神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

「復活のF」や「神と神」とドラゴンボール年表の話など

ドラゴンボールZ 復活のF」公開から結構時間が経ったので、果たして「神と神」「復活のF」はいつごろなのか?という話についてなど、そろそろ整理してみたい。

◆年表から見る

ドラゴンボールには年表がある。
たぶんドラゴンボール大全集で作られたものだと思うが、この際初出はどうでもよい。年表の制作に鳥山明が関与してるかどうかは定かでないが、時系列は作中の描写に基づいており、割と信頼度は高い。

手元にあるのは展覧会「鳥山明 The World of DRAGON BALL」で販売されたパンフレットの年表で、おそらくこれが最新版と思われる。アニオリや「GT」、「神と神」も載っている。ドラゴンボール超全集にも同じものが載っているらしい(未確認)。
「神と神」の時期については、この年表ではっきりしており、「エイジ778年某月某日」だ。
年表ではブウ編のラスト(元気玉を使った日)がエイジ774年5月8日、原作最終話がエイジ784年5月7日となっている。
つまり「神と神」はブウ編から約4年後、最終話の約6年前。

「神と神」がこの年に決定された根拠は、パンの年齢と思われる。最終話のパンは4歳であり、年表でも779年生まれである。
「神と神」はビーデルの妊娠が周囲に気付かれていない程度の時期だから、パンの生まれる前年として特に問題はなさそうに見える。

◆原作だけから考えた「神と神」の時期

年表を無視して原作の描写のみを根拠に考える場合、最終話はブウ編の10年後ということしかわかっていない。しかも、正確に10年かは不明である。
(年表は天下一武道会の開催日が毎年同じという前提で書かれているらしい)
最終話のパンが4歳であり、年表より一年遅く生まれているとしても問題はない。神と神は年表では最終話の6年前だが、5年前でもいいかもしれない。

最終話の前日でブルマと悟空は「5年ぐらい」会っていないことがわかっている。神と神の時期に一致しているようにも見える。これは「復活のF」で覆ることになるので、やはり年表通りでいいかもしれない。

◆神と神~復活のF

「復活のF」の明確な時期は不明である。年表もまだ作られていない。

判断材料となる描写としては
・「復活のF」はパンが生まれてからある程度経っている。
・「神と神」で使ったドラゴンボールが回復している。
フリーザは復活してから4ヶ月~半年ほどトレーニングした。
・ブラが生まれていない。
前回の記事で書いた通り、フリーザの訓練期間が4ヶ月なのか半年なのかは不明であるが…
ドラゴンボールの復活にかかる期間は1年のはずであるから、復活のFは1年半程度後の話ということか?

入場者特典によると、本作は「AGE779頃」となっていて、前作の1年後程度になるが、具体的な年表は書かれず、時期もぼやかされている。
入場者特典の脚本では、フリーザ復活の日のパンは「1歳ほど」と書かれている。とすると、前作でビーデルが妊娠初期だったのだから、2年近く経過している気もしてくるが、「1歳ほど」というのは目安であり参考程度に思っておく。
フリーザ復活がぴったり前作の1年後だとすると、画面に出たパンはおよそ3ヶ月前後?
さらにフリーザのトレーニング期間は4ヶ月のだとすれば、パンは7ヶ月となる。これがほぼ最低値で、もうちょっと上に変動する可能性がある。
さて復活のFの時点でブラの姿が見えない。パンが7ヶ月だとしても、ブラとパンの年齢差は最低でも1年以上開きがあるようである。

◆ブラ

原作最終話前で突然出てきたブルマの長女ブラ。影が薄いのでGTのオリジナルキャラだと思ってる人もいるという。
ブラの年齢はパンと大差ないように見えるが原作ではわからない。年表ではパンの翌年エイジ780年に生まれているが、その年表が載った大全集の別のページではパンの前年778年の生まれになっている。どっちだよ?
GTではどう見てもパンより年上だったし、ブルマの娘が悟空の孫より年下ってのはちょっとアレな気がするが、「神と神」でも「復活のF」でもブラは生まれていないようなので、パンより年下説のほうが有力なようである。

◆神と神の時系列上の問題

ここまでの想定は、主にパンの年齢を基準に「神と神」を考えた話であるが…
これは別の場所でも書いた話なのだが、「神と神」は時系列的に不可解な描写が異常に多い。あらためて検証してみたい。

まずはブルマの年齢。「神と神」はブルマ38歳の誕生日だと言ってたが、年表を追っていくとブウ編時点のブルマは既に40代である。年表通りだとすればブルマは733年生まれであり、神と神も778年だとすればブルマは45歳である。7歳もずれている。
年表は原作の描写に基づいて書かれたものである。これを信じない場合、たとえば原作で5年後と言ってるシーンがあるが厳密には4年2ヶ月とかで、年表と多大なズレが生じていると考えてはどうだろう。それでも7年もズレができる余裕があったとはちょっと思えないが…

ここでブルマが年齢を偽っていると切り捨ててしまえば簡単なのだが、話はブルマだけにとどまらない。まずマイ。自己申告41歳でブルマの38歳より3歳上だが、年表上のブルマの45歳より4歳も年下だ。ということは初期のブルマ16歳当時に出てきたマイは12歳ということになってしまう。無茶だ!
マイの場合は肉体年齢はもっと若く、あえて偽った実年齢を告げる理由がブルマより乏しいとも言える。

マイも年を偽っている、もしくは12歳が正解だったということでスルーとして、まだ問題がある。トランクスと悟天がどう見てもブウ編から年を取っていない。精神面の成長もまったく感じられない。トランクスは12歳前後のはずだぞ。
だが、これには言い訳があった。神と神の後に発表された「銀河パトロールジャコ」で出た新設定で、サイヤ人は子供時代が長いのである。
14歳時(後述)の悟空があんなにガキっぽいのは、実はサイヤ人の設定どおりの描写だったのだ。
ということはハーフの悟天とトランクスも、ブウ編の4~5年後くらい、つまりトランクスならあんなもんじゃないのか?
と思ったが、TRUNKS THE STORY -たった一人の戦士-のトランクスは14歳くらいで、あちらでは年相応の少年トランクスの姿が見られた。
歴史が変わってトランクスの成長速度まで変わってしまったのだろうか。それとも12歳と14歳で決定的な違いがあるんだろうか。
それと忘れていたがクリリンの娘はサイヤ人じゃないのに全然成長してるように見えないぞ。

もう一個ある。惑星ベジータの爆発時期だ。ビルスの寝ていた時間が39年で、寝る前にフリーザに惑星ベジータの破壊を指示したとしている。だから消滅したのはそれより後でないとおかしいように思えるが…。
年表では惑星ベジータの爆発時期はエイジ737年、悟空の誕生した年で、ブルマ4歳のときの話となっている。原作第1話時点で悟空12歳(後述)とブルマ16歳で、年齢差は4であるので、年表でも整合性は取れている。
しかしブルマ45歳だとすれば、惑星ベジータの消滅は神と神の41年前であり、ビルス様が寝る前に既に爆発していたことになる。どういうことだろう。
惑星ベジータを破壊しといてと頼まれたフリーザ様は実はもう爆発させちゃってて、かえって報告しにくかったのだろうか。それとも破壊を指示してから3年ほどビルス様は眠らずに起きていたのだろうか。

この惑星ベジータの爆発時期については、年表を無視してブルマが38歳だとすれば特に問題ないのではないか。
ブルマが生まれた数年後に悟空が誕生し惑星ベジータは爆発する。それだけのことであり、ブルマが生まれるより前に寝たビルス様の視点は何もおかしくない。

「神と神」の時期をパンの年齢基準に考えるとブウ編の4~5年後となるが、
実際パン以外の年齢をないがしろにして考えていいものなのだろうか。
どうせ説明不可能なパラレルなのだとすれば、パンの生まれる時期がずれたパラレルと考えて、神と神はブウ編の翌年くらいでも成立するんじゃないだろうか。

◆「神と神」初期脚本の謎

ちょっとここで触れておきたいのだが、「神と神」はもともと脚本家の渡辺雄介が書いたシナリオがあって、それを鳥山明に見せたところ火がついてどんどん直されて今の姿になったという経緯がある。
その初期脚本は公開されておらず、どんな話だったのかはほとんどわかっていないが、少しだけ明かされている部分もある。
雑誌「DVD&ブルーレイVISION」2013年4月号で渡辺のインタビューによると、初期プロットは悟空がいない地球でクリリンと18号の結婚式のパーティが舞台であり、それが鳥山によってブルマに誕生日に変更されたそうである。
結果的に「悟空がいないパーティ」という部分は映画にも残っていたが、不在理由はトレーニングしているという単純なものだった。

推測だが、クリリンと18号の結婚式だとすればブウ編より後の話だとおかしい感じがする。とすれば初期脚本はセル編の後の話じゃないのか。
悟空がいない理由も簡単で、悟空が死んでた時期だったからじゃないのか?
年表によるとクリリンと18号が結婚したのはエイジ770年でブルマ37歳だ。
38歳だと多少ずれるが、悟天とトランクスも生まれている。どちらにしろこの初期脚本にはトランクスは確実にいただろうし、悟天も出てきた可能性が高い。
現在のさまざまな年代がおかしい理由はまさかこれなのでは…

以上はあくまで憶測である。38歳が初期脚本と関係あるかは定かでないし、初期脚本がブウ編より前だったという確かな根拠もない。

銀河パトロールジャコ

「神と神」公開後に週刊少年ジャンプで連載された鳥山明の完全新作。
第1話からなんとなく匂わせていたが、最終話でドラゴンボールの前日談であることが明らかになった。それはいいとする。
最終話の時点で
・ブルマが5歳である。
カカロット=悟空が落ちてきた日である。
カカロットは保育器に3年入っていた後で惑星ベジータから放出された。
地球に来た時点で悟空3歳…?

◆悟空とブルマの年齢差

原作第2話の時点で悟空は14歳、ブルマは16歳となっていた。
だが41話でそれは数え間違いであることが判明、本当は12歳だったという。悟空とブルマの年齢差は4だ。
と思われていたが、ジャコの描写では2歳差なので、14歳のほうが正しかった。年表も12歳説を指示しており、矛盾していることになってしまった。
地球に落ちてきた時点を1歳として数えていたのだろうか?どう数え間違えたのかはわからないが、とにかく最新設定での悟空とブルマの年齢差は2になってしまっている。

ラディッツ亀仙人の発言

ジャコの最終話で悟空がずいぶん育っていることについて違和感を持たれていた。もちろん「たった一人の最終決戦」などで赤ん坊の姿だったというのもあるし、
それ以前に原作195話でラディッツの記憶にあったカカロットは赤ん坊の姿である。
あるいは、もしかしたらラディッツは保育器のカカロットを見ていなくて、赤ん坊時代の記憶しかないのかもしれない……
どうだろう……かなり苦しい解釈のような

また原作197話で亀仙人が語ったところによると、孫悟飯赤ん坊を拾ったと言ってた。
だ…だめだ…
も…もうどうしようもない…

ついでなので197話のラディッツの発言についてもうちょっと検証しておく点がある。
生き残ったサイヤ人カカロットを入れて4人である。
「このオレともうひとりはよその星を攻めていて助かった
そしてあとひとりはおまえのように星に送りこまれていたのが幸いした…」

幼いサイヤ人がもう一人いたことになる。ナッパとラディッツがよその星を攻めていた2人で、もう一人のベジータが赤ん坊の時代から星に送り込まれていたことになりそうだが…
その後複数の場所で語られたベジータの過去は、このラディッツの発言と矛盾している。
「たった一人の最終決戦」に出てきた幼いベジータは明らかに悟空より年上だった。もちろんナッパもである。
原作でもベジータの戦闘力が既にベジータ王より高かったことや、ベジータの能力を高く評価しベジータ不在の時期に惑星ベジータを破壊したことなど、当時のベジータが赤ん坊と思えない裏付けが複数ある。年表でもベジータの生まれはエイジ732年でブルマより一つ年上である。

このラディッツの発言に説明がつかない原作197話だけがパラレルという仮説を取れば、亀仙人の発言もキャンセルされて、ジャコも何とかなるかもしれねえぞ!

なお星に送られていたのはターブルではないか?という考察もあることを一応紹介しておく。

ドラゴンボールは最短4ヶ月で復活する?

ドラゴンボールの復活にかかる時間は1年のはずであるが…いろいろ状況を検討した結果、最短4ヶ月で復活する可能性がある。

デンデの改良したドラゴンボールについて、重要な発言は以下の通りである。

394話
「で なにか? かなえられる願いはナメック星のときみたいにみっつなのか!?」
「はい」
「では あのときのようにひとつの願いでたくさんの者が生き返ったりすることはできんのか? たとえば「セルに殺された者達を生き返らせてくれ」とか…」
「え?……そういうのはなんとか最初の調整でやれないことはないんですが…
かなえられる願いがふたつになってしまいますよ」

469話
「ま…まずいですよ!
今みっつの願いをかなえてしまうとこんどは1年後にしか………」

「さあ願いをいえ
どんな願いもみっつかなえてやろう」

「めんどうだ!『きょう死んだ人達を生きかえらせてくれ!』
おっと悪人は除いて!」

「よしひとつめの願いはかなえた
ふたつめの願いをきこう」

「デンデ…!きこえるか!?ひとつだけどよ 願いをかなえちまったよ…!」
「そ…そうですか では残りふたつの願いはもういいといってください
ひとつだけなら4ヶ月だけ待てば使えますから」

470話
「パパもママも殺されちゃうわ」
「だいじょうぶだドラゴンボールで生きかえれる」
「西の都も破壊されちゃうわ!!」
「それもふたつめの願いでもとにもどれる」
「いやちがうぞ ひとつめの願いで多くの人間を生き返らせちまったからつぎにかなえられる願いはあとひとつだけだ」

2つなのか3つなのか、どっちなんだよ!?
3回使った場合に1年で回復するのだから、1回しか使わなければ4ヶ月というのはわかる。セル編から密かにパワーアップしていたのかもしれない。
だが470話の発言がよくわからない。1回使って4ヶ月で復活したドラゴンボールは1回しか願いを叶えられないのだろうか。

ドラゴンボール大全集の神龍の説明によると、このデンデボールの神龍は通常は3回だが生き返りを願った場合は2回になるという理屈らしい。
もちろん原作にそんな説明は無いが、470話の発言はもしかしたらそれを意味する説明なのかもしれない…
でも469話では生き返らせたあとに2回叶えるって言ってるし…
よくわからないが何かが間違っていることだけは確実だ。

願いが2回だろうと3回だろうと、とにかく4ヶ月で戻るとデンデは言ってる。

ドラゴンボールの回復期間についてはもう一個触れておくべき点がある。
話はずいぶん戻って、ギャルのパンティを出した原作第20話である。
「あの7つの球はいちど願いをかなえてしまうと再びドラゴンボールとなるのに1年以上もかかるらしいの…」
ぴったり1年じゃなかったらしい?
そしてピラフ一味との戦いが終わり、亀仙人の元へ向かった悟空。8ヶ月ほど修行して天下一武道会に出場、
そして武道会の終了したその日の晩のうちにもうドラゴンレーダーを持って再びドラゴンボールを探し始め、レッドリボン軍と対決することになるのであるが…
どう見ても8ヶ月しか経過していないのだが…?

これは年表でもどうにもなっておらず、ギャルのパンティがエイジ749年9月9日、レッドリボン軍と対決が始まったのが翌年750年5月7日となっている。ほぼ8ヶ月だ。
原作でも年表でもそうなっているのだから、あからさまに公式設定なのでは?

ドラゴンボールが1年で元に戻るというのは約1年ということであり、実際は8ヶ月程度も回復する場合もあるということではないだろうか?
願い2回のバージョンなら、1回しかかなえなかった場合は4ヶ月で回復するのだから、2回ならちょうど8ヶ月だ。なぜか計算が合っている。
神と神では1回しか願いをかなえなかったので、通常8ヶ月のところを次回は4ヶ月で回復してフリーザを復活させた。これでどうだろう。

しかしそれだとパンが生まれてない気がする。この4ヶ月で回復できる説は復活のFの時期にはあまり影響しない。可能性を指摘するだけに留めておく。

◆まとめ

「復活のF」と「神と神」は完璧な整合性を取った話とは言い難い。
しかしドラゴンボールなんて原作からして矛盾してるくらいでちょうどいいんじゃないかという気がするのでこれ以上の考察も必要ないだろう。
でも復活のFのブルマさん若すぎるんだけど…しかも鳥山設定画でも何か特殊な手段で若返っている可能性が示唆されていて、この4年後だか5年後だかに原作最終話のブルマさんになると思えないんだけど…

新作も矛盾は出てくるだろうけど、それはそれとして楽しめるような話であることを期待したい。