神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

FFTだけではないJK・VOICE編著「タクティクスオウガ公式ガイドブック」

ここのところは外に出る機会を最小限にし、ゲームばかりやっている。
今は部屋の中でゲームをやる人口が増えるのは良いことだと考えている。
このブログも少しでも人がゲームをやりたくなるようなことを書いていきたい…と思いつつ温めている話題がうまくまとまらない今日この頃。

以前も少し触れたゲーム攻略本の話を書く。
JK・VOICE編・著 ファミ通責任編集「タクティクス オウガ 公式ガイドブック」アスペクト)。
著者のJK・VOICEは「ファイナルファンタジータクティクス大全」、いわゆる「黒本」と同じ編プロであり、順番的にはこちらが元祖、おそらく本書の実績から黒本も任されたのだろう。
このタクティクスオウガ公式ガイドブックだが、SFC版は1冊目がCルート、2冊目「完結編」がLNルートと死者の宮殿に分冊されており、それを1冊にまとめて改訂(ストーリー部分を削減)した97年発刊のサターン版の攻略本が最終バージョンとして存在する。
そしてネット上であまり語られていないが、この本も黒本に負けず変な記述が多い。
手元にはサターン版の本しか残ってないのだが、内容は一部加筆があるものの大半はSFC版と同じである。というわけで以下サターン版の記述を一部引用していく。(以前はSFC版のほうも持っていたのである程度は記憶している)。
なお最初に断りを入れるが、隠しエンディングの記述について致命的な問題を指摘するため、その条件となるゲームシステムの詳細と、隠しエンディングの具体的な内容についてもネタバレを書いているのでご了承願いたい。

・忠誠度についての記述

忠誠度については複数のページに書かれているが、忠誠度の変動に関わるカオスフレームについて本書は全く書いてないので不正確な記述しかない。

p35 選択肢が忠誠度に影響することが書いてあり「思想に一貫性がない指導者に対して忠誠度が下がる、という傾向がある」

p322 「忠誠度はどんなときに下がるのか? これには様々な要素があるが、一番大きいのは主人公の選択が首尾一貫しないとき」「最初はAと答えたのに、のちほどBになる」「部下にしてみればリーダーを信じられなくなる最悪の状況を作り出すだろう」「常に首尾一貫した選択をし続ければ、最初は低かった忠誠度もやがて上がっていくだろう。」
と、何やら複雑な判定を行っているかのように書いているが、このような設定はない。実際は選択肢ごとに「Lのキャラが上がりCが下がる」といった単純な変動が設定されているだけである。

p322には「これら選択が忠誠度を決める全てではない」と、曖昧なことも書いている。
実際はメンバーの忠誠度がだんだん上がっていくのは選択肢よりも主に戦闘時の変動によるのだが(戦闘に参加していても直接攻撃をしないクレリックはほとんど上下しない)、この公式ガイドブックにはその上げ方が正確に書いていない。

p153には「忠誠度を、地道ながらも確実に上げる方法がある。戦闘でとどめを刺させるのだ。とどめを刺した敵ユニットの人種などにもよるが、忠誠度は確実に上がっていると考えていい」とあり、
p322では「同人種に対してとどめを刺すとを、忠誠度が落ちる」とある。
p328には「戦闘時にそのユニットと同じ種族攻撃させると(たとえばガルガスタンでガルガスタン人を攻撃)、若干だが攻撃側ユニットの忠誠度が低くなることも」
民族が関わることは何となく書いているようだが、結局正確なところがわからない。あと細かい話だけど「人種」ではなく「民族」ですね。

忠誠度については下記サイトが正確な知識だと思う。
忠誠度・離反
忠誠度は敵を倒さず殴るだけでも変動する。また同民族で殴ると下がるが、それとは別に、敵民族のカオスフレームによっても変わる。カオスフレームが低ければ同民族でも上昇に転じるようだ。
ゲームを続けると殺害数が増えて、だいたい全民族のカオスフレームが低下していくため、アタックチームの忠誠度は自然に上がりやすくなっていくというわけである。
またレベルアップでも上がる。すなわち「とどめを刺すと確実に上がる」というのは雑な理解としては間違いでもないが、正確な記述ではない。
もちろん「首尾一貫した選択」は見当違いである。

ただカオスフレームは隠しパラメータであり、本書にその仕組みが一切書かれていないのは、メーカー側から正しい情報が提供されていなかったのだと思われる。

※忠誠度について補足
上記参考サイトのほか、老舗のオウガ・オーグにも忠誠度についての説明がある。
Ogre.org: 「タクティクス オウガ」の忠誠度
こちらによると攻撃した側の民族と、敵の民族のカオスフレームによって忠誠度が変動し、
>同民族か他民族かということには関係ありません
とあり、さらにガルガスタン人とローディス人は攻撃では上がらないとしている。
だが僕のほうでNew3DSのVC版で軽く調査した結果、同じカオスフレームでも相手の民族が同じだと下がる、違う民族だと上がることを確認した。
ガルガスタン人がカオスフレーム50のウォルスタ人に投石を続けた結果、レベルが上がらなくてもそのうち忠誠度は上昇する。逆にガルガスタン人同士だとカオスフレーム50でも下がる。防御側の民族の影響もある。

>すべてソニープレイステーション版の「タクティクス オウガ」での解析結果ですので、他のプラットフォームでもそうだとは必ずしも断言できませんが、違っていることはまずないと思います。
結論として、これは間違っていた。おそらくSFC版もNew3DS版と同じで、民族の影響はあると僕は考えている。確かめてはいないが。
公式ガイドブックは忠誠度についての記述は不正確だが、民族の影響についてはむしろ正しかった。
…もしかしたら、これはプレステ版だけ違う、移植ミスなのかもしれない。僕はSFC版は手元になく、PS版も持ってないので未検証である。わかる方は検証してみてほしい。

・カオスフレーム関係

p287
ショップで雇った人間の忠誠度の初期値について「総じてガルガスタン人は忠誠度が低い。ウォルスタ人の忠誠度は、デニムのスタンスによって高くも低くもなる。基本的に第2~3章途中までのカオスルートは低く、ロウルートでは高めになる。バクラム人は、後半に高くなる」
と書いてあるのだが、これはシナリオの進行というよりカオスフレームの変動によるものであり、完全にプレイスタイルで変わるとしか言いようがない。このようになるプレイヤーもいるだろうという程度の情報でしかない。
とはいえ、ある程度の検証はしたことが伺える記述だ。
すなわち本書のライターはカオスフレームの存在は知らないか、なんとなくでしか知らず正しい変動条件を知らないといったところだろう。

またp325 用語事典「競売」の項目
「売られていくLユニットの声を聞くと、はいを選ぶのに気が引ける。カオスフレームは存在しないけど。」
これは…「(Lユニットには)カオスフレームは存在しない」と言いたいのだろうか?そうだと仮定すれば間違いではないが、どっちかというとカオスフレームの実在自体知らない人が何も知らずに書いた、という風に読める記述だ。
(追記:こう書いたがカオスフレームという呼び方は攻略サイトが使い始めたものであり、当時クエスト内で使われていたかは不明。ゲーム内で隠しコマンドで参照するものは単に「評価」となっている。ただ松野奏己氏もカオスフレームという呼び方を使用しており、PSP版ではゲーム内でもカオスフレームと表記されている)

だがカオスフレームは隠しエンディングの重要な条件でもある。
その存在を正確に知らないライターが、そこをどう説明しているか。

・隠しエンディング関係

本作にギルバルドが出演していることは記載されているが、詳しい条件は書いてないばかりか、事実に反する重大な記述が含まれているのである。

まずは用語事典p325「ギルバルド・オブライエン」の記述。
「カチュアがいない状態でゲームをクリアする」とわずかなヒントが書いてある。これは正しい。
問題はp224「解答のない「タクティクスオウガ」クイズ」というコーナー。
「これから出題するクイズには、このページのタイトルからもわかるとおり、本書のどこを探しても回答はありません。」という挑戦的な趣旨の記事がある。

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そのカオスルートの問題
Q6. ある条件でカノープスに会いに来る親友の名は?

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…ギルバルドエンディングを見たことがある人ならおかしいことに気づくだろう。「親友」がカノープスに会いに来る場面などというものは「タクティクスオウガ」に存在しない
ギルバルドエンディングにはギルバルドは登場するが、前作で示唆されていたカノープスとの再会シーンはないのだ。正解の存在しない問題を出すんじゃない。
もちろん「親友」がデネブということもない。カノープスの死に際に彼の名が出てくることも」とご丁寧にヒントが書いてあるのでギルバルドしか該当するキャラクターはいない。

EVZwTFxUwAEt8Dw.jpg

でも実際にギルバルドとカノープスの再会はない。どうしろというんだ。
なによりギルバルドエンディングはカオスルート限定ではない。この本を信じてカオスルートでやり直すプレイヤーもいたかもしれないぞ…

本ページの記述より、本書のライターはギルバルドの登場がカオスルートの話題だと思っている。そしてギルバルドがカノープスに会いに来るシーンが存在すると信じている。
すなわちギルバルドエンディングの正確な条件を把握しておらず、実際に見てもいない。内容すら知らない。
それでいて、あたかも自分が体験してきたような表現で書いている。非常に悪質な記述だ。
カオスフレームの存在を知らないと思われる本書の編者は、ギルバルドエンディングの条件も知りえなかったのだろう。だが、知らないことを書く必要はない。
※なおSFC版の公式ガイドではカチュアについてもっと曖昧な書き方をしており、不在エンドだということもわからなかった。
またクイズのページ自体もサターン版で追加されたものだったと記憶してるが、これは記憶が不確かなのでご了承ください。

以上が重大と思われる隠しエンド関連の不正確な記述だが、この本は他にもまだまだ間違いがある。以下に指摘を続けよう。

CHAPTER-2, CHAOS
p57
MVPの条件に「より高いレベルの敵を倒す」が挙げられているが、倒した対象のレベルは関係ないようである。
参考:MVP取得条件(行動ポイント・活用方法)

CHAPTER-2, LAW
p76
「ヴァイスはそのアライメント、エレメント、シナリオ上の立場、すべてがデニムと相対しているのである。」とあるがLルートヴァイスのアライメントはL→Nで全然相反してないし、エレメントも最初の質問でデニムと無関係に決まる。

p85
オーブはVITの高いユニットのほうが効果が大きいという記述。p181でもオーブの威力がVIT依存としてドラゴンを推奨しているが、実際はMENとSTRに依存する。
ドラゴンはSTRが高くMENも悪くはないのでまあまあダメージは出る方だが、それをVITが理由と適当な推測で導いたのだろう。
この間違いはオウガ・オーグでも話題になっていたが、他社の本に受け継がれているらしい。
オーブについての疑問

p86
「祈りのカズン」は「ガズン」の間違い。

CHAPTER-3, LAW
p128
リザードマンやドラゴンはINTが低いから睡眠が成功しやすいと書いてあるが、INTが抵抗力に影響するなんて話は聞いたことがない。公式ガイドでもこのLルートマデュラ氷原の攻略にしか書いてない謎の記述で、非常に疑わしい(検証はしてないが)。
「側面からであればナイトメアやコールドブレスで簡単に眠ってくれる」とも書いてあるのだが、これは正しいようだ。
以下のサイトによるとナイトメアの眠りも補助魔法と同じみたい。INTは関係ないよね?
参考:暗黒系魔法
>睡眠の成功率はスタンスローター等と同様の計算式であるため

p136
ミュンツァーは「ゴブリン、スケルトン、ゴーストを召喚する」とあるがゴブリンはグレムリンの間違い。
またミュンツァーにアンデッドを召喚させて稼ぐことを推奨しているがリスクが無駄に大きくなるだけだろう。さっさと倒したほうがいい。

p137
ガンプが連れてくるグリフォンコカトリス「ペトロクラウドはほぼ無効」としているが、正しく完全無効と書くべき。

p138
アルモリカ城で「トロフィーを落とすユニットが大勢いる。ぜひすべて奪取したい」とあるが光のオーブとカルディア以外の4つは全て市販品。連続戦闘でこんなもの取っても難易度が無駄に上がるだけだ。

CHAPTER-3, NEUTRAL
p153
バイアン死亡時のセリフが忠誠度で変化するとあるが、実際は現在の章とルートだけで決まっている。忠誠度を回復しても3章が終わるまで同じセリフである。

p164
(サターン版ガイドのみの記述)デスナイトについて「強烈な一撃を受ける前に、イクソシズムで天国に還してあげたい」と衝撃の記述。絶対効かないぞ。死者の宮殿のデスナイトにはイクソシズム無効って書いてるのに…
余談だがNルートのデスナイトは本名書いてるのに対し、死者の宮殿のデスナイトの名前は伏せられている。

CHAPTER-4
p179
無血開城は忠誠度に一切影響しないとあるが、カオスフレームが変化するらしいのでまあ無関係ではないよね。これも本書がカオスフレームの存在を知らないことの裏付けになるだろう。

p183
カマンダスガンを最強の銃と書いているが、威力だけならアッサルトのほうが上。

p191
ランベスの丘で「久々に忠誠度の低いユニットが登場している」ので説得して数を減らしてもいいとあるが、その攻略の妥当性以前に2つ前のマップでも同じくらい低いやつがいる。

p199
オークションで買えるのはウイングブーツではなくウイングリングの間違い。

p204
騎士ヴェルマドワを「ヴェルマドゥ」と誤記。

p208
オクシオーヌの転職プランとして「アーチャーで後方支援させてもよし、防御力の高いクレリックになるもよし」と提案しているがオクシオーヌはLなのでアーチャーになれない。エアプにも程がある。
それにHPはともかくVITは高い方ではなく、むしろ標準以下。「防御力の高いクレリックとも言えない。
また彼女の連れてくるバハムート4体が仲間になることが本書のどこにも書かれていない。この不審な記述の集中は、オクシオーヌ加入イベントを実際に体験せずに書いてる疑惑をかけてもいい…

p215
ゾンビの所有する死者の指輪と聖なる指輪をトロフィーの一覧に載せているが入手不可。

p216
「ゾジョネルの神殿」と基礎的な誤記。ゾショネル。

死者の宮殿
p241
覇王獄炎波と天聖雷妙波を「MENの数値分のダメージ」としているが、実際はMENとSTRに依存する普通の攻撃技だそうだ。正確なダメージ算出は難しいとしても、MENそのままじゃないことは一度でも使えばわかる。
また鬼哭血散斬は単に「大ダメージ」と書いてあるが正確には現在HPがそのままダメージ。これまた試せばわかりそうなものも正確に書いてない。
怒号魔破拳の対応武器も「投射系武器」としているが正確には素手でも使える。
参考:必殺技(ロデリック・暗黒騎士団)

p251
死者の宮殿はレベルが上がらないので敵ユニットを倒して忠誠度を上げるのに使えるとあるが、死者の宮殿の大半の敵の民族は「不明」で、殴っても倒しても忠誠度は増減しない。民族を意識しないと意味がない記述。

p253
「※コルヌリコルヌはMPの回復具合に影響を与える」とあるがそんな効果はない。
用語事典p326にもハボリムに持たせたいとあるが、どうもペトロクラウダーとしてのハボリムのブーストアイテム、と誤認していたようだ。
コルヌリコルヌはクソ重いし物理属性だしハボリムに装備させる価値は皆無。

p282
強化版デネブが「禁呪・スーパーノヴァを持つ」と書いてるがストライクノヴァの間違い。
これは本書巻頭付録のキャラクターカードにも「禁呪・スーパーノヴァを所持している。ヴァレリア島では封印されている禁呪を、独自のルートで入手していることからも」と書かれており、ただの誤字ではなく本心から誤解していることがわかる。

データ集
p287
「各パラメータの上がりやすいユニットNO.1」「クラスチェンジ可能な人間系に絞って」上昇値の高い職をリストアップしているが、男のMP1位に転生職のリッチ(男)を入れてるのに、リッチ(女)やエンジェルナイトの数値は入れてない。リッチはカウントしないほうが一貫した書き方だろう。
また男のAGI1位をソードマスターの7としているが正しくはニンジャの7。

p288以降 クラス評価
ナイト
盾役としてバーサーカーに劣る評価をしているが、ナイトはDEXで優位であることを書くべきではないだろうか。

ドラグーン
バーサーカーやビーストテイマーから作ればすごい攻撃力になるとしているが、ドラグーンのヘルプの「凡人並」という表現に惑わされている。防御も意識するならバーサーカーやビーストテイマーからの転職は有効だが、純粋な攻撃力だけならナイトのほうが優位。

ガンナー
レンドルだけでいいとしているが、彼は汎用ニンジャなみの性能で素早さはともかく攻撃力は低い。ガンナーも使用スタイルを考えて前職を選ぶべきである。

アーチャー
「成長すれば、高いところにも矢が届くようになる」と書いているが、経験上は弓の攻撃範囲は成長と無関係。

ドラゴンテイマー
ヴァルキリーにドラゴン強化のついた上位互換みたいに書いてるが、VIT成長が異常に低いことにも言及するべきではないのか。

エンジェルナイト
「アンデッド系に無類の強さ」とあるが何のことだろう…イクソシズムが使えて命中がまあまあで空が飛べる、程度の利点はあるが。

ゴブリン
リザードマンを使うくらいなら、彼らを盾に利用する方がいいだろう。」としているが移動力はあるが耐久力はさほど優れてないように思うが。

ゴーゴン
「仲間になりづらい。HPをかなり減らしてから説得するように。」とあるが別に一般人と差はないと思うが…

p302以降 アイテムデータ
吹矢「抜群の命中率を誇る」とあるが特にそういう差はない。

小手「装備していると素手でも攻撃力が上がる」とあるが、まず小手を装備していると素手で殴れない。小手で殴るのは盾と同じ低ダメージ。
正確な話をするとパワーグラブのSTR+5は防御力にのみ微影響しており、攻撃力には影響しないらしい(仕様上STRはパワーグラブ自体の攻撃にしか影響しない&パワーグラブのダメージ計算はSTRに影響を受けない)。この仕様はゲーム側の設定ミスにも見えるが。
近接武器を持たなければパワーグラブでも反撃は素手になるが、これにもSTRの補正は影響しない。
そもそもパワーグラブ以外の小手にはSTRの補正はない。「装備していると素手でも攻撃力が上がる」というのはパワーグラブ限定でも間違った記述なのだが、小手全般の記述としては論外である。

p312以降 魔法データ
ファイアストームを例にユニットのエレメントによって「同系では効果200%、逆系なら50%」、と異常な数値が書いてあるが当然間違い。
正しくはエレメントによって10%増加or減少だそうであるが、200%は検証以前に、どう見てもありえない値だ。
それとも正確な数字じゃなくて、編者の気持ちの表現か?1000%!
参考:エレメントの影響

クラッグプレス
「消費MPの割に効果は?」と、妥当な評価だが、対象の高さで威力が変わることが書いてない。

ペトロクラウド
「成功率はMEN、DEXの高さに比例」とあるがMENは成功率に無関係(効果範囲には影響)。補助魔法の命中率も主に影響するのはAGIとDEXである。
本書全体でハボリムにペトロを推奨しまくってるんだからわかりそうなもんだが…
参考:命中率計算

p323以降 人物・地名・用語事典
暗黒系魔法
「暗黒騎士団のコマンドのみが持つことを許される(もしくは、暗黒系魔法をマスターしないとコマンドになれない)」と、なぜかロスローリアンの必殺技を「暗黒系魔法」という項目名で書いている。
彼らの技のうち、ランスロットらの暗黒属性のものに限ってはヘルプで「暗黒系攻撃」と表記されてるので、これを誤認したのだろうか。

ヴァルキリー
「アーチャーよりも攻撃力が低い」はさすがに間違いだ。得意武器補正は小さく、弓でも威力だけならヴァルキリーの方が強くなるかと思う。

エレメント(属性)
「クラスチェンジ以外に意味なし?」ってアライメントと混同してるような書き方。確かにドラゴンのクラスチェンジには影響するが…

オズ・モー・グラシャス(暗黒騎士)
同じ項目が連続していて、姉と弟の両方がオズになっている。

グルーザの神殿
同じ項目が連続。片方の内容は「グリムスビーの町」の誤り。

猊下
「げいか:閣下と同じ。非常に古い言い方」とあるが、「猊下」は高僧に対する敬称であり、閣下とは意味が異なる。

ジュヌーン・アパタイザ(竜騎兵)
「ドラゴン相手以外では力は今ひとつ、と広報資料にあるドラグーンもジュヌーンに関してはそれはない」と称えているが、パワー特化職のドラグーンを「凡人並」とするゲーム内の表記が誤解を招いているのであって、フォルカスなどと比べてジュヌーンが例外的に強いわけではない。

ジルドア(障碍)
「しょうがい:障害と同義。法律用語」としているが違うだろう。むしろ法律は「障害」表記をしている。
参考:障害、障碍、障がい その表記の違いはいつから?

竜騎士
「デニム部隊名をCOM任せにするとこの名前に」としているが、これはデニムの誕生月で変わる。誕生日までデフォルトの1月1日(神竜の月1日)にすると神竜騎士団になる。

ソードマスター
ハボリム以外のソードマスターを作る場合「前職はビーストテイマーかナイトがいいのでは」と無責任に書いているがスピード・威力・補助魔法と運用法で変わりすぎる。
あえて言うとビーストテイマーで育成した耐久型のキャラクターなら、ドラグーンやテラーナイトならともかくソードマスターに転職させる必要が感じられない。

チャージスペル
「装備するのはMPの高いユニットが効果的」としているが回復量は術者のINTで決まり、MPは関係ない。

ネオ・ウォルスタ解放同盟
「現代風に言えば、極右国粋主義団体」とあるがLルートまともにやっていればこんなこと書けると信じられない。
さもなくば国粋主義の意味について何か僕と理解が違う…

バーサーカー
「ニンジャと交互にチェンジして成長させれば、かなり有用になるとのこと」となぜか伝聞。使い方にもよるが、典型的に本書の低評価している中途半端キャラになりそうだが。

ブルースパイラル
「スパイラルとさほど変わらないがMPを大量に奪うという特徴を持つ」とあるがスパイラルって何だ。

以上、気付いたものは重箱の隅的なものも書き出した。間違いの数だけなら黒本ほど多くないと思うが、たんなる誤字とかではない、見過ごせない間違いもあったように見えるが…
僕自身タクティクスオウガはそこそこやり込んだが、解析を続けている人たちと比べて特別詳しいほうでもない。その僕が気づいただけでこれだけあるのだから、もっと詳しい人が調べればまだ間違いは見つかると思う。
間違いの特徴としては「忠誠度は首尾一貫した選択」や「VITでオーブの威力が上がる」が典型的だが、「不十分な検証から妙な仮説を立て、追検証が不足したまま事実のように書いている」と思しき記述がちらほら見られる。

一方、この「公式ガイドブック」に、クエストは全面的にデータを提供していたと思われる。本書はゲームで参照不可能な敵リーダーの忠誠度も全て掲載しているし、ランダムで変わる敵ユニット、Lルートバハンナ高原に出る「民族つきホークマン」「Nのプリースト」のようなありえないユニットも正確なデータを掲載している。
もちろんシェリー加入のような隠しイベントの条件もきっちりメーカーから聞いたものだろう。これは典型的にメーカーから流された情報そのまま使ってる本であり、情報が充実しているのは、クエストがそれだけたくさんのデータを提供していたからだ。
ライターの私見による攻略と思われるものから目を背けて、単なるデータ集として使えば今でも有用な文献である。

…クエストの提供したデータに間違いはなかったのか?
たとえばクラッグプレスの効果が不正確なことや、最初の質問によるパラメータ変化が一切書いてないこと、テラー効果がCのユニットには無効であること、4章デニムの成長率がクラスと無関係にロードと同じになることなど、不足している情報がかなりあるのだが、これはクエストが教えてくれなかったからじゃないのか。
あるいは天候抵抗について。アマゾネスなど天候抵抗の強いクラスは「天候と関係なく常に性能アップしている」という、ミスと思われる設定がされているらしいのだが、気づかなくても仕方ないし、クエストも気づいてなかった可能性が高い。はっきり言って微妙な差なので検証も難しい。本書がそれを正確に書いていないのを責めることはできまい。
参考:天気の影響

カオスフレームの公開については松野奏己氏が以前言及している。
SFC版『タクティクスオウガ』の裏コマンドを残した意図を松野泰己氏が披露
時期が来れば隠しコマンドについて情報公開する可能性があったことを明かしているが、裏返せばある時期までは隠蔽する意図もあったことがわかる。本書のライターに対しても、存在自体が隠されていたと僕は考えている。
ではカオスフレームの関わる隠しエンドについては、どのように情報公開されていたのだろう。
本書がギルバルドを実際には見ていないことは指摘した通りだが、「ギルバルドがゲーム内にいること」「バッドエンドであること」はクエストから聞いていたのだろう。そこは書いてある。
もしかしたらカオスルート限定のエンドだとか、カノープスと再会イベントがあるとか、クエストから嘘を聞かされていたかも?
それともクエストの担当者も詳しい条件を把握していなかった?(だとしたらサターンに移植できなそうだが)

本書の誤りの原因について、一部はクエストに疑いをかけることはできる。
そうでなくても、明らかな間違いが放置されていることから、クエストおよびリバーヒルソフトが本書の内容をちゃんとチェックしてないだろうとは言える。「公式」ガイドブックの名で出すものなんだから、もう少し真面目にチェックしろとは言いたい。
だがそれとは関係なく、わからないことを見てきたように書く必要はない。ギルバルドエンディングを見つけられなかったのなら、正確な条件は内緒だと書けばいい。
FFT黒本に至る前に、本書の不正確な記述、そしてその編集姿勢はもっと深く批判されるべきではなかったのだろうか。

そう、本当は黒本について書くつもりで書き始めたのだった。
本書はその余談として触れるつもりだったのだが、読み返すうちに記憶よりも、そしてネットの評価よりも遥かに問題の多い本という結論に至ったため、本書単独の記事としてまとめた次第である。
黒本についての見解は次の記事にしたいと思う。
→続き:「ファイナルファンタジータクティクス大全」を真面目に語る気があるのか

※サターン版について
偉そうに書いたが、この記事自体もサターン版をやってない(本だけを持ってた)でエアプで書かれた記事だということには注意していただきたい。
サターン版はボイスつきになった弊害でセリフが違うと聞いているが、内容の差があるという話は聞いていない。
また上記指摘の大半はSFC版の公式ガイドブックから受け継いだ間違いであり、「SFC版のときは間違いだったがサターン版では正しい」という可能性は極めて低い、ぶっちゃけありえないと考えているが、
でもPS版は忠誠度の上下が違うのかも…?という疑問を残したのも事実である。もしかしたらサターン版ではカオスフレームの仕組みも違って、ギルバルドはカオスルートにしか出ないのかもしれない。
サターン版をお持ちの方はぜひ検証し、本ページに間違いがあれば指摘をいただきたい。
もっともカノープスに会いに来るイベントがあるわけないことは断言できるが。

※参考サイトについて
隠しエンディングの条件を早い時期に発見し公開していたオウガ・オーグのほか、

タクティクスオウガ 攻略・解析

タクティクスオウガ攻略・分析

上記でリンクしたこの2つの攻略サイトは非常に参考にしました(タイトルは似ていますが別サイトです)。
いずれのサイトも僕が知らなかった情報が多く、大変参考になったことを記載しておきます。

※2021年追記
本記事はサターン版公式ガイドのみに基づいて書かれたものだが、改めてSFCの公式ガイドブックとの比較を行った。
で、上で書いてきたようにSFC版の時点で間違ったままサターン版に受け継がれたものも多いし、サターン版で正しく修正された部分もあるのだが、サターン版で加筆された際に追加された間違い(デスナイトにイクソシズムなど)も一定数あることがわかった。
本記事もSFC版とサターン版を併記したものに改定するべきであると考えていることをここに記す。