神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

FF1とドラクエ3とゲーム史

前回の記事の続きになる。

今回扱うのは87年のFF1と、翌年のドラクエ3の話が主。
その前提として、87年あたりのファミコンRPGの状況は前回の記事を踏まえていますが、読まなくても話がつながるようにしたつもりです。
わからないことがあったら、前回の記事を読めばわかるかもしれません。

  • FF1の発売まで
  • 歴史的評価をしたくない
  • FF1の新しいところ
  • ドラクエ2より劣ると思われる部分
  • FF1は本当に新しかったのか?
  • FF1のまとめ
  • 堀井雄二の予言
  • ドラクエ3のすごさ
  • ゲーム史のバランス
  • 次の記事の話
  • 補足
  • 参考文献
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1987年までのファミコンRPGの雰囲気

思えば『ファイナルファンタジー』(1作目)をプレイしたのは結構後の話であって、発売した1987年12月当時にどんなもんであったかなど、私は全く知らなかった。

ゲーム史というのは、その状況を伝えるためにありそうなもんなのだが、少なくない割合で『ドラゴンクエスト』1作目がいかに偉大だったかを讃えているだけで、その後のゲームはかなり大雑把な扱いで終わっているか、ひどいものだとドラクエ1で終了してその後は全く触れてない。
いや、ドラクエ前も、ドラクエ自体の認識も怪しいと言っていい。
FF1が作られていた1987年あたりのファミコンRPGを取り巻く状況、そこに至るまでの道のりはいかなるものであったか。
ファイナルファンタジーはどのへんがすごかったのか。
知りたいのはそういうことだったはずだが、誰も私の納得のいくものを書いてくれなかったので、私が書く。

本記事はファミコン史を俯瞰するものではない。書いているのは主に87年までのファミコンRPGと関わる話であるし、RPG以外の作品だろうと関係のありそうなものは何でも触れていく。

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世界樹の迷宮2 いろいろ

世界樹の迷宮I・II・III HD REMASTER

「世界樹の迷宮」のHDリマスターがセットになって登場。 『世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER』は6月1日(木)発売。このダイレクト終了後、ニンテンドーeショップで予約開始。

2月9日のニンテンドーダイレクトで、DS版世界樹の迷宮3作品のSwitch移植が発表された。
いつかは移植されるだろうと楽観的に思ってはいたのだが、イメージよりかなり早く、驚いている。
仕様もよくわからないうちに初回版が速攻で売り切れるなど、予約準備に非常に困ったが、速攻で売り切れた初回限定版に付属するタッチペンは任天堂が販売してるものと同じだと判明しており、こだわる必要はない。
豪華特典のあるファミ通DXパックの通常版は、4月18日時点でも購入可能。

Switchのファミコン探偵倶楽部は1枚のカードで2タイトル別々に収録ということができたようなので、世界樹もおそらく同じ形式か。
3本共通のタイトル画面のようなものは、ないのかもしれない。

世界樹の迷宮2とは

一作目『世界樹の迷宮』については結構前に書いた。

いろいろ粗いところのあるゲームだったが、その方向性は発売前の期待に応える形で評価された。
しかし初代ディレクター新納一哉は発売直後にアトラスを退社。

果たして大丈夫なのかという不安もある中、世界樹2は発売され、まあまあ大丈夫であった。
全体的には前作の明らかな問題点を改善した部分が多く、その意味では確かに1.5みたいなところはあるのだが、改善というより根本的に変わった仕様も多い。
むしろ変わりすぎて部分的に2.5くらいまで行ってるところもあり、平均すれば2.0という感じなのが『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』だ。

その世界樹2の問題点としては、シリーズでも比較的目立つバグが多いことがあげられる。だが回避は簡単だったり、重要なものはベスト版であらかた修正されている。リマスターでも当然直っていると思われるし、もし直ってなくてもアプデで対応してくれるだろう、さすがに。
もはや値上がりしているベスト版を買うことはない。

そしてリマスターが発売すれば、強制不意打ちだの、マップに映らないfoeだの、foeから経験値がもらえないだの、旧2にしかないアレな要素も、今ここで詳細をレビューしなくても再評価され広まっていくであろう。

でもやっぱり職業のことは書いておきたい。
世界樹2には前作と同じ職業が登場するが、その能力は全て改訂されている。このような変更は後のシリーズでも引き続き行われており、同じ職業が同じ能力だったことはほぼない。
旧2と新2でも全然違う。だから旧2のプレイ感は新2では味わえなかったが、リマスターではDS版からほとんど変更されていないはず。

旧2の基本情報

はっきり言って前作より敵が強い。しかし、味方側はさらに強い。
医術防御はなくなったが、同じくらい強力な技は複数ある。強力な職業が複数並び立つ状態のため、前作のレンジャー一強のような状態にはならない。
前作と比べて味方同士のスキル連携を考える機会も増えた。

育成要素としては、旧2と3では全職業でパラメータのブーストが共通になっている。アルケミストのSTRブーストなど、上げてもしょうがないものも伸ばせる。

バトルではフォースゲージが追加された。各職業は戦闘でゲージを溜めると使える「フォーススキル」という大技が設定されている。旧2は職業ごとに効果が異なる。
パラディンの「完全防御」(そのターンの全ての攻撃を無効化する)、ダークハンターの「オールボンデージ」(敵一体の全部位を確実に縛る)など、一部の職は飛び抜けて強力なスキルを持っている。
そうでもない職もある。このスキル差は結構な格差となっている。

フォースゲージは戦闘を行っているうちに溜まっていくほか、アクセラという消費アイテムで上昇可能。
普通にフォースを溜めるにはダンジョンに入ってからも結構時間がかかるため、毎戦闘使うことはできないし、1戦闘で何度も撃つこともできない。アクセラが出回るまでは、ボス戦でも一度も使えないということもある。だが意識してこれを溜めていけば、ぶっ壊せるものはかなりある。

カースメーカーの強さ

旧2で一番のぶっ壊れがどの職かは意見が分かれるのだが、私はカースメーカーが一番だと考えている。
睡眠の呪言が強すぎる。
最高レベルになると、ほぼ全ての敵が行動する前に発動し、体感95%以上の成功率で敵全体を眠らせる
ザコ戦については、ごく一部の睡眠耐性を持つ敵と、カースメーカーに先制する例外的なものもいるが、だいたいの敵は完封できる。
ボス戦では睡眠はあまり効かないのでそこは無法ではないのだが、弱体系の呪言は効く。弱体化は前作より有用になっており、普通に強い。
役割上、手待ちもできやすいのだが、毎ターン働かなくても強いのであり、アイテム係にもなれる。
支援役どころではない。あらゆる戦闘で重要な役割を果たす司令塔。それが旧2カースメーカーだ。

新スキルの「変化の呪言」(敵の属性耐性を一定値に変える)は一部の条件ドロップに必須に近いが、これが必要になるのはかなり後半の話で、後回しでいい。
だが変化の呪元の前提スキルの「博識」(敵のドロップ率が大幅に上がる)は、後半を見越して早めに取っておくと効いてくる。
博識もかなり極端なスキルで、これを習得したカースメーカーがいると素材アイテムがあっという間にアイテム欄を埋めてしまい嬉しい悲鳴をあげることになる。カースメーカーの存在は資金面ですらパーティーを助けるのである。

ダークハンターの威力

ダークハンターはフォーススキルのオールボンデージとジエンドの二つが有名。
ジエンドは最高レベルだとHP55%以下の敵は即死というものすごい効果なのだが、ボスは効かない場合が多いので、主にFOE用ということになる。
FOEにかなり有効なのは確かなのだが、45%減らせる相手なら100%減らすのもそう難しくない気がする。この技は一部の条件ドロップにも有効だし非常に強力なスキルなのは確かだが、ダークハンターの利点としては一部に過ぎない感じ。
オールボンデージは間違いなく無法なフォーススキルで、終盤のボスにも問題なく有効。他のスキルも安定した強さがあり、ダークハンターは優秀な職となっている。決してジエンド特化職ではないぞ。

アルケミストの脅威

アルケミスト核熱の術式(単体無属性攻撃)による一点突破職だ。
習得できる最低レベルに対して明らかに強すぎる。急げば2層の終わりくらいから核熱の術式5を使えるようになり、そのままラスボスまでパーティーの火力トップを維持するだろう。
もちろん前提スキルが多いので、最初から核熱狙いでないと2層のボスには間に合わないのであるが…
核熱の前提スキルになる「TECブースト」「解析(弱点属性の威力が激増する)」は属性型アルケミストでも真っ先に取ることになる。つまり属性特化型の下準備をすると、自動的に核熱型アルケミストもすぐできる。普通にやっても3層ボスあたりで核熱は見えてくる。

属性術のほうは、単体上位術のレベルを高め、TECブーストを取り、解析をつけて弱点を狙うという下準備を全部やって、ようやく核熱を上回る威力が出る。
これらの属性術のマスターには、核熱より多くのSPが必要になるが、そこまでの差ではない。
(核熱5がSP25だが、属性術なしも厳しいのでもう少しは覚える。
単体上位術10はSP20だが、TECブースト10と解析5を取ると40必要)

属性型で核熱を越えるには弱点狙いが前提。カースメーカーと組む場合は、軟身の呪言の弱体化でも弱点にしたことにできるので、変化の呪言が必要な場面は限られる。こうして弱点が狙えるレベルになると核熱は必要なくなる。
要するに核熱特化しなくてもアルケミストそのものが強いと思えるが、ここに問題がある。
ブーストとアクセサリーの補正により、旧2のアルケミストはレベルが70に達する前にTECがカンストしてしまう
アルケミストの火力を真に支えているのは、このTECの成長速度の速さである。
ちょうどゲームクリアしたあたりでアルケミストの火力は限界に到達し、以降はレベルを上げようが良い装備が手に入ろうが全く伸びなくなる。最後の最後で火力トップから転落し、強みをなくしてしまう。
これは核熱から属性型に切り替えても大差はない。

制限プレイだと最初から使えるフォーススキルの超核熱の術式(全体大ダメージ)がよく使われているようだ。

ドクトルマグスというか剣

ドクトルマグスは剣と回復と味方の単体強化など、いろんな技を持つ赤魔道士的な職だが、剣が問題だ。この旧2特有の仕様で、武器種による速度補正が異常に強く、剣装備=ほぼ先行(多くの剣は杖やモンスターに比べてAGI換算で20倍ほどの速度差が出ているらしい)。一部の例外行動を除いて、剣士は絶対に先制攻撃ができる状態であり、剣を持って回復ができるドクトルマグスの利点はそこにある。
この特性でもう一つ強力なのが巫術:鬼力化(味方単体の攻撃力上昇・大)で、狙った味方より速く行動して、1ターン目から的確に火力を上げることができる。
きわめて強力なサポート職。

ブシドーは普通に強い

ブシドーは構えにターンを消費しなくなった。旧2の構えスキルは対応する技の威力を上げるパッシブスキルであり、技は1ターン目から使えるし、構えが解除されることもない。さらに全体対象の属性技も持っており、使い勝手も極めて良好。
攻撃力が高い魔法戦士タイプの職というのが旧2ブシドー。
刀技は発動が少し遅いのだが、これがドクトルマグスの鬼力化と相性がよい。

最初から最後まで純粋に強いけど、普通に強くてブシドーらしくはない。新1、新2で再登場したときには構えを取り戻していった。

構えのレベルは対応する技の威力を上げる効果だけであり、構えの種類によるパラメータの変化はない。また2のブシドーは刀マスタリーを持っておらず、通常攻撃の威力が伸びないというちょっとした弱点がある。

レンジャーは便利

旧2は警戒歩行がめちゃくちゃ強い。ほぼエンカウントなし。
火力はさすがに前作より引き下げられた。
「ああっと」が登場したのでレンジャーだけで採取部隊を組むのは難しくなった。

このあたりがわかりやすい強クラスだと思うが、こいつらだけを選べば最強というわけでもない。いろんな組み合わせを試してみよう。

職業クエス

旧2特有の仕様に、特定の職業のレベルを要求するというのがある。低レベルでも達成できたりするが、酒場のおっさんのセリフが辛辣になるので、ちゃんといろんな職を鍛えていきたい。

バグ類

ベスト版でも直っていないバグ(と思われる現象)は、重要なのは以下の三つくらい。

  • 巫剣が斬属性と表記されているが無属性攻撃である

旧2の巫剣は純粋な無属性攻撃。物理耐性のある敵には軽減されないが、弱点をつくこともできない。

たぶん表記の方が正しくてゲームが設定ミスなのだが、表記も含めてベスト版でも直っていない。有効というほどでもないのだが、ドクトルマグスのちょっとした個性になっており、直すことが考えられなかったか。
新2とXでも設定を受けぐ形で、耐性の影響を受けない斬攻撃という特殊な技に変更されている。

  • 術式の威力が術者のVITで微軽減される。

なぜかアルケミストのVITを上げると術の威力が少しずつ下がっていく。といってもVITブーストにつぎ込んでも数パーセントとかの差で、気になるほどの影響はないのだが、そのために気づきにくかったようだ。
特にアルケミストは装備補正をつけるとレベル70前にTECがカンストしてしまうため、これ以上レベルを上げてもVITの上昇により火力は微減していくのみとなる。ただでさえ早熟型なのにパワーダウンまでするのだ…

詳しい計算はこちらのサイト参照。

世界樹の迷宮2 術式ダメージの計算式

敵のTECとVITでの軽減は機能していることと、バグではないという仮説も提示している。だからリマスターでどのように修正されるのか、修正されないのか、注目される。
この軽減が単純に削除された場合、前半戦のアルケミストがもう少しパワーアップしてしまうのだが、それほどの影響はないかな…

  • アザーズステップとスローステップがレベル1でも確実に成功する。

この二つのスキルはレベルを上げると成功率が上がるはずが、1でも失敗しないと言われてた。

リマスターの動画で、この2つのスキルの最大レベルが1に変更されていることを確認。つまり、確実に成功するのはバグであったが、仕様となった可能性が高い。

前作からの引き継ぎについて

前作『世界樹の迷宮』をクリアすると、引き継ぎ用のパスワードが出せるようになる。このパスワードを使った引き継ぎによる効果は、以下の3点。

  • クリアの記念アイテムがもらえる(前作のクリア状況でアイテムが変化する)。
  • シナリオの一部に変化が起きる。
  • たまに前のギルド名を呼ばれる。

迷宮内で起きるミニイベントは内容が結構変化したり、引き継ぐと新たに発生するものもある。
特に1階冒頭部分は、引き継ぐと難易度が明らかに上がる。逆に引き継がないことでしか見られない展開もあるわけで、注意する。
また新しいギルド名は引き継ぎ時に決めることになるが、前のギルド名もストーリー上で何度か出てくるようになる。
逆鱗マラソンが無理だった人は他人が公開してるパスワードでやっても構わんのだが、変なギルド名が嫌だというのなら、頑張ってください。

前作のパスワードに使われているのは大文字アルファベットとひらがなのみで、おそらく1文字につき6ビットちょっとの情報量だろう。文字数は64文字。

軽く調べなおしたが、前作のパスワードには、引き継がれないものとして以下の情報も含まれている。

  • パスワードを見た時点の5人パーティの名前とレベル

パスワードは見るたびに変化するが、パターン数は有限で、ロード直後はかならず決まったものが出るようになっている。
キャラクターを入れ替えたり、並び順を変えるとパスワードも変わる。
「名前とレベルが同じで職業や外見が違うキャラクター」と入れかえた場合、パスワードは変化しない。
同じパーティでも休養などでレベルを変えるとパスワードも変わる。
また5人のうちひとりだけ入れ替えたりすると、パスワードも一部しか変化しない。頑張れば解析できなくもなさそうである。

キャラクターの名前6文字×5人が、64文字のパスワードの大部分を占有していると思われる(パスワードは大文字とひらがなのみだが、キャラクター名にはカタカナや小文字もあるので、情報量が多くなる)。
だがそれらの情報を読み出す方法はない。引き継ぎ時に機能しているのはせいぜい10文字ぶんくらいであろう。

リマスターでは引き継ぎはセーブデータで直接できるほか、DS版のパスワードも使えるようだ。
だがリマスターはキャラクターとギルドに漢字を使えるようになった。DS版とは互換を持てないはずだ。
リマスター1はパスワードを出せないのか?それとも、DS版2では使えないリマスター専用パスワードが出せる感じ?
キャラクター名を含まないパスワードで良ければ、漢字を含んでも短くて済むはずであるが。

またリマスターはクリア後に2周目に行ける機能が追加されているらしい。1周目でパスワードを入れないで、2周目でパスワードを入れなおすようなプレイはできるのだろうか?
どうなるんでしょ。

レベル99への道

旧2の引退の仕様は初代から改められている。引退前の職と関係なく能力値にボーナスがもらえるようになり、上昇幅も初代より大きい。レベル70引退で全パラメータ+5なので、これだけでも大幅に強くなる。
そして旧2だけの仕様で、レベル上限で引退すると新人の上限は1上がる。レベル70のキャラクターが引退すると71まで上げられるようになり、71で引退すると72が上限になる。
こを繰り返すことで最大レベルは99になり、さらに99で引退すれば最大のボーナスが得られるわけだが、70と71では引退時の能力上昇値は変わらない。
引退して71になったキャラクターは通常の70に比べて大幅に強いが、上限が72になっても71からほとんど変化がないことになる。
そして言うまでもなく、何度もレベルをカンストさせるには途方もない時間がかかる。
もちろんレベル71と99なら引退ボーナス抜きでもかなりの性能差があるのだが、そんなパラメータが必要な敵はいない。70でもゲームの完全クリアは可能であり、99にするのは純粋な趣味だ
はっきり言って時間の無駄なので、趣味じゃないならやめたほうがいい。アルケミストのように威力が伸びない仕様もあるので、なおさら。
初代のようなレベル補正は旧2にはなく、あくまでパラメータのみで戦力が決定されるので、レベル自体で強さが決まるわけではない。物理系もSTRが上限に達すればこれ以上威力が伸びることはないわけだ。
それでもやる人はいるだろうが、リマスターだと楽になってたりするんだろうか。低難度にすればちょっとは楽か…

初代の発売前の新納一哉のインタビューで、引退を繰り返せばそのうちスキルを全部習得できるみたいなことを言ってたことがあるのだが、初代ではこの仕様は発売前に中止され、引退ボーナスはレベル70の一回ぶんが上限になっていた。
この旧2のレベル上限システムは、ひょっとしたら初代で没になった仕様の復活なのかも、とちょっと思ってる。これでも全スキルマスターはできないのだが。
3以降はこの仕様も改められた。

リマスターへの期待

移植でも大きな変化はないように思えるが、BGMの追加など小さな変化はあることが既にわかっている。細かいところも見比べていきたい。
操作性などはそれほど心配はしていないが実際わからんので、早く動かしてみたいところだ。
スノードリフトのデザインは直ってないほうだろうか。

あと、この移植が成功すれば、4以降の世界樹はもちろん、他社のDSからの移植の手本にもなって、勢いがつくかもしれない…
DS悪魔城も移植してくれ。

鳥山明のドラクエ参加経緯に謎

あまり知られてないエピソードなのだが、

鳥山明ポートピア連続殺人事件をやっており、ゲーム作りに興味があった。堀井雄二がそれを聞いたことから、鳥山明ドラゴンクエストに起用されることになった」という情報が過去にあった。
ただし、これは後に堀井雄二が当時そう聞かされて信じていたが、事実ではなかった」ということが判明している。

前提として、このエピソードを紹介する文献自体が極めて稀で、後年の堀井氏の訂正発言のほうが多く見つかる。
だから、あまり知られてないのは当然の話で、通常は紹介しなくてもよいエピソードなんですわ。

それで終わればいいのだが…
これを意識して追っていくと、訂正情報のほうにも食い違いがあることがわかってきた。
見つけたのをまとめてみる。

  • 96年の堀井・鳥山対談

書籍『ドラゴンクエストモンスターズ』(1996年。2冊セットの厚い本)の2冊目。2ページ目から始まる堀井雄二鳥山明の対談の冒頭

>[堀井]10年ぐらい前、『DQ』を作り始めるときに、キャラの絵を誰に頼もうかという話を、当時鳥山さんの担当だった鳥嶋さんに相談したんです。そしたら、鳥山さんが『ポートピア連続殺人事件』をプレイして、興味を持って、ゲームの仕事をやりたがってると聞いて。

>[鳥山]それは、鳥嶋さんの騙しだったんですよ! ある日突然鳥嶋さんが、堀井さんが描いたラフを持ってきて「描け!」と。(笑)当時はゲームってものを知らなくて、一体どこに絵を使うのか、どんな風に描けばいいのかチンプンカンプン。とにかく堀井さんのラフを絵にすればいいんだ、って感じで描いていました。

本人の口から、これ以上ない明確な否定。
要するに鳥嶋和彦氏が堀井氏に誤情報を渡していたことであり、当時の鳥山明はポートピアというか、「ゲーム」をよくわかってなかった
後で紹介するドット絵のエピソードと合わせて、鳥山先生の言う「ゲーム」というのはファミコンに限らず、鳥山先生にはコンピューターゲームそのものの知識がなかったのではないかと、私は考えている。→2024年2月、末尾に追記しました。私はそう考えていたがそういうわけでもなく、しかし詳しいほうでもなかったようでした。

不明な点としては、鳥山先生は対談の前からこの誤認に気づいていた言い方にも見えることだ。
あるいは、堀井氏も対談の前に聞いていたのかも?
これらは確認のためにこの場で話したのか、それともこの場で初めて判明した事実なのか。そこは、不明。

  • 2003年 AERA dot.の堀井インタビュー

【独占】ドラクエ生みの親・堀井雄二さんが語る今後のドラクエと“遊び”「勇者の墓を作りたい」(2/4)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)

>ある日、鳥嶋さんから「鳥山さんが、君の作った『ポートピア連続殺人事件』にはまっていて、ゲーム制作に参加したがっている」という話を聞いたんです。後から聞くと、鳥山さんはそんなこと何も言っていなかった(笑)。編集者として、鳥山さんに刺激を与えようとしたのかもしれません。

96年の発言と微妙に依頼経緯が違っているが、おおむね同じ内容か。

  • 2013年「黒川塾」の堀井発言

2013年「エンタテインメントの未来を考える会 黒川塾(十弐)」で堀井氏がいろいろ発言している。
このイベントのレポートは複数存在するが、うち3サイトで言及があった。

“黒川塾 十弐”開催 『ドラゴンクエスト』の堀井雄二氏が語る“人を驚かせる発想” チー○やス○マのお話も!? - ファミ通.com (famitsu.com)

>当時鳥山氏の担当編集者だった鳥嶋和彦氏(現・集英社常務取締役)から、鳥山氏が『ポートピア連続殺人事件』にハマっていて、ゲームを作りたがっている、と聞かされたからなのだそうだ。しかしじつはコレ、「だいぶ経ってから(鳥山氏に)聞いてみたら、そんなことは言っていないよ、と(笑)」(堀井氏)とのことで、鳥山氏は、『ポートピア連続殺人事件』にハマっていたのは事実だが、ゲームを作りたいとは考えていなかったのだそうだ。これについて堀井氏は、「でも、あれは恐らく、鳥嶋さんが、作家に新しい刺激を与えようと考えたんでしょうね」と説明。

人を驚かせる発想と究極のユーザー視点--「ドラゴンクエスト」堀井雄二氏のゲームの作り方 - (page 2) - CNET Japan

>鳥嶋氏が、鳥山氏が「ポートピア連続殺人事件」にはまり、ゲームを作りたがっていると聞いて依頼をしたという。しかし、しばらくして堀井氏が鳥山氏に確認したところ、「ポートピア連続殺人事件」を楽しく遊んでいたのは事実だが、ゲームを作りたいとは言ってないとコメントされたとのこと。堀井氏はあくまで推察と前置きしながら、おそらく鳥嶋氏が新しい刺激を与えたくてそのようなことを考えたのではと語った。

堀井雄二氏がゲームデザイナーとなったきっかけや,「ドラゴンクエスト」のゲーム作りを語る。「黒川塾(十弐)」聴講レポート (4gamer.net)

>鳥嶋氏から「鳥山さんが『ポートピア連続殺人事件』を気に入って,ゲームを作りたがっている」と聞かされた堀井氏は,鳥山氏の起用を決める。しかし,その後,鳥山氏自身に確認したところ,「『ポートピア』はプレイしたが,ゲームを作りたいとは言っていない」との返答があったそうだ。堀井氏は「鳥嶋さんは,鳥山さんに刺激を与えるために新しい分野の仕事をさせたかったのだろう」と分析していた。

おやや?
3つのレポートの内容は一致しているが、過去の情報と矛盾している。鳥山先生はゲームを作りたいとは言ってなかったが、ポートピアはハマっていたことになっている。
鳥山先生から直接聞いた話になっているが、時期は不明。「だいぶ経ってから」?

ちょっと前に書いた記事で触れた『ファミコン神拳』2016年の復刻版のインタビューでも言及している箇所がある。

堀井雄二の単独インタビューの114ページ

>堀井 鳥ちゃんから「鳥さん(鳥山さん)がやりたがってる。『ポートピア』にはまってたみたいでゲームの仕事をやりたがってる」って聞いたのでお願いしてみたんだよね。でも、あとで鳥山さんに聞いたら「いやそれは言ってないよ」って言われたの。あれは鳥ちゃんが担当してる作家さんに新しい刺激を与えようと思って「やったら?」と話を持ちかけたんだと思うよ

どこまでが「言ってない」の範囲なのか、どこかで記憶違いが起きてる?

このエピソード、堀井氏は他でもたびたび言及してるようだ。そして毎回鳥嶋氏に対するフォローも入れている。
ところが2016年の本書では、鳥嶋氏もこのエピソードに言及していて…
単独インタビュー73ページ。実はドラクエより前に、鳥嶋氏は83年に鳥山先生にシーラカンスを食べさせる記事というので堀井氏と引き合わせていたらしいのだが。
それはともかく、その後のドラクエの依頼経緯について。

>鳥嶋 鳥山さんは記憶にないと言うんだけど、ゲームが好きだしキャラクターを描くのに興味があると聞いていたからね。

んんん?
これマシリトは当時から今まで、素で誤解してるんじゃないのか?「聞いていた」とは、いったい誰からだろう…?

大いなる疑問が生じたところで、次いってみよう。

ロールプレイングゲームサイド Vol.2で鳥山先生について言及している箇所があった。hally(VORC)氏による記事CRPGモンスター辞典 スライム」
138ページ
スライムのデザイン経緯について、ドルアーガの影響を受けたとの推測が書かれているのだが、

>堀井氏と鳥山氏は当時ゲームセンターが大好きで、鳥山氏上京の折には一緒に朝までゲームセンターに行く仲だったという。

これのソースはゲームセンターCX #106『ドラクエ』を創った男 堀井雄二スペシャル」(2010年放送)とのこと。
番組でこのように言ってたのだろうと思うが、私は確認してない。当該の回がレンタルにないっぽいのと、配信されてるのかどうか、調べてもよくわかんなかったので…
だが96年の対談を信じるなら、鳥山先生はそもそもゲームをわかってなかったはずである。もちろんドルアーガもだ。ドラクエ後ならともかく、それより前にゲームセンターに行くことなど、あったのだろうか。
追記:あったらしい。詳しくは最後に追記。

対談のほうが間違っている可能性はあるだろうか?
マシリトの言う通り、鳥山先生の記憶力を信じていいのかという問題は確かにあるが、いやしかし、何だかんだで鳥山先生もいろいろ覚えてる人だし「ゲーム知らなかった」という記憶が後付けで発生することまでは、考えにくいのだが。
まさか対談の文字起こしが間違ってるのか?そんなことはないだろう…

やはり『ドラゴンクエストモンスターズ』の対談にヒントがある。9ページで鳥山先生は「ドラクエIはハマりましたね。」と言っており、これ以降のゲーム歴は存在することがわかる。

で、

>[鳥山]ドット絵になった自分の絵を見た後、自分の絵が画面に現れるということを考えて、モンスターのデザインをするようになった。それで、どうせドット絵で見えるんだから、最初からドット絵風に描いたらどうか? と考えて、IIのイラストをドット絵風に描いたことがあったんですよ!(笑)

こちらは有名なエピソード…なんだけど、これ初代じゃなくてドラクエ2の話なんですね。

掲載されているイラストも2のモンスターのガスト。ゲームそのものをわかってなかった鳥山先生が、ドラクエ1で初めて理解した結果がこれということになる。
このような配慮は必要なかったので、「堀井さんに「元の絵でいい」って言われ」鳥山先生もホッとしたというが。

ここで、さっき紹介した堀井氏の発言を見直してみる。
2013年の黒川塾4gamerのレポート

>そのほか,鳥山氏が最初はドット絵でスライムを描いてきたために,わざわざ普通のイラストに書き直してもらったというエピソードも披露された。

んんんん?

2016年のファミコン神拳のインタビューでも言及。
73ページ 鳥嶋氏

>鳥山さんはゲームの画面を意識して最初はドット絵を上げてきてくれたんだけど、

114ページ 堀井氏

>最初はドット絵で「スライム」を書いてきてくれたので、普通のイラストでいいですよ、と伝えたの。

2人ともドラクエ1の記憶になっているが、これはおかしい。現に物的証拠として2のドット絵が存在する。
鳥山先生がドットで描いてきて、そんなことしなくていいと伝えたのは事実だろうが、それがドラクエ1の記憶と混ざってしまっているのだ。

どっちかというと、この黎明期の経緯については、だいぶ後の堀井氏と鳥嶋氏の記憶のほうが怪しい。だから私は96年の対談のほうが信ぴょう性が高いと考えている。
おそらく、鳥山先生はゲームを本当に知らなかった。たぶん。
鳥山先生のドラクエ以前のゲーム歴について、伝聞以外のもっと確実な情報をご存知の方は教えて下さい。

  • 謎の情報源

最初に述べた通り、鳥山明がポートピアをやっていたという誤ったエピソードを紹介している文献自体はほとんどない。知る限りでは故・多摩豊氏の『テレビゲームの神々』(1994)という本だけだ。
現在では入手の難しい文献だが、大きめの図書館なら結構見つかる。

132ページにこうあった。

鳥山明は、ユーザーとしてファミコンのソフトを楽しんでいた。とくに「ポートピア連続殺人事件」には熱中しており、こういったソフトづくりになんらかの形で加わりたいという希望をもっていた。

堀井氏が聞いていたガセと同じことが、はっきり書いてある。

誤解のないように言っておきたいが、この『テレビゲームの神々』は、今見ても読む価値のある文献だ。良い本です。
ゼルダの伝説』の宮本茂、『ドラゴンクエスト』の堀井雄二中村光一、『桃太郎伝説』のさくまあきらの4名に焦点を当てて、ファミコンRPGの歴史を追う本で、堀井氏の初期の活動や80年代の背景なども伺えて興味深い。
まあタイトルに反して「テレビゲーム」全体を網羅してる本じゃないし、今の知識でざっと見ると少しは間違いも見つかるのだが、大きな不備はない、と思う。
鳥山先生のエピソードも、誤りと判明するのはおそらく96年。多摩氏がここで真実を知るタイミングはなかったはず。
だが…多摩氏はこの情報をどこから得たのか。おそらく確かな情報源はあったはずなのだが。

『テレビゲームの神々』今読んでも良い本だと書いた上で言うが、重要な問題もふたつある。
ひとつは94年の本なのに、ほぼ89年までの知識だけで書かれていることだ。
本文には桃太郎電鉄の話題が少し出てくるのと、ドラクエ3発売後の中村光一の振り返りくらいの時期で終わっており、SFC時代は飛ばし、エピローグ部分だけ最新ハードの登場する94年に飛んでいる。
発刊時点の多摩氏が、ドラクエ4以降の国内RPGを全く追っていないとは思えないのだが、中身はドラクエ3で止まっている。
経緯は不明。意図して89年までの内容にしたのだろうか。

もう一つの問題は、参考文献がひとつもないことだ。
本書には「鳥山明とポートピア」だけでなく、宮本茂ウルティマに触れていた、さくまあきらが新幹線殺人事件というゲームを作っていた、堀井雄二が「クエストロン」をやっていたなど、他であまり聞かないエピソードがそこそこ出てくる。(新幹線殺人事件は載ってる文献もあるらしい)
私は多摩氏の知識は信頼していいと思っている。ポートピアのエピソード自体は間違いだったが、堀井雄二は94年時点では信じていたはず。だからこれは、当時としては確かな情報だったのだ。
だから過去の本で堀井氏が語ったエピソードかと思ったのだが、堀井氏の著書のひとつ『虹色ディップスイッチ』には書いてなかった。

考えたのは、本書は明確に参考にした文献それ自体がない、これは多摩氏自身が取材したものをまとめた文献なのでは?ということだ。その視点で読むと、当事者から聞いたような語り口の部分がちらちら見当たった。
この本は、雑誌記事などの二次情報のまとめではなく、実は89年ごろまでに得た一次情報を中心に構成されているのでは…
内容の一部が『虹色ディップスイッチ』と一致していたのは確かなので、中には文献から得た情報もあるのかもしれないが。
それを私が識別することが難しい。

こう考えたのは、多摩氏の別の著書『コンピュータゲームデザイン教本』が似た体裁だったせいもある。こちらは多くの海外クリエイターへのインタビューから書かれた本なのだが、内容がそれぞれのインタビューとして一か所にまとまっておらず、得られた情報が本文のいろんな場所で登場するというものだった。

そのように想像しても、『テレビゲームの神々』は「これは本人から聞いた話」と明確に書いておらず、よくわかんないのです。事情をご存知の方がいれば、教えて下さい。

6月12日追記:鳥山先生のゲーム歴について、コメントで確かな情報を頂きました。
Dr.スランプ』9巻の描きおろしページにで、鳥山先生はゲームについて書いております。「自動車TVゲーム"ポール・ポジション"」というのをやっていたことを明かしています。また別のページでテーブル筐体のドンキーコングをやっていた様子を描いています。
その後、11巻のクイズ「すきな遊び」の回答が「TVゲーム」となっています。
鳥山先生は82年から83年にかけて、アーケードゲームにハマっていたことがはっきりしました。
情報ありがとうございました。

ただし、これらのページからは鳥山先生はアーケードゲームのことを「TVゲーム」と呼んでいたこともわかります。では84年以降ファミコンや、テレビにつなぐタイプのビデオゲームを知っていたかは…わかんない。
96年の対談で「ゲーム」を知らなかったというのは、ファミコンを知らなかったという言い間違いか、やはり記憶違いなのか…
仮にファミコンを知らなかったとしても、「TVゲーム」という言葉を使っていたことから、誤解されてもおかしくはないわけです。

もうひとつ追記。堀井さんと鳥山先生が最初に会ったのはドラクエより前のシーラカンスの記事(週刊少年ジャンプ83年32号)だと鳥嶋氏が伝えているところですが、『鳥山明 ドラゴンクエスト イラストレーションズ』によると鳥山先生もドラゴンクエストの依頼を受ける前に堀井さんと何度か会っていたことを書いていました。
ということは、鳥山先生が堀井氏とゲームセンターに行っていたというのもドラクエより前の話なのかもしれません。

まだ不明な点もあるため、引き続き情報収集していきたいです。

2024年2月追記

2023年の書籍『国産RPGクロニクル』の281ページ、鳥嶋和彦氏のインタビューで言及がありました。「ゲームをやってなかった」という発言を鳥嶋氏が認識しており、しかしスパルタンXをやっていたからファミコンのことも知っていたはずだと鳥嶋氏は言っております。えらく具体的なタイトルが出てきた。
スパルタンXは1985年6月発売で、ドラクエの開発スタートが85年末だから、鳥嶋氏の言う通りだとしても、ドラクエの依頼後に買ったファミコンでやっててもおかしくないラインだ…

しかし、もう少し調べたところ、もう少し明確な情報を発見できました。『広告批評1987年7月号』。12ページにドラクエ2発売後の鳥山明のコメントが掲載。

>いままで自分でプレイしたことがあるのは「ゼビウス」「スパルタンX」、それと「ドラゴンクエスト」ぐらいですね。ええ、そんなにはやってないんです。

これではっきりしたが、鳥山先生はゲームを知っていたし、ファミコンもやってたが、詳しいほうではなかった。ポートピアもやってない。やってたのはスパルタンX。このインタビューでマッスルタワー(86年初頭あたり)の内容に影響を与えた可能性を本人がコメントする程度のハマり方だった。
96年の対談でのゲームを知らなかったという発言は、スパルタンXのことを忘れてたんでなければ、「ゲームは知っていたけど詳しくわかってるわけではなかった」という程度の意味なのだろう。タイトルも鳥嶋氏の記憶とあっており、87年のインタビューの信ぴょう性は高いと考える。…ドラクエ参加前後のどっちで買ったかは、わかんない。ゼビウスがあったならドラクエ前の可能性がやや高い。
これ以上はおそらくわからないでしょうが、十分な情報は集まったと思います。追記おわり。

書きそびれていたことがあるので、もう一個追記する。
鳥山明 ドラゴンクエスト イラストレーションズ』には上記ガストのほか、ドット風で描かれた王子たちのイラストも掲載されていて、最初のスライムだとする堀井さんの近年のインタビューと矛盾しているのだ。巻末解説でも、こうしたインタビューがあることを書いている。

しかし、この本が出た以降も、堀井さんは最近のラジオ等でこのエピソードをスライムのこととして語っており、鳥嶋氏もそれに合わせている。2人ともこの本を読んでないのだろうか?
あるいは、二人とも記憶は合ってるのか?
つまり、鳥山先生はドラクエ1でドットのスライムを描いてそれはダメ出しされたけど、懲りずにガストでリベンジをしたと…?
いやさすがにそれはおかしい気はする。

ただこの件を取り下げる様子がない堀井さんたちの記憶、そんなに間違ってない気もしてきたのは、そうだ。ドットのスライムの原画は確認されていないが、それ自体は鳥山先生がどこかでデザインとは別に描いてたのかも…
それとも、開発現場などで描かれたドット絵を間違えて記憶してるとか。もうちょっと詳しく思い出してほしいところであるというところで追記2終わり。