神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

「ファイナルファンタジータクティクス大全」を真面目に語る気があるのか

2年ほど前のこと。ファイナルファンタジータクティクスの開発スタッフがニコ生でFFTをだらだらプレイする公式放送があった。

※視聴期限終了

ここで当時のスタッフから明かされた情報の中に「ファイナルファンタジータクティクス大全」、通称「黒本」について言及があった。
黒本の間違いの中でも特に有名な「ランベリー城のエルムドアの源氏の装備と正宗は小数点以下の確率で盗める」に関連する話題として、「当時のスタッフがデータを検証せずに掲載する攻略本に腹を立てていて、故意に誤った情報を渡していた。検証すればすぐわかる程度の内容で」ということを伝聞ではあるが証言したのである。

経緯は以下の記事におおむねまとまっている。

“FFT黒本”「小数点以下の確率で盗める」21年目にして驚愕の事実発覚か 「スクウェアが資料にうそを入れた」時効ということで……。【訂正】

…と言いたいところだが、笑いごとで済ませているこの記事の書き方は全然ダメ。
それ以上に、発言の真偽について検証する意思が全然足りない。
>これらの発言は「内容に間違いが多い理由」なので、「小数点以下~」の部分も当てはまるのかははっきりとしません。
と記事に書いている通り、「小数点以下」が故意に混入された誤情報かは定かでない。なのに記事のタイトルが「“FFT黒本”「小数点以下の確率で盗める」21年目にして驚愕の事実発覚か」と限りなく断定に近い書き方だ。
ねとらぼさんもゲハブログと大差ないですね…

あらためて話をまとめる。
ファイナルファンタジータクティクス大全」、通称「黒本」は非常に間違いや不可解な記述の多い攻略本なのだが、

  • 黒本の間違いのうち、幾らかはスクウェア側の提供した情報の誤りが原因であると考えられる。(これはニコ生以前から指摘されていた。故意であるとまでは考えられていなかったが)
  • ただし、問題の「小数点」の記述もスクウェア側が故意に提供したものという証拠はない。

ニコ生の発言を踏まえた上でも、「小数点」はスクウェアが故意に混入させたものではないと、本ブログでは考えている。

なぜそう思うかは以下の理由による。

  1. 「小数点以下」は、「検証すればすぐわかる」という条件に合致しない
  2. 故意ではないと思われる間違いが別に存在する
  3. 黒本には他社の攻略本(FFT公式攻略本)と共通の間違いが一部見つかっているが、小数点は黒本独自の記述である
  4. 黒本は単なるデータ集ではなく、独自の感性で書かれた攻略本である
  5. 同じJK・VOICEの書いたタクティクスオウガの攻略本にも独自攻略と思われるミスが複数ある

まず前提知識として、「ファイナルファンタジータクティクス大全」の誤りについてはこちらの攻略サイト「真珠星」が最も詳しい。20年ほど前から大全の誤りの指摘・調査も行っている本格的な研究サイトだ。
大全正誤表(第1部~第3部)
大全正誤表(第4部・第5部)
もちろん「小数点以下」は、大全の誤りのほんの一部に過ぎないことはご存じだろうが…
黒本を語る人たちは「好きな間違い」をニコ百などで大声で語るのは得意だが、各々が好き勝手にネットに書くばかりで、こんなに詳しいサイトがあることを広めようとしない。
2020年5月3日時点で「FFT黒本」の検索上位サイトひととおり調査したが、大部分がニコ生について言及しているサイトか、「好きな間違いを挙げるサイト」と化しており、この「大全正誤表」に言及しているものはひとつもなかった。「ファイナルファンタジータクティクス大全」で検索2ページ目の末尾でようやく出る。
黒本に言及する人たちはノイズを増やすばかりで、肝心な情報へのアクセスを妨げるという愚行を犯している
基本的な疑問なのだが、どのくらい間違ってる本なのか、彼らはちゃんと把握して語っているのだろうか?
後で詳しく述べる通り、こちらの正誤表はスクウェア提供データに誤りがあった可能性についても、かなり昔から指摘していた。

本書について、ひとつずつ論点を述べていく。

1.「小数点以下」は、「検証すればすぐわかる」という条件に合致しない

もし「小数点以下」までスクウェアが流した嘘だとすれば、これは完全に攻略本ライターを騙して時間を浪費させる嘘だ。本当に1%未満で成功するのか、エルムドアに対して1000回規模での盗むを試行…すぐわかる問題ではない。
じゃあ違うんでしょう。

「源氏の装備は盗める」という情報までは、それ自体はスクウェア側から流れていた可能性は否定できないと僕も考えている。しかしその間違いに「小数点以下」というデマを重ねていたかは別である。
問題の黒本200ページには「0パーセントと表示されるが」「小数点以下の確率で盗める」だけでなく「盾を壊すことができれば回避率が下がるため、盗める確率が多少上がる」という別の間違いが一緒に書いてある。さも実際に試したかのような書き方をしているが、エルムドアは装備破壊も防ぐため盾を壊すことも絶対できない。
「盗める」という情報自体がスクウェアから来たものかどうかも定かでないが、「小数点以下」と「エルムドアの盾を壊すこと」という、実際に体験しているはずのない記述については、スクウェアが具体的な攻略情報を提供したのではなく、攻略本のスタッフが「盗めるという思い込み」を前提に発生させたと考えたほうが、僕には自然に思えるのである。
画面に0パーセントが表示されるところまでは検証していると思うのだが、そのあとの攻略は「たぶん盗めるんだろう」という仮定で書いているのではないだろうか。

そもそも間違った情報を与えられていたと仮定しても、検証したのなら「盗めるはずなので頑張ったけど何回やっても盗めなかったわ」と正直に書くのが筋ではないのか…。
「盗む」を試してはいるだろうが、盗めないという疑念に至るほどの丁寧な検証をしていたかは、疑わしい。

用語辞典297ページでも正宗を盗む確率が残ってそうな記述ではあるものの、筆者が入手しておらず「引き出す」を見れていないことがわかる。このページは正直に書いているのだ。
スクウェアに騙されていたと仮定して、これを辞典ではなく攻略ページに書けばよかったのでは?
※なお正宗に別の入手法があることは黒本にも書いてある。

ここで話を終わってもいいのだが、残りの根拠も述べていきたい。

2.故意ではないと思われる間違いが別に存在する

「小数点以下」はともかく「源氏の装備は盗める」という情報自体はスクウェアから来たものだと考える理由はいくつかある。なにしろFFで「源氏」と言えば盗めそうな雰囲気がある。
それと「海外版では源氏と正宗は盗めるらしい」という別の根拠がある。すなわち「アークナイトにメンテナンス(盗む・破壊無効化)があること」こそが設定ミスであると仮定すれば、スクウェアの担当もそれを知らず「盗めるよー」と伝えていても不思議は、ない。
PSP版は海外版でも盗めないそうである。

しかし、このようにゲーム自体のミスだとすれば「故意に誤情報を流した」ものとは別の問題として評価するべきではないだろうか。これもメーカーに責任はあるけど、道義的な問題とは違う。
そもそも、スクウェアの提供したデータ間違いについて、故意ではなく、純粋にスクウェアが間違っていたらしい記述も黒本には見つかっている。

大全正誤表(第1部~第3部)のp37以降に、儲け話の「大成功条件ジョブ」がすべて間違っているというのがある。
ここには複数の間違いが重なっており、
>儲け話を「大成功」させるには条件となるジョブが必須となっているが、 実際にはこれらのジョブなしでも儲け話を大成功させることは可能である。
>ここで挙げられているジョブは、実際には「~がいたおかげで…」というメッセージを出すためのジョブで、 しかもそれを出すためには、ここで挙げられているジョブではなく、その1つ手前のジョブを派遣する必要がある。
単にジョブが間違ってるだけでなく、ジョブのズレに規則性があり、しかも正しいジョブを選んでもメッセージが出るだけで大成功に寄与しない、というのである。
さらに指摘されていないが疑問がもうひとつあり、黒本の間違ったジョブのほうが、シナリオ的にはそれっぽい組み合わせが多い。「算数必勝学」なら黒本に書いてある算術士が適切なジョブに見えるが、実際には忍者…
これだけ証拠が揃っていると、ゲーム自体が何かをミスってると断定できる。儲け話についてはスクウェア自身も間違いに気づかないままデータを提供していて、黒本もそれを検証しないまま載せたのだろう。

3.黒本には他社の攻略本(FFT公式攻略本)と共通の間違いが一部見つかっているが、小数点は黒本独自の記述の一つである

集英社の「ファイナルファンタジータクティクス公式攻略本」もそこそこ間違いが多いらしい。…僕はこの本を読んでませんが。
で、そこに黒本と同じ間違いが見つかっているという。
公式攻略本正誤表
黒本の間違いのひとつ「埋もれたアイテムがほとんど全部のページでハートとダイヤが入れ替わってる」という、かなり特異的な間違いがあるのだが、「公式攻略本」でも全部ではなく一部のページで類似の間違いが見つかるという。
>「大全」と「公式」で同じような誤りがあるのは興味深い。 もしかすると、スクウェアから各編集部に提供されたデータにこのような誤りがあったのかもしれない。
これこそニコ生の言及を肯定する重要な証拠ではないのか。
確かにこの程度なら軽く検証すればすぐわかる…いや個人で全マップ調べるのはかなり大変な気がするが…大丈夫と自称するレベルの攻略本ならそのくらいの検証はやってほしい気はする。
ここに関してはスクウェアが故意に流していたという指摘、なんかそれっぽい。
つけ加えると、もし検証されず間違ったまま世に出ても、それほどは影響はない項目だ。嘘を流すのにも抵抗が少なそうに見える。影響があるのはディープダンジョンやネルベスカ神殿のような一部マップだけだろう(ネルベスカ神殿だけアイテムの並びが正しいのは、珍しいアイテムがあるマップなので検証をしたのかもしれない)。
ただ間違い指摘サイトでこれに言及しているのは現在「真珠星」以外に皆無だ。嘘データが提供されていたという情報に最も符合する記述に思えるのだが…

源氏装備が盗めるという話は「公式」のほうにはないようである。
「源氏の装備は盗める」という情報までは、それ自体はスクウェア側から流れたかもしれない、と、ここまで仮定してみたが、これが他社の本には見られないのだとすると、あえてスクウェアから流れたものだという仮定する必要は乏しい。
※ただし小数点は黒本固有の記述ではないという情報をインターネットで見つけている。情報が不確かで真偽は不明であるが、後述する。

4.黒本は単なるデータ集ではなく、独自の感性で書かれた攻略知識の目立つ本である

メーカーが財宝の位置などのデータ類を提供するとして、各ステージの攻略知識までは提供しないものではないだろうか。
本書の攻略はエルムドアに限らず、全体的に「盗む」を推奨している傾向が強いとか、無視すればいいナイトをトードで無力化してからゆっくり装備を盗ませるとか、対アンデッドに「邪心封印」をやけに推奨、敵の忍者対策に全員にキャッチをつけるなど、その方法でもクリアできるかもしれんけど別にこの通りにしなくても…という記述が非常にたくさんある。
こうした記述、独自攻略のおかしさはほとんど指摘されていないが、これらは明確な間違いではないし、めったに詰むようなゲームではないので攻略ページ自体あまり読まれてないのだと思われる。
(もちろん「真珠星」は攻略の誤った部分は指摘しているが、非効率な戦術・ぼんやり変な記述の指摘はしていない)
本書が推奨する「武器を盗む」は確実性が低いのでこだわることもなかろうが、そういうプレイスタイルも不可というわけではない。
こうした攻略の好み、あるいは「ガフガリオンのクリスタルから装備変更しか継承できない(※誤り)」みたいな実プレイから得られたっぽい豆知識、細かい攻略はスクウェアから提供はされていないだろう。

「小数点以下」と「エルムドアの盾を壊すこと」は、個別マップの攻略として書いてある知識であり、メーカー提供の攻略情報かは疑問に思う。

5.同じJK・VOICEの書いたタクティクスオウガの攻略本にも独自攻略と思われるミスが複数ある

もちろん「ライターが思い込みで誤った攻略知識を発生させる」というのはあまり考えたくないのだが、それをやっていたと思える根拠は別の本にもある。それが前回記事にした同じファミ通とJK・VOICEの「タクティクス オウガ 公式ガイドブック」だ。
JK・VOICEがFFTの攻略本を手掛けたのは本書からの流れであり、本の構成も文体もよく似ている。
そしてあまり語られないが、この本も変な記述が多いのは既に別記事として述べた
不十分な検証で書かれた不正確な攻略知識の中には、「アーチャーに転職できないキャラをアーチャーにすることを提案」「ゲーム中に存在しないカノープスと親友の再会イベント」といった、明らかに実際に体験していない内容を見てきたように書いている記述さえあった。
「盾を壊せば盗める確率が上がる」と同じである。このJK・VOICEは実際にやってないことを書く。

言うまでもないが「タクティクスオウガ」と当時のスクウェアは無関係である。これも前回の記事で述べた通り、当時のクエスト社が不正確なデータを提供していた可能性自体は否定できないのであるが、「オクシオーヌをアーチャーにする」なんて具体的にクエストから教えられたとも考えられない。
「思い込みの攻略をそのまま載せる」という悪癖が既にあったと見るべきである。

スクウェアは許すべきではない

幾つかの誤りがメーカー側から流されていた可能性は高いものの、むしろ思い込みで発生させた誤り、「攻略情報がそもそも提供されていない部分」にライターが独自攻略を書いて勝手に間違えた記述のほうが多いと、僕は考えている。タクティクスオウガ公式ガイドブックがやっているようにである。
タクティクスオウガと違ってFFT大全に間違いが多いのは、スクウェアがクエストほど正確で豊富なデータをくれなかったからじゃないだろうか。
たとえばp276。やけに不完全な敵専用ユニットの技リストにそれが見える。使ってくる技が全然網羅されていないし、ダメージや成功率も定量的な記述じゃなく(ダークホーリーなんか「150~230位のHPダメージ」と書いてる)ぼやけている。どうも人力でデータを取ったページに見える。
タクティクスオウガ公式ガイドブックには敵専用技のほぼ完全な一覧が掲載されており、没技についても別ページで言及があった。クエストが完全なデータを提供していたのだろう。
対するスクウェアは不正確な一覧を提供したのではなく、敵の技については最初から何も提供していない可能性が指摘できる。
一方で埋もれた財宝のように、メーカー側の不正確なデータ提供が原因と思われる誤りも確かにある。
しかし、そういうものを検証するのも多くの攻略本がやってることではないだろうか。まあ儲け話なんかはどうやっても大成功するから、適当に試行してると気づかないかもしれないが…

もちろん、スクウェアが故意に誤ったデータを提供したという発言は、笑い話で済ませるべきではない。
たとえ出版社がデータ丸写ししかしなかろうと、それをメーカーが内心不愉快に思っていようと、情報を提供すると決めたのなら正しい情報を提供するのが道理だ

ゲームメーカーも万全なデータを渡せないことはあっただろう。時にはマスターアップ前の情報、その気はなくてもバグでおかしくなったデータを流してしまうことだってあるだろう。没データと思われるものがそのまま攻略本に載った例は覚えがありすぎる。
そういうことが起きてしまう発刊スケジュールや制作体制の問題、あるいはメーカー側のデータ管理の問題、双方に問題があるのだ。
だがどちらのせいであれ、損するのは読者である。
そういうことはなくすよう努力すべきであり、間違ったデータをわざわざ故意に流すことは、してはならない
故意でなく、気付かずに間違いを広めるのだってやめたほうがいいに決まってる。FF3の没モンスターのように、結果的に興味深いデータが出てくることがあるとしてもである。

けど、メーカー側に責任があるとして、検証を怠っていい加減なことを書く責任がないということにもならない。
本記事のスタンスとしては、スクウェアもJK・VOICEも悪いのであり、スクウェアの悪事が判明したことでJK・VOICEを擁護するほうに回るのはそれこそ筋が通らないという意見である。
あえて言うなら、責任編集であるファミ通の責任についてはっきりさせよう。不審な記述を乱発している編プロを起用した責任、この本に対しての否定的評価はファミ通の名にかかって仕方ないと思うが、アスペクトの別の攻略本まで「大丈夫?」などと揶揄されるいわれはないと考える。
ファミ通はしょせん主たる執筆者ではなく、出版社がどこだろうとダメな本はダメ、いい本はいいと評価していくだけである。
同じファミ通でもベントスタッフの「解体真書」はどれも高い評価を得ているし、ベントスタッフの本だろうと間違いがあれば間違ってると書くだけだ。
僕はJK・VOICEの他の本はよく知らないが、まともなのもあるかもしれない、タクティクスオウガ公式ガイドブックはそうではなかったが…

こうしてそれぞれの責任を明らかにしたところで話が終わればいいんだけど、そうじゃない。
そうじゃないのだ。

時が未来に進まない

本書「ファイナルファンタジータクティクス大全」の間違いのほとんど全ては、20年前には指摘されていたことだった。スクウェア提供データの間違いがあるようだというのも新事実ではなく、ずっと昔から指摘されていたことであり、ニコ生の発言はそのちょっとした裏付けに過ぎない。
故意という話が事実かどうかもわからないし、スクウェアが間違っていたのは最初から知ってた。そこに新たに発覚した事実なんてものはない。
上記「儲け話」の指摘も僕の考えたものではなく、20年前に存在していたサイトからの受け売りである。
だけどニコ生についての言及で、こうした過去の指摘を改めて紹介するものは誰もいなかった。20年の間に彼らは黒本の内容など忘れてしまっていたのだ。
読者たちがインターネットで20年やってきたことは「小数点」のような好きな間違いを言い合い、その責任を「ファミ通」などと単純化し、ノイズを増やしただけのことだった。
そして、とうの昔に指摘されていた疑惑を裏付ける発言が出てきたのに、彼らは「小数点」以外の間違いを全部忘れていたので、過去の検証を照会することもなく、小数点の部分のみを議論し、新たなノイズを増やすだけだった。
この20年のインターネットの進歩による恩恵を得ていないどころか、彼らのインテリジェンスは完全に退化している
彼らは本当に黒本の被害者なのか?

「小数点以下」に騙された人がいたことを僕が疑っているわけではない…それは、いただろう。
だがネットで騒いでる人が本当にその被害者であるかも、また別だ。
実際に騙されたという声の全てが嘘だというわけではないが、それにしても「埋もれたアイテムが入れ替わってて困った」という声は全く見かけない。
本書の攻略を信じて、アルガスやボコに冷たい対応をしたプレイヤーはいないのか?
儲け話の前にいちいちジョブチェンジさせているプレイヤーはいなかったのか?(※これはいないと僕も思う)
装備武器ガードの効果を間違えて認識させられなかったか?
他にも実害が出そうな記述は多々あるのだが、小数点以外の実被害はまるで聞こえてこない。ネットを埋め尽くしているのは本当に黒本を読んだ人たちの意見なのか。
ザルバッグが全部誤字っているから何だというのか。

僕は…FFTやったのが遅く、最初から黒本の間違いは把握していた。というより、間違った本だと知ってる上で購入してるので、僕はエルムドアに盗むを試したこと自体ない。0%が出るところすら見ていない。
僕がそういう立場だが、現在黒本に言及してる人も本当に黒本を持っていて被害を受けた人ばかりだろうか。ファミ通の名を叩くのが楽しいだけで、実際に被害を受けた人の声を押し流すノイズのほうが多いんじゃないか。
だから笑い話にしてしまえるんだ。

「真珠星」のようなサイトが検証を載せているのは非常にありがたいことで、間違いを正しく認識すれば「ファイナルファンタジータクティクス大全」も使いようはある。
埋もれたアイテムの中身はハートとダイヤが入れ替わっていることだけ覚えておけば、その座標と中身はほぼ正確だ(ごく一部間違ってるが)。
各ステージの攻略はあまりあてにならないが、敵ユニットのジョブと配置は正しいので事前の参考にはなる。
(敵ユニットの装備とアビリティが掲載されている通りじゃないことが多々あるのだが、これが一定でないことはp133に小さく書いてある。つまり紛らわしいが本書は間違いを書いているわけではない)
アイテムデータは少々間違いがあるものの、入手先のヒントとしては十分。ジョブチェンジの条件、儲け話の発生場所など、ちょっとした確認にも役立つページは多い。p43のモンスター分布も不十分なデータらしいが、会いたいモンスターを探すのに全く役に立たないとも言えない。
決して褒められた本ではないが、間違いを正しく認識したうえで、正しい箇所をうまく使うことを考えてもいいのではないだろうか。
その中で間違いにぶつかっていくことは、正しいことを知る道にもつながる。

黒本に対する正しい評価をするなら、確かにひどい本ではあるが、同時に「メーカー提供の情報が不正確で、編者のデータ取りも手動の、発刊時期の割に大雑把な攻略本」以上の評価でもないだろうと考える。
かつて一大勢力を誇ったNTT出版の攻略本だっていろんな間違いがあった。最近「聖剣伝説3」の攻略本を読み直したが、ブラックラビの出るダンジョンとか、クラス2最強装備の記述とか細かい間違いが非常に多く、これもメーカーから不正確なデータの提供があったと見える。
ベントスタッフのメンバーであるベニ松の代表作であり名作「ウィザードリィのすべて」にも、不審な記述(「ささえのたて」の入手法)を残している。
間違った攻略本は過去より無数に存在しており、名著と言えるものにも致命的な間違いがあったりするのだ。
ファイナルファンタジータクティクス大全」はそれら名作と呼べるような本ではないが、ひどさで言うなら「タクティクスオウガ公式ガイドブック」だってオーブの威力やコルヌリコルヌのように実害が出てる記述もあるのに、FFTと比べて丸っきり話題になっていないという現実がある。
黒本だけが突出して目立ってしまっている理由は、本当に小数点の件だけなのだろうか…

故意に誤ったデータが混入しているという、ニコ生発言の真偽を断言できないが、信憑性は高いと僕は考えている。
おそらく埋もれたアイテムの間違いはそれであり、儲け話のミスはたぶん故意ではないというのが僕の想像であるが、これは僕個人の見立てだ。その気があるなら読み込んで、どこか故意なのか各々が検証してみればいいだろう。
ずっと小数点のことを言ってきた人たちこそ、その責任があるだろう。だけど僕は無責任なのでこれ以上どうこう言う義理はない。
この記事もまた、余計な情報を付加したノイズなのである。

補記

儲け話の有利ジョブ
黒本でナイトとしているものが実際のゲームでは全てアイテム士になってるらしいのだが、上記の正誤表の
>具体的には、大成功条件ジョブとしてナイトが挙げられている「グルグ旧火山の女」では、 実際には「~がいたおかげで…」と表示させるにはナイトではなく見習い戦士が必要
は見習い戦士ではなくアイテム士の誤りではないでしょうか。別のページにも「グルグ旧火山の女」の有利ジョブはアイテム士と書いてあります。

未確認情報1
ファイナルファンタジー用語辞典の書籍/【ファイナルファンタジータクティクス大全】に以下のような記述がある
電撃プレイステーションの攻略本に「小数点以下~」の記述がされてた。
>まんまパクったんだろうか。あんなのパクったらロクな目にあわんぞ。
>電プレに関しては発売当時の攻略記事でも、そのことをモロに書いてたりする。

つまり…スクウェアは電プレと大全の両方に情報提供したのだろうか。いやスクウェアからの情報提供とは別口で、黒本はこの電プレの何かを元にしたのでは?それとも黒本のほうが電プレにパクられた?
という疑惑なのだがあまりに情報が不確かすぎる。
まず当時の電撃PlayStationFFTの攻略本を出したという事実はない。ただVol.50から52あたりまでに攻略記事があったことは確かなようだ。時期的にはvol51までは大全より先に出ているらしい。エルムドアについても何らかの攻略が載っていたと想像できるが、小数点まで書いてあったというのはにわかには信じがたい話であるが。

未確認情報2
セリフ/【このゲームでは小数点以下を(略)】
>その後の放送で嘘を教えていたのは源氏の話ではなくパラメータ系とのこと
とあるのだが別の放送があったのか、それとも放送を最後まで見てればこの発言があったのだろうか…僕も該当の部分までしかチェックしていない。

FF用語辞典は他所に書かれていない情報が結構あり、役に立つことも多いのだが、完全に思い込みや記憶違い、よその受け売りだけで書かれたものもかなりあり、この二つの記事も罵り合うばかりで典型的にノイズだけの記事だ。
ここに引用した部分が正しい情報か僕にはわからない。今後これらの真偽を確認する気もないのだが、ごま塩程度に覚えておく。