神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

ストリートファイターII V 気づき点

昨年2024年2月、Youtubeで『ストリートファイターII V』が無料配信されていたのを見た。
気付いたことをいろいろ書く。

打ち切りだが延ばされている

本作はまず間違いなく当初の予定通りに放送されておらず、短縮されていて全29話となっている。残り割数も少ない20話からOPが変わる。
だが単なる打ち切りではなく、どういうわけか同時に引き延ばしがされているようなのだ。
18話あたりから物理的に展開が遅くなる。この回では春麗の父、銅昴(どうらい)の暗殺を狙うキャミィだが、その脳内シミュレーションだけで5分ほど経過する。
この後も最終話まで展開は異様に遅く、回想シーンや総集編まで挟む。そして波動拳である。
一度でも見た記憶がある人は覚えてるだろうが、本作は波動拳を撃つ前に気を練る儀式が必要で、その波動バンクに永遠にも感じられる長時間をかける。
全盛期のドラゴンボールZを越えている。

放送短縮にあたり、ストーリーを調整したのは見直してわかった。

バルログと戦う17話までは当初の予定通りに進行しているようだった。バルログ戦後にケンと春麗はシャドルーのスペイン支部に拉致されるのだが、そのスペイン支部での戦いが全部で12話もかかっている。そしてベガもスペインで倒してしまう。
ベガ戦をスペイン編にくっつけて終わらせるストーリーに調整したのだろう。その過程で尺の調整が上手くいかず、エピソードが足りなくなってしまったか…
もしくは26話くらいで終わらせるつもりが、本当に何らかの事情で放送期間の延長があって、もうストーリーの修正が間に合わなくなったのか。

未回収の伏線

打ち切りを示す未回収の伏線としては、南米にあるというシャドルー本部の存在のほか、ボクサー服のバイソンが後期OPに登場してるのにアニメではまともに戦わない、後期OPにサンダーホークらしい男が一瞬映ってるのに番組に出てこない、というのがある。
なお前期OPでリュウに蹴っ飛ばされてる三つ編みの男がディージェイという説あり。オリキャラも出てるOPなので怪しい。
原作『スーパーストリートファイターII』の範囲で登場しないキャラクターは本田、サンダーホーク、ディージェイ、ブランカの4人。シャドルーの方角、中南米のキャラクターに偏っているようだ。
豪鬼はモブに出てくる(問題点は後述)

シャドルーの本拠地は南米にあるようなのだが、本作はスペイン支部でベガを倒して終了する。ナッシュもスペイン支部でベガに殺される。
スペイン支部にいた配下はカンボジア支部に撤退すると言われ、南米の本部は忘れられる。ベガは倒されるがシャドルーは壊滅しなかった。
なんでカンボジア?
調べたら原作英語版のガイルのエンディングで、ナッシュがカンボジアで死んだらしい話をしてることがわかった。
思うに、アニメは予定されていたカンボジア編のストーリーをスペイン編にくっつけたのだ。

またシャドルーは麻薬の販売で利益を出していたが、表の顔として環境保護団体シーザーというのをやっており、南米の熱帯雨林を買いあさっているという。
最終話でベガの語るところによると、アニメ版ベガの目的は自然破壊を続ける人類の国家を破壊することであり、どうやら表向きの活動こそが真の目的だったようだ。
そしてベガには「イーグルヘッド」という謎の彫像が力を貸しているのだが、これが何なのかはよくわからないまま番組が終わった。こいつの出自として南米を予定してたのかな…

サガットはシャドルー所属ではなく、シャドルーの下位組織のアシュラの策によって投獄されていた。初登場の印象は悪人なのだが、戦ってみたら普通にいいやつだった。
もし続いていたら、シャドルーの目的に賛同して参加ということならありそう?

このアニメでもザンギエフはシャドルー側で出てくる。もしかしたら悪人じゃなかったのかもしれないが、特に改心などなく普通に倒されて終わる。

第1話にリュウのヒロインっぽい子が出てくるが、二度と登場することはなかった。

展開がすごい遅い

見直すと18話からの引き延ばしが異常なことに気づいたが、17話までも相当遅い
最序盤に九龍城で戦う話だけで2話も消費するし、出てくる敵も原作にいないミスターダムド(ファイナルファイトのダムドではない)、コクジャだのソドム(知ってるソドムではない)とゴモラだの、知らない格闘家ばっかり。
そうこうしてる間に「阿修羅」という麻薬組織と戦うことになり、ボスのゾッチ様の配下のドヌーとかハンとかスーンとか知らないおっさんたちとの抗争が終わるのがようやく10話。
ゾッチ様のバックには謎の「総帥」という人物(ベガ)がいた。
この番組を見ててベガを知らない視聴者がいるわけがないだろ。ベガがラスボスなのはわかりきってるので、もったいぶらずさっさと原作のキャラクターを出せ。
オリキャラの中でも刑務所長のヌチット様は緒方賢一の凄まじい熱演により魅力的なキャラクターとなっていたが、こんな知らないおっさんの活躍を期待してる視聴者がどこにいるというのだ。

序盤からモブに豪鬼がちらほら出てくる。ひどい回だと阿修羅のザコ兵の中に豪鬼が混ざってる。
この番組は豪鬼にまともな出番を用意する気がないのね、ということが視聴者に序盤からわかってしまうのである。

原作キャラの登場ペースを見ていくと、1話でリュウとケン、ガイル。3話で春麗、5話でフェイロン、8話でサガット、10話でベガ、11話でダルシム、14話でバルログと、だいたい一人2~3話くらいのペース配分で受け持っている。たぶん半年ちょっとかけて16人出し切るくらいのつもりだったのかな。

ストーリー構成もあんまり良くはない。ボスを倒すと次の街の情報をもらえるRPG的な構成になっており、それで世界を回っていくのだが、ムエタイが強いと思ったからタイとか、国際会議をやる場所がスペインとか、無理やりな理由でフラグを立てた感あり。

キャラデザがまずい

本作のキャラクターデザイン、何人かは原作キャラクターの記号性を致命的に排除している。特にリュウと春麗が別人。ハチマキのないリュウにリュウを見いだすのがしんどい。
キャミィはそのまんまバーチャファイターに出てきそうなデザインに。フェイロンも髪型が違いすぎる。
当時カプコンにいたデザイナー陣が後年に愚痴っており、ここで詳しく書くまでもないか。

ケンやガイルなんかもちょっとアレンジされてますが、このへんは別に悪くないと思います。

春麗はデザインもまずいが、どっちかというとキャラクターが違いすぎるのがまずい。リュウたちに守られる女の子役として出てきており、全然戦わないのだ。
正気の視聴者なら春麗のバトルに期待していたはずである。後半洗脳されるといつもの服に近いデザインに変化し、戦闘力も明確な理由なく上がっていたが、遅すぎた。

波動が出せない

もうひとつまずいのが初期状態のリュウとケンが波動拳を習得していないことだ。
波動だけではない。ソニックブーム、気功拳、タイガーショットといった、リアルでないスーパー系の技は基本使わない。
波動拳は特殊な修行によって体得する例外扱いとして登場し、それゆえに原作よりもはるかに強力な必殺技となっているが、それまでは波動拳がないリュウで戦いを盛りあげる縛りプレイをやっている。かめはめ波と舞空術のない悟空みたいなもんだ。
全体を見ればリアルなアニメでもなんでもないのに。

竜巻旋風脚もリアルではなかったので、最終決戦まで解禁されない。フェイロン戦では普通の「旋風脚」を使用。
もちろんスピニングバードキックもできない。
昇竜拳は最初から使える

何を売る気だったのか

序盤からザコに尺使いすぎ、キャラデザが別人、必殺技は半分くらい使用禁止と、これで原作ファンが喜ぶわけがない。
結果が放送短縮になったのも自然と言わざるを得ない。

ゲームアニメの問題点にひとつ気づいたが、スト2やドラゴンクエストのような、アニメ化されるほどの超人気作品であったがために、アニメ化してもゲームの宣伝にならなかったはずである。
原作に人気がありすぎるので、普通は原作を知ってる人間しか見ない。アニメ単体で面白ければ話は別だが……ストリートファイターII Vだぞ。

グッズ展開はカードくらいしかわからなかった。バンダイのカードダスとアマダのPPカードがあったらしい。
他に缶ペンや下敷きがあったのは確認できた。フィギュア、ガシャポンなどの玩具展開はたぶんなさそうだが、今となっては調べてもよくわからない。
売るならなりきりグッズとか…バルログのお面とベガの帽子くらい売っておけば…
リュウのハチマキは…番組に出ても売れんかも。

リュウが進研ゼミのシャツを着てる回があったので、ひょっとしたらスポンサーで入ってたのかもしれない。だがそれも今調べてもわからん…

俺より強いやつ

放送されたのは95年4月で、日本テレビで月曜の19時。日テレがこの枠でアニメをやるのは久しぶりだったようだが、これはクレヨンしんちゃんの裏番組である。
当時人気絶頂のクレヨンしんちゃんを相手に、どう見ても勝てるわけがなかったのだが、本来なら全く無謀な勝負ではなかったように思う。
まず明らかにターゲット層が違う。クレヨンしんちゃんを見せたくない親御さんがスト2を見せるとは思わんけど、もっと大人向けのスト2を見たい少年少女なら多少はいただろう。住み分けは意識されている。

またこのとき19時30分からは、半年前に始まった『魔法騎士レイアース』が続いていた。つまりアニメファンならクレしんからレイアースというパターンもあり得たわけだが、そこにスト2を割り込ませた形になる。
どうも、本気で対抗を意識してたようだ。

結果を見ればスト2Vはクレしんとの対立以前の問題でこんな感じだが、後番組もアニメの『バケツでごはん』で、アニメ枠としては存続した。そしてレイアースのほうの後番組が『名探偵コナン』だ。
しばらくしてクレヨンしんちゃんのほうが時間帯を移って去っていった。強者同士の対決を避けたのかもしれぬ。

ZEROとの関係?

ストリートファイターZEROとは設定が異なるのだが、リュウの修業時代、春麗の父やナッシュといったキャラクターの登場と、内容が一部かぶっているようにも見える。
制作上はつながってないようだが、上のほうで一定の構想があって、同じような話をやりたいイメージがあったのかな…などと考える。

リュウが悪側に洗脳される展開、リュウを欲しがるベガ、リュウと波動を結び付けるイメージは、一部は後でゲーム側に参考にされた可能性は否定できない。

銅昴のデザインは映画版で先に出ていたが、名前が出たのは本作が最初らしい。
全く影響を残してないわけではないのだ。

ええところ

OPがやたらいい曲なのでつい聞いてしまう。
力入れてたんだろうなあ。

キャストは『ストリートファイターII MOVIE』から大半交替しているが、数人は続投。そのひとりが羽賀研二
当時から言われていたが声優としての羽賀研二の実力は本物だ。本作のケンのキャラクターを見事に演じきっており、このアニメの救いの部分となっている。やたら声がかっこいいバルログ(塩沢兼人)との対決は見どころ。
ちなみに羽賀研二さんは昨年9月にまた逮捕されたが、不起訴となっている。本人は誤認逮捕と言ってるようです。

一部の必殺技が出ないとはいえ、格闘シーンの出来そのものは全体的に良かった。昔のアニメではよくあることだが最終話の作画が急にレベルが上がるのでベガ様については満足できるだろう。
ベガ様が側近のゾルターと仲良さそうにしてるのも良かった。

14話から脚本が酒井直行と沢田謙也(キャプテン・サワダ)の連名になってるんだけど、サワダさんは何を担当したんでしょう?

当時のファミマガで声優を投票で決めたようなことを読んだ記憶があるが、記憶違いかもしれない。誰か知ってたら教えてください。