

ハサウェイはニュータイプを自称していないが、やっぱりサイコミュを動かせる能力者としてのニュータイプ・特別なパイロットなのか、あくまで腕のいい一般パイロットにすぎないのかは、小説を読むだけならどちらとも取れる気がする。

一方、ペーネロペーパイロットのレーン・エイムについては、彼も脳波でファンネルミサイルを動かしているが、やはり他にニュータイプ的描写は存在しない。
その点での評価はハサウェイと大差ないが、彼については強化人間ではないかと推測されているシーンがある(上巻234ページ)。
ペーネロペーパイロットが強化人間か?と仲間に尋ねられたハサウェイは「さてね……そこまではわからなかったが、」と判断保留している。
レーンが強化人間である裏付けは存在しない。だがこの描写が意味するところは、この時代の連邦軍が強化人間を作っていたとしても、マフティーにとっては驚くに値しない、ということではないだろうか。
さらに言えば、ハサウェイ自身もサイコミュを使える程度の強化や調整くらい受けていてもおかしくないかもしれない。

Gジェネの設定

Gジェネの設定中でもファンネルミサイルの利点、開発経緯は特に説明されていない。

GジェネFのプロフィール(図鑑)では、Ξガンダムについては「さらにサイコミュも搭載しているため、通常のMSをはるかに上回る戦闘能力を発揮する。」とだけあり、やはり「サイコミュ」が具体的に何の作用かは文章化されていない。しかしながら武装のファンネルミサイルは通常のサイコミュ扱いとなっている。
一方ペーネロペー「準サイコミュシステムが搭載されており、ファンネルの使用も可能になっている。」なに?準サイコミュ
そう、なぜかあまり知られていない設定だが、Gジェネペーネロペーは準サイコミュと明記してある。ので、一般兵でも使える想定と考えられる。
だからレーン・エイムがニュータイプや強化人間でなくても何も問題ないのである。
しかし、ゲームの武装としてのファンネルミサイルはサイコミュになっているので、一般パイロットには使いこなせない。プロフィールと実際のゲームで設定が違っている。
このねじれた扱いは最新作オーバーワールドに至るまで続いている。ショットクローの扱いがシリーズごとに変化しているのとは対照的だ。
また、Gジェネのゲーム内図鑑以外でペーネロペーを準サイコミュと書いてある資料は記憶にない。

なおパイロットのハサウェイ(マフティー・ナビーユ・エリン)は、ステータス上はニュータイプになっているが、プロフィールの文章上ではニュータイプとの記載なし。
レーン・エイムも同様、ニュータイプになっているが設定上の記載はなし。
だから図鑑の文章よりも、実際ゲームで二人ともニュータイプだったという記憶のほうが残りやすいと思われる。
追記:ニュータイプ89年10月号に、レーンが強化人間と書かれていたとの情報をコメントでいただききました。