神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

世界樹の迷宮2 いろいろ

世界樹の迷宮I・II・III HD REMASTER

「世界樹の迷宮」のHDリマスターがセットになって登場。 『世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER』は6月1日(木)発売。このダイレクト終了後、ニンテンドーeショップで予約開始。

2月9日のニンテンドーダイレクトで、DS版世界樹の迷宮3作品のSwitch移植が発表された。
いつかは移植されるだろうと楽観的に思ってはいたのだが、イメージよりかなり早く、驚いている。
仕様もよくわからないうちに初回版が速攻で売り切れるなど、予約準備に非常に困ったが、速攻で売り切れた初回限定版に付属するタッチペンは任天堂が販売してるものと同じだと判明しており、こだわる必要はない。
豪華特典のあるファミ通DXパックの通常版は、4月18日時点でも購入可能。

Switchのファミコン探偵倶楽部は1枚のカードで2タイトル別々に収録ということができたようなので、世界樹もおそらく同じ形式か。
3本共通のタイトル画面のようなものは、ないのかもしれない。

世界樹の迷宮2とは

一作目『世界樹の迷宮』については結構前に書いた。

いろいろ粗いところのあるゲームだったが、その方向性は発売前の期待に応える形で評価された。
しかし初代ディレクター新納一哉は発売直後にアトラスを退社。

果たして大丈夫なのかという不安もある中、世界樹2は発売され、まあまあ大丈夫であった。
全体的には前作の明らかな問題点を改善した部分が多く、その意味では確かに1.5みたいなところはあるのだが、改善というより根本的に変わった仕様も多い。
むしろ変わりすぎて部分的に2.5くらいまで行ってるところもあり、平均すれば2.0という感じなのが『世界樹の迷宮II 諸王の聖杯』だ。

その世界樹2の問題点としては、シリーズでも比較的目立つバグが多いことがあげられる。だが回避は簡単だったり、重要なものはベスト版であらかた修正されている。リマスターでも当然直っていると思われるし、もし直ってなくてもアプデで対応してくれるだろう、さすがに。
もはや値上がりしているベスト版を買うことはない。

そしてリマスターが発売すれば、強制不意打ちだの、マップに映らないfoeだの、foeから経験値がもらえないだの、旧2にしかないアレな要素も、今ここで詳細をレビューしなくても再評価され広まっていくであろう。

でもやっぱり職業のことは書いておきたい。
世界樹2には前作と同じ職業が登場するが、その能力は全て改訂されている。このような変更は後のシリーズでも引き続き行われており、同じ職業が同じ能力だったことはほぼない。
旧2と新2でも全然違う。だから旧2のプレイ感は新2では味わえなかったが、リマスターではDS版からほとんど変更されていないはず。

旧2の基本情報

はっきり言って前作より敵が強い。しかし、味方側はさらに強い。
医術防御はなくなったが、同じくらい強力な技は複数ある。強力な職業が複数並び立つ状態のため、前作のレンジャー一強のような状態にはならない。
前作と比べて味方同士のスキル連携を考える機会も増えた。

育成要素としては、旧2と3では全職業でパラメータのブーストが共通になっている。アルケミストのSTRブーストなど、上げてもしょうがないものも伸ばせる。

バトルではフォースゲージが追加された。各職業は戦闘でゲージを溜めると使える「フォーススキル」という大技が設定されている。旧2は職業ごとに効果が異なる。
パラディンの「完全防御」(そのターンの全ての攻撃を無効化する)、ダークハンターの「オールボンデージ」(敵一体の全部位を確実に縛る)など、一部の職は飛び抜けて強力なスキルを持っている。
そうでもない職もある。このスキル差は結構な格差となっている。

フォースゲージは戦闘を行っているうちに溜まっていくほか、アクセラという消費アイテムで上昇可能。
普通にフォースを溜めるにはダンジョンに入ってからも結構時間がかかるため、毎戦闘使うことはできないし、1戦闘で何度も撃つこともできない。アクセラが出回るまでは、ボス戦でも一度も使えないということもある。だが意識してこれを溜めていけば、ぶっ壊せるものはかなりある。

カースメーカーの強さ

旧2で一番のぶっ壊れがどの職かは意見が分かれるのだが、私はカースメーカーが一番だと考えている。
睡眠の呪言が強すぎる。
最高レベルになると、ほぼ全ての敵が行動する前に発動し、体感95%以上の成功率で敵全体を眠らせる
ザコ戦については、ごく一部の睡眠耐性を持つ敵と、カースメーカーに先制する例外的なものもいるが、だいたいの敵は完封できる。
ボス戦では睡眠はあまり効かないのでそこは無法ではないのだが、弱体系の呪言は効く。弱体化は前作より有用になっており、普通に強い。
役割上、手待ちもできやすいのだが、毎ターン働かなくても強いのであり、アイテム係にもなれる。
支援役どころではない。あらゆる戦闘で重要な役割を果たす司令塔。それが旧2カースメーカーだ。

新スキルの「変化の呪言」(敵の属性耐性を一定値に変える)は一部の条件ドロップに必須に近いが、これが必要になるのはかなり後半の話で、後回しでいい。
だが変化の呪元の前提スキルの「博識」(敵のドロップ率が大幅に上がる)は、後半を見越して早めに取っておくと効いてくる。
博識もかなり極端なスキルで、これを習得したカースメーカーがいると素材アイテムがあっという間にアイテム欄を埋めてしまい嬉しい悲鳴をあげることになる。カースメーカーの存在は資金面ですらパーティーを助けるのである。

ダークハンターの威力

ダークハンターはフォーススキルのオールボンデージとジエンドの二つが有名。
ジエンドは最高レベルだとHP55%以下の敵は即死というものすごい効果なのだが、ボスは効かない場合が多いので、主にFOE用ということになる。
FOEにかなり有効なのは確かなのだが、45%減らせる相手なら100%減らすのもそう難しくない気がする。この技は一部の条件ドロップにも有効だし非常に強力なスキルなのは確かだが、ダークハンターの利点としては一部に過ぎない感じ。
オールボンデージは間違いなく無法なフォーススキルで、終盤のボスにも問題なく有効。他のスキルも安定した強さがあり、ダークハンターは優秀な職となっている。決してジエンド特化職ではないぞ。

アルケミストの脅威

アルケミスト核熱の術式(単体無属性攻撃)による一点突破職だ。
習得できる最低レベルに対して明らかに強すぎる。急げば2層の終わりくらいから核熱の術式5を使えるようになり、そのままラスボスまでパーティーの火力トップを維持するだろう。
もちろん前提スキルが多いので、最初から核熱狙いでないと2層のボスには間に合わないのであるが…
核熱の前提スキルになる「TECブースト」「解析(弱点属性の威力が激増する)」は属性型アルケミストでも真っ先に取ることになる。つまり属性特化型の下準備をすると、自動的に核熱型アルケミストもすぐできる。普通にやっても3層ボスあたりで核熱は見えてくる。

属性術のほうは、単体上位術のレベルを高め、TECブーストを取り、解析をつけて弱点を狙うという下準備を全部やって、ようやく核熱を上回る威力が出る。
これらの属性術のマスターには、核熱より多くのSPが必要になるが、そこまでの差ではない。
(核熱5がSP25だが、属性術なしも厳しいのでもう少しは覚える。
単体上位術10はSP20だが、TECブースト10と解析5を取ると40必要)

属性型で核熱を越えるには弱点狙いが前提。カースメーカーと組む場合は、軟身の呪言の弱体化でも弱点にしたことにできるので、変化の呪言が必要な場面は限られる。こうして弱点が狙えるレベルになると核熱は必要なくなる。
要するに核熱特化しなくてもアルケミストそのものが強いと思えるが、ここに問題がある。
ブーストとアクセサリーの補正により、旧2のアルケミストはレベルが70に達する前にTECがカンストしてしまう
アルケミストの火力を真に支えているのは、このTECの成長速度の速さである。
ちょうどゲームクリアしたあたりでアルケミストの火力は限界に到達し、以降はレベルを上げようが良い装備が手に入ろうが全く伸びなくなる。最後の最後で火力トップから転落し、強みをなくしてしまう。
これは核熱から属性型に切り替えても大差はない。

制限プレイだと最初から使えるフォーススキルの超核熱の術式(全体大ダメージ)がよく使われているようだ。

ドクトルマグスというか剣

ドクトルマグスは剣と回復と味方の単体強化など、いろんな技を持つ赤魔道士的な職だが、剣が問題だ。この旧2特有の仕様で、武器種による速度補正が異常に強く、剣装備=ほぼ先行(多くの剣は杖やモンスターに比べてAGI換算で20倍ほどの速度差が出ているらしい)。一部の例外行動を除いて、剣士は絶対に先制攻撃ができる状態であり、剣を持って回復ができるドクトルマグスの利点はそこにある。
この特性でもう一つ強力なのが巫術:鬼力化(味方単体の攻撃力上昇・大)で、狙った味方より速く行動して、1ターン目から的確に火力を上げることができる。
きわめて強力なサポート職。

ブシドーは普通に強い

ブシドーは構えにターンを消費しなくなった。旧2の構えスキルは対応する技の威力を上げるパッシブスキルであり、技は1ターン目から使えるし、構えが解除されることもない。さらに全体対象の属性技も持っており、使い勝手も極めて良好。
攻撃力が高い魔法戦士タイプの職というのが旧2ブシドー。
刀技は発動が少し遅いのだが、これがドクトルマグスの鬼力化と相性がよい。

最初から最後まで純粋に強いけど、普通に強くてブシドーらしくはない。新1、新2で再登場したときには構えを取り戻していった。

構えのレベルは対応する技の威力を上げる効果だけであり、構えの種類によるパラメータの変化はない。また2のブシドーは刀マスタリーを持っておらず、通常攻撃の威力が伸びないというちょっとした弱点がある。

レンジャーは便利

旧2は警戒歩行がめちゃくちゃ強い。ほぼエンカウントなし。
火力はさすがに前作より引き下げられた。
「ああっと」が登場したのでレンジャーだけで採取部隊を組むのは難しくなった。

このあたりがわかりやすい強クラスだと思うが、こいつらだけを選べば最強というわけでもない。いろんな組み合わせを試してみよう。

職業クエス

旧2特有の仕様に、特定の職業のレベルを要求するというのがある。低レベルでも達成できたりするが、酒場のおっさんのセリフが辛辣になるので、ちゃんといろんな職を鍛えていきたい。

バグ類

ベスト版でも直っていないバグ(と思われる現象)は、重要なのは以下の三つくらい。

  • 巫剣が斬属性と表記されているが無属性攻撃である

旧2の巫剣は純粋な無属性攻撃。物理耐性のある敵には軽減されないが、弱点をつくこともできない。

たぶん表記の方が正しくてゲームが設定ミスなのだが、表記も含めてベスト版でも直っていない。有効というほどでもないのだが、ドクトルマグスのちょっとした個性になっており、直すことが考えられなかったか。
新2とXでも設定を受けぐ形で、耐性の影響を受けない斬攻撃という特殊な技に変更されている。

  • 術式の威力が術者のVITで微軽減される。

なぜかアルケミストのVITを上げると術の威力が少しずつ下がっていく。といってもVITブーストにつぎ込んでも数パーセントとかの差で、気になるほどの影響はないのだが、そのために気づきにくかったようだ。
特にアルケミストは装備補正をつけるとレベル70前にTECがカンストしてしまうため、これ以上レベルを上げてもVITの上昇により火力は微減していくのみとなる。ただでさえ早熟型なのにパワーダウンまでするのだ…

詳しい計算はこちらのサイト参照。

世界樹の迷宮2 術式ダメージの計算式

敵のTECとVITでの軽減は機能していることと、バグではないという仮説も提示している。だからリマスターでどのように修正されるのか、修正されないのか、注目される。
この軽減が単純に削除された場合、前半戦のアルケミストがもう少しパワーアップしてしまうのだが、それほどの影響はないかな…

  • アザーズステップとスローステップがレベル1でも確実に成功する。

この二つのスキルはレベルを上げると成功率が上がるはずが、1でも失敗しないと言われてた。

リマスターの動画で、この2つのスキルの最大レベルが1に変更されていることを確認。つまり、確実に成功するのはバグであったが、仕様となった可能性が高い。

前作からの引き継ぎについて

前作『世界樹の迷宮』をクリアすると、引き継ぎ用のパスワードが出せるようになる。このパスワードを使った引き継ぎによる効果は、以下の3点。

  • クリアの記念アイテムがもらえる(前作のクリア状況でアイテムが変化する)。
  • シナリオの一部に変化が起きる。
  • たまに前のギルド名を呼ばれる。

迷宮内で起きるミニイベントは内容が結構変化したり、引き継ぐと新たに発生するものもある。
特に1階冒頭部分は、引き継ぐと難易度が明らかに上がる。逆に引き継がないことでしか見られない展開もあるわけで、注意する。
また新しいギルド名は引き継ぎ時に決めることになるが、前のギルド名もストーリー上で何度か出てくるようになる。
逆鱗マラソンが無理だった人は他人が公開してるパスワードでやっても構わんのだが、変なギルド名が嫌だというのなら、頑張ってください。

前作のパスワードに使われているのは大文字アルファベットとひらがなのみで、おそらく1文字につき6ビットちょっとの情報量だろう。文字数は64文字。

軽く調べなおしたが、前作のパスワードには、引き継がれないものとして以下の情報も含まれている。

  • パスワードを見た時点の5人パーティの名前とレベル

パスワードは見るたびに変化するが、パターン数は有限で、ロード直後はかならず決まったものが出るようになっている。
キャラクターを入れ替えたり、並び順を変えるとパスワードも変わる。
「名前とレベルが同じで職業や外見が違うキャラクター」と入れかえた場合、パスワードは変化しない。
同じパーティでも休養などでレベルを変えるとパスワードも変わる。
また5人のうちひとりだけ入れ替えたりすると、パスワードも一部しか変化しない。頑張れば解析できなくもなさそうである。

キャラクターの名前6文字×5人が、64文字のパスワードの大部分を占有していると思われる(パスワードは大文字とひらがなのみだが、キャラクター名にはカタカナや小文字もあるので、情報量が多くなる)。
だがそれらの情報を読み出す方法はない。引き継ぎ時に機能しているのはせいぜい10文字ぶんくらいであろう。

リマスターでは引き継ぎはセーブデータで直接できるほか、DS版のパスワードも使えるようだ。
だがリマスターはキャラクターとギルドに漢字を使えるようになった。DS版とは互換を持てないはずだ。
リマスター1はパスワードを出せないのか?それとも、DS版2では使えないリマスター専用パスワードが出せる感じ?
キャラクター名を含まないパスワードで良ければ、漢字を含んでも短くて済むはずであるが。

またリマスターはクリア後に2周目に行ける機能が追加されているらしい。1周目でパスワードを入れないで、2周目でパスワードを入れなおすようなプレイはできるのだろうか?
どうなるんでしょ。

レベル99への道

旧2の引退の仕様は初代から改められている。引退前の職と関係なく能力値にボーナスがもらえるようになり、上昇幅も初代より大きい。レベル70引退で全パラメータ+5なので、これだけでも大幅に強くなる。
そして旧2だけの仕様で、レベル上限で引退すると新人の上限は1上がる。レベル70のキャラクターが引退すると71まで上げられるようになり、71で引退すると72が上限になる。
こを繰り返すことで最大レベルは99になり、さらに99で引退すれば最大のボーナスが得られるわけだが、70と71では引退時の能力上昇値は変わらない。
引退して71になったキャラクターは通常の70に比べて大幅に強いが、上限が72になっても71からほとんど変化がないことになる。
そして言うまでもなく、何度もレベルをカンストさせるには途方もない時間がかかる。
もちろんレベル71と99なら引退ボーナス抜きでもかなりの性能差があるのだが、そんなパラメータが必要な敵はいない。70でもゲームの完全クリアは可能であり、99にするのは純粋な趣味だ
はっきり言って時間の無駄なので、趣味じゃないならやめたほうがいい。アルケミストのように威力が伸びない仕様もあるので、なおさら。
初代のようなレベル補正は旧2にはなく、あくまでパラメータのみで戦力が決定されるので、レベル自体で強さが決まるわけではない。物理系もSTRが上限に達すればこれ以上威力が伸びることはないわけだ。
それでもやる人はいるだろうが、リマスターだと楽になってたりするんだろうか。低難度にすればちょっとは楽か…

初代の発売前の新納一哉のインタビューで、引退を繰り返せばそのうちスキルを全部習得できるみたいなことを言ってたことがあるのだが、初代ではこの仕様は発売前に中止され、引退ボーナスはレベル70の一回ぶんが上限になっていた。
この旧2のレベル上限システムは、ひょっとしたら初代で没になった仕様の復活なのかも、とちょっと思ってる。これでも全スキルマスターはできないのだが。
3以降はこの仕様も改められた。

リマスターへの期待

移植でも大きな変化はないように思えるが、BGMの追加など小さな変化はあることが既にわかっている。細かいところも見比べていきたい。
操作性などはそれほど心配はしていないが実際わからんので、早く動かしてみたいところだ。
スノードリフトのデザインは直ってないほうだろうか。

あと、この移植が成功すれば、4以降の世界樹はもちろん、他社のDSからの移植の手本にもなって、勢いがつくかもしれない…
DS悪魔城も移植してくれ。