神殿岸2

2と言っても実質1.5みたいなもの

『悪魔城ドラキュラ ジャッジメント』のストーリー部分

Wii悪魔城ドラキュラ ジャッジメント』は2009年1月に発売された。
悪魔城シリーズのキャラクターが歴史を超えて集結する対戦型アクションゲームという、まあ異端作だ。

別に駄作というほどの駄作ではない。
格ゲーとして見ると、いくら技コマンドがシンプルでもWiiリモコンで操作はできんだろ(クラコンやGCコンも対応)とか、ステージギミックに対してカメラがクソとか、ガークラがあるのにガードゲージが表示されてないとか、超必の演出が長いキャラ20秒も続くとか、いろいろ言いたいことはあるが、極端につまらないことはない。
というか、まあまあ面白いのだが、「まあまあ面白い」くらいのゲームでこのような異端路線が許されるかとも思う。
音楽は素晴らしいね。

もちろん一番異端なのは小畑健のキャラクターデザインなのだが、実際にやってみれば違和感のあるキャラクターは数人、全体の2割くらいであろう。
もともと原作のキャラクターのイメージが固まってないものについて、本作でデザインも性格も新しく作り直してもそう大きく破綻することはなかった。その見立ては間違っていなかったと思われる。
ただ2割については違和感も認められる。

そんなゲーム内容の話はここまでとして、本記事で触れたいのは本作のストーリー部分についてだ。ちなみに古いゲームだしどうせ今からプレイする人はあんまりいないだろうから、ネタバレ配慮はしないぞ。
本作のストーリー部分は数多くの悪魔城シリーズのネタを非常に細かく拾って構成されており、本作だけでは完結していない。もっとも、理解できなくても大した影響がないくらい本作のストーリーは薄いのだが、ちゃんと理解するには大量の原作もプレイしなきゃいけない。ギャラリーオブラビリンスも闇の呪印も黙示録外伝もエンディングまでプレイする必要がある。
それどころか本作で初めて明かされる設定も結構あり、本編の解釈にまで影響を及ぼすのである。薄いストーリーにそれを詰め込んでる手腕、逆にすごいのでは?
見た目で異端作に見える本作、その根っこは悪魔城脳に固まりきっていると言わざるを得ない。

なお本作の開発経緯について、ゲームサイドVol.16でIGAがいろいろ裏話を語っている。「鞭キャラクターは2人まで」「ハマーが最後まで候補にいた」など、人選についての話が興味深い。

ストーリーモードの流れ

謎の空間に導かれた13人の戦士は、アイオーンに促され戦いに赴く。各キャラクターで3人目のライバルを倒した時点で終了。

13人全員クリアするとアイオーンが使用可能になり、ストーリーが変化。
もう一度各キャラクターでストーリーモードを進めると、アイオーンと2回目の戦いが発生し、最後に真のラスボス「タイムリーパー」と戦えるようになる。これをクリアすると真のエンディング。

ストーリーと言えるものは

  1. OPの導入メッセージ
  2. アイオーンの説明
  3. ライバルとの対話×3人
  4. アイオーンの2度目の会話
  5. ラスボス撃破後のエンディングメッセージ

となっている。途中の会話はセリフがあるのでいいとしても、このエンディングというのが、f:id:kandatashine:20220305180812j:plain
このように文字だけで状況が説明される簡素なものである。
しかも内容も「シモンが呪われた」と原作の出来事そのまま語られるだけのものが多くを占める。これが真のエンディング。この戦いで何も解決していない。ちょっとひどくね。
しかしながら「シモンが呪われたのはこの6年後」と、最後までプレイして初めて正確な時期が判明することも多く、ちゃんと最後まで見ないと全貌を把握しきれないようになっている。

難易度はエンディングに影響しない模様(ベリーハードクリアしてない)

シモン・ベルモンド

困ったことに、ダメなほうの2割に含まれるのが本作のパッケージを飾るシモンだ。顔がほぼ夜神月なのも当然問題だが、性格面でも違和感が大きい。
時代はドラキュラ討伐からしばらく後、ドラキュラ2の6年前。ドラキュラを倒したのは鞭ではなく自分の力だということを証明するため、同じ鞭を持つラルフに戦いを挑み、自分の強さを証明しようとする荒っぽいシナリオとなっている。
ラルフを倒して満足したのち、エンディングで呪われる。知ってるわよ!
「最強」のリヒター、始祖レオン、初めてドラキュラを倒したラルフに対し、「最も高名」という称号、確か本作が言い始めたものだったと記憶しているが、その肩書に似合わない荒んだ性格。
だから、このシモンについて蛮族感を押しているのは、おそらく呪いの封印時に丸くなったイメージなんだと思う。シモンが呪われていた頃はベルモンドの名声がさほど高くなかったこと、ドラキュラIIをやったプレイヤーはよく知っているだろう。
呪いを受ける前のシモンは蛮族寄りであったとするのは自然なのだ。祖先との比較で悩みながら、大病をやって生き残ったことが人生観に影響し、その後は一族の名声を高めることに尽力した…という流れが見える。
そのような戦後の変遷まで考えてのジャッジメントのシモン像だと私は認識しているが、要するにこのシモンを受け入れる難易度は高い。やろう、ドラキュラIIを!(日本語版はWiiU3DSでしか買えないため、eショップのなくなる2023年以降入手困難になる見通し)

夜神月であることの問題も大きい。
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攻略本に小畑先生のラフが載ってるのだが、シモンだけ全然顔が違う。おそらく年代記版シモンを参考にデザインしたものだろう、こちらには独特の蛮族感があって、いい感じな気がするんだが。山賊になっていたLOS版のシモンと通じる雰囲気もある。
どこかで夜神月に修整されたようだが、シナリオ書き終える前なのか後なのか
誰が変えさせたのか、IGAなのか小畑なのか他の誰かなのか(ゲームサイドによると大部分は小畑先生にお任せで、ドラキュラだけIGAから注文して変更したとしている)
キャラモデルの原画再現度が低いのも関係があるかもしれない。このゲームは小畑健の原画、画風をWiiの性能で非常に高度に再現しており、シモンはその再現度がちょっと甘い、ポリゴンモデルは夜神月感を下げ蛮族度を残してるようにも見える。

ストーリー面でもシモンと同時代の者がおらず、あまり他のキャラクターと絡まないのだが、ラルフの仲間サイファ・グラント・アルカードを「伝説の3戦士」として知っている。ラルフは含まない。
またベルモンドが歴史から消えたことについて、シャノアには謝る。生来の高潔なところを見せた。

ちなみに、オレカバトルのシモンに本作のセリフが使われているようだ(「このムチを持つ男として負けるわけにはいかない」など)。本作も多少は爪痕を残していることがわかる。
ただGoSのシモンには、今のところ本作のキャラクター性が反映されている様子はない。

CV:鈴村健一
ちなみに現在スマブラやGOSでシモンを演じているのは、ハドソンの『ドリームミックスTV』で年代記シモンを演じた石川英郎オレカバトルで誰かは知らない。

BGM: VAMPIRE KILLER
悪魔城ドラキュラ』よりブロック1のBGM、その後も多くの作品で再録されている。

アルカード

1999年よりは前のアルカード。予言された99年の戦いの準備を進めている。
1797年に目覚めてからそれなりの期間が経過しており、倒した親父がまだ復活を繰り返していることも知っている。完全に倒すにはどうすればいいか頭を悩ませている最中。
エリック・リカードのことは知らなかったようなので、1914年以前の可能性が高い。
過去に2度親父と戦っているが、本来の力のドラキュラとタイマンで戦ったことはまだない。
※ゲーム内では曖昧な情報なのだが、ドラキュラは100年に一度復活するものが本来の力らしい。そしてこの空間にいるドラキュラは本来の力らしいのだが…

本作で判明した事実として、アルカードスピアを作ってリカード家に渡したのはアルカード本人。ただしその時期は不明で、1897年の戦いに参加したのかも不明。
またマリアに対しては思い入れが強いのだが、マリアのほうはまだアルカードを知らない。
グラントやサイファの顔は覚えてるが反応が薄い。原作通りあまり絡んでないのかもしれない。(原作ではグラントと会う可能性はあるがサイファとは接点がない)
一方カーミラのことは知らなかった。カーミラのほうからは知られている。
そしてアイオーンが何者かは知ってるようである。

CV:宮野真守
置鮎龍太郎のイメージが強いアルカードだが、ドラマCD『追憶の夜想曲』では宮野真守。それを受け継いだキャストとなっている。

BGM: Dracula's Castle(ドラキュラ城)
月下の夜想曲』より城入り口の曲。
前奏が大きくアレンジされていて格ゲーっぽさが強まっている。

マリア・ラーネッド

これもダメなほうのキャラだと思う。
血の輪廻から数年後。月下の夜想曲の2年前、リヒター失踪の1年前とされる。15歳でこれで17でああなるのか…
当時既にベルモンドを凌ぐとまで言われていたマリア、特に何かしていた時期ではないが時の狭間に迷い込んでしまい、体型で勝るシャノア、サイファカーミラに次々と襲いかかるという内容。アイオーンに諭されて落ち着きを取り戻す。かなりギャグ寄りで、月下と輪廻の中間のマリアとしてはかなりどうかしてる。
もともと原作でギャグキャラ寄りだったとはいえ、Xクロニクルではシリアスな面も見せてヴァンパイアハンターの血筋を感じさせたのに、何があってこれを経由して月下マリアになるイメージなのか。ならないのか?

エリック・リカードからは過去の天才としてリスペクトされている。
通常攻撃はフクロウの「オゥちゃん」をメインに使う。GoSで拾われなかったネタ。

CV:松来未祐
マリアの声はよく交替してるが、本作ではアルカードと同じく『追憶の夜想曲』とキャスティングを合わせている。

BGM: Slash
『血の輪廻』ステージ4'の曲。もとはマリア用の曲でもないが、おどけた雰囲気の中に昏さのある曲調が似合っている。マリアを使えない『悪魔城ドラキュラXX』に未収録の曲でもある。本作の後、『ドラキュラHD』でもマリアのテーマとして採用されている。

ラルフ・ベルモンド

ドラキュラを初めて倒した男。『悪魔城伝説』の3年後の『闇の呪印』の前、悪魔精錬士を追ってワラキアに来たばかりのラルフ。ヘクターとはまだ会ってない。
グラントとは長く会えておらず、結婚式にも来なかったことを気にしていた。
そして結婚後は家では本気で戦えないのでサイファに勝てないという悩みを抱えていた。この人は原作でも蛮族寄りなので、そうなるな。シモンと違い、ラルフとしての違和感の少ないキャラ造形をしているが、闇の呪印設定なら23歳のはず、妙に老け込んでいる。
また闇の呪印で傷を負っていた左目だが、本作では完全に閉じている。

CV:近藤隆
闇の呪印の増谷康紀とは演技の方向性がだいぶ変わったが、本質的には同じキャラクターと言える。

BGM: Beginning
悪魔城伝説』ブロック1のBGM。シリーズではよく使われている曲だが、闇の呪印では使われてなかった。

エリック・リカード

VAMPIRE KILLERより数年前とされる、少年時代のエリック・リカード。数年前でいけるか?
自分の力に自信があり、リカード家のアルカードスピアはヴァンパイアキラーよりも優れていることを証明しようとしている。そしてベルモンドを凌ぐ力を持つと言われるマリアを越えることで満足した。
数年後恋人を殺されたことで使命に目覚めるとして締めくくる。
特にこの空間で得たものはなかった気がする。

本作の説明書など、限られた媒体にしか書いてない情報なのだが、リカード家はモリス同様にベルモンドの血を引いているとのこと。
そしてアルカードによるとアルカードスピアはあくまでムチを助けるためのものなんだそうだ。

CV:三瓶由布子。低音の少年声。

BGM: Iron Blue Intention
VAMPIRE KILLER』ステージ4、ドイツステージのBGM。スペイン人のエリックと強い関係のある曲ではないのだが、ギャラリーオブラビリンスでも使用された。
つまり「エリック・リカードの出るゲームで必ず使われている曲」である。

サイファ・ヴェルナンデス

悪魔城伝説より過去のサイファ。OPでは討伐隊とはぐれたと言っているが、これは実はドラキュラ討伐ではない。エンディングによると悪魔城伝説より数年も前、ドラキュラの登場より前のサイファなのである。
当然ラルフたちとは会っていないが、ベルモンドの名は知っている。なにげに本作で一番昔から来た人物で、唯一ドラキュラのことを知らない。
また原作では教会所属のハンターという設定だったが、本作では「魔女狩り全盛期に教会に特別に保護されている魔女」という新設定が軸になっている。これは闇の呪印のストーリーとも関連してくる。
しかし、そんな彼女の言動に魔女のような雰囲気はまるでない、正義感の塊のような性格で頭が固く、コーネルの言うことを全く聞かず襲いかかる。
またシャノアが本人も気づいていないヴァンパイアの力を使っていることを見抜き(刻印中盤のネタバレ)、やはり襲いかかる。
この挙動は闇の呪印でヘクターに襲い掛かってくるラルフそっくりだ。夫婦でこんなやつらのイメージなのかIGAは。
そして彼女はドラキュラは知らないが、カーミラのことは知っている。だからカーミラはドラキュラの人類攻撃より前から敵として知られていることになる。

原作と異なり外見では性別を隠していない。しかしエンディングは数年後のドラキュラ侵攻に際し、魔女狩り対策に男装を決意するというものになっている。
なんでもドラキュラ出現の数ヶ月前に魔女が処刑されたというのである。リサのことだろうか…?これもリサの死亡時期を特定する、何気に重要な情報だ。
またマリアとの対決で外見のこと言われたのも影響を残してるかもしれん。

原作のサイファ、男っぽい喋り方はするけど見た目は女性的だし、説明書には性別のこと書いてなくて、エンディングでも本当の姿を隠してたって言ってるけど明確に男装なのかどうか曖昧であった。むしろ「サイファは意識して男装してた」という情報は本作が初出と言える。

CV: 小清水亜美
のちにBloodstainedでミリアム役に起用されたのは、本作の影響。見た目がクールなミリアムがああいう感じなのは、実はサイファからの流れにあるのだ。

BGM: MAD FOREST
悪魔城伝説』より、サイファ加入ステージの森のBGM。
原作ではあんまり彼女の曲というイメージではないのだが、本作の荒っぽいサイファのイメージには合っている。

グラント・ダナスティ

悪魔城伝説より一年後。復興作業をやっているとのこと。
外見がミイラ男になってるのは魔物だった名残というわけではない。ストーリーでは一貫して人間として扱われており、誰も彼の姿に疑問を持っていない。何なん…
ラルフのことを兄貴と慕っているが、実はサイファに惚れており、結婚式をすっぽかしている。そのどうしようもない気持ちをぶつけるというストーリー。
一方で、兄貴と同じムチを使うシモンのことが好きではない。声からも明らかなように、めんどくさい男なのだ。
戦後はハンターとしてではなく、復興に尽くした英雄として語り継がれたという。このミイラ男が…

CV: 小野坂昌也。今のところグラントに声優がついた唯一の媒体。

BGM: CLOCKWORK
悪魔城伝説より、グラントが加入する時計塔の曲。

カーミラ

何度かシリーズに登場している敵と同名だが、これまでのどのカーミラも似ていない。顔に血の涙っぽい模様があるくらい。
もっとも本作以前にカーミラのセリフがあったのはサークルオブザムーンだけであり、あちらも扱いの大きさの割にキャラは薄めだった。
カーミラをちゃんと掘り下げた作品として、本作は意味があるかもしれない。

格闘技を使うのはしもべのラウラを意識してるっぽい。
目覚めて動き回ってるアルカードの存在に驚いていないので、それなりに後の時代から来たようだが、アルカードからは知られていない。
サイファ編の情報から、どうもドラキュラより前から人類と敵対していることもわかっている。
ということは、15世紀以前からカーミラは存在しており、アルカードが眠った16世紀以降にドラキュラに仕えるようになったということなのだろう。
カーミラのほうがドラキュラより古いというのは、「吸血鬼カーミラ」が「吸血鬼ドラキュラ」より古い小説であることを意識したものだろうか、ロードオブシャドウシリーズでもこの関係性があった。
なお「カミーラ」名義で出ている作品が多いのだが、ゲームサイドによるとサークルオブザムーンに合わせてカーミラにしたとのこと。

CV: 大原さやか
悪魔城ドラキュラXクロニクル』のアネット役。アネットはXXでカーミラと関連を持たされており、Xクロニクルもそれを反映する展開があった。
それを意識したキャスティングに見えるが、キャラクターはだいぶ異なる。

BGM: Bloody Tears
カミーラ初登場作品『ドラキュラII 呪いの封印』より昼間のフィールドの曲。ドラキュラ2を代表する曲で、多くのシリーズで使用されている。
カミーラ戦で流れる曲ではないが、曲名は血の涙で攻撃してくる様子を思わせる。

コーネル

黙示録外伝開始直前。修行の途中、時の狭間に囚われた影響で変身が解けなくなってしまい、もとに戻る方法を探している。だから人間体のデザインはない。
ボディスーツだった原作と違い、変身体の上からさらに狼の鎧を着込んでおり、デザインは重装備、やたらかっこいい。重装備なのにスピードキャラ。
立ち位置としては本作の誰とも強い因縁がない独立勢力だが、外見でハンターからは襲われ、夜の一族からも裏切り者とみなされ襲われ、原作に準じた扱いのために待遇が悪く感じられる。
だがひとつ原作から掘り下げた点があり、彼は変身能力そのものを封じたがっている。まず原作ではコーネルの一族は既に変身能力自体は封じており、コーネルのみが修行により変身可能になったという、ややこしい経緯がある。
そこに本作の言動を原作と合わせると「コーネルは修行で変身能力を取り戻して制御したうえで、さらに完全に人間になる方法を探していた」ということになるのだろうか。一層複雑な男になった感がある。
また「夜の一族」という言葉は黙示録に出てきたものではないが、コーネルの一族がここに属するのは確かなようだ。変身能力は太古の呪いによるものであり、普通の方法で解くことはできないという。
そして死神はなぜか彼の呪いを解こうと協力を持ちかけてくるのだが、これも原作の設定を意識した描写だろう。黙示録外伝のデス様はコーネルを人間にしたい理由があるのだ。
このようにコーネルの諸設定は原作『悪魔城ドラキュラ黙示録外伝』を最後までプレイしないと把握しきれず、非常に難易度の高いストーリーとなっている。
ジャッジメントのコーネルは「人間になる方法はある」という希望を得ただけで死神のことは拒絶し、その方法は語られないまま終わる。エンディングは原作冒頭の故郷が燃えるところで終わる。何も解決していない…

CV: 小西克幸
原作には声付きの長セリフはないが、テノール歌手のジョン・健・ヌッツォ氏が演じていたとのこと。

BGM: The Wolf Revealed
悪魔城ドラキュラ黙示録外伝』にはコーネルのテーマのようなものがなく、黙示録の複数BGMのメドレーになっている。原曲は「Melodies of Castlevania」(サウンドトラックに収録されているオリジナル曲。「本丸 ~ メインテーマ」のアレンジ)と、「マルスの異変」の前半(レノンの曲)、そして「歯車」(時計塔)の3曲。

ゴーレム

フランケンの要素も入っていて、雷属性のゴーレム。何こいつ…
シリーズにゴーレムは何度か出てはいるが、あまり恒例の敵という感じではないし、こんな人造人間みたいなゴーレムは他のシリーズで見たことはないのだが、カーミラが作ったという設定である。
カーミラとゴーレムが同時に出るのはサークルオブザムーンと血の輪廻か。説明書では登場作品「血の輪廻」他となっている。OPでは「忘れられし廃墟」から来たとも語られている。
そんなこいつのストーリーは、この空間に来たことで自意識が目覚めて自分の生きる意味を求めるという、まあ、ありがちな内容。
創造主カーミラをママと呼ぶが、カーミラからは忘れられている。あるいはカーミラはゴーレムより前の時代から来てるのかもしれないが、そんな考察が必要か?
ただ悪いやつではないので、優しくしてくれるハンターもいるが、コーネルをキレさせたりデス様に説教を受けたり、扱いは不憫。

最後はこの世界を脱出することで自我を失うことを知るが、彼は自我に従ってその道を選ぶという悲しい終わり方をする。不憫。
よくある感じの内容で短いストーリーなのに、人間を目指す怪物のキャラ立てには成功している、IGAは非常にこういうのが上手いと思わされるキャラクター。

CV:白熊寛嗣。

BGM: The Tower Of Dolls
X68000版『悪魔城ドラキュラ』(悪魔城年代記)のブロック6後半、人形塔エリアの曲だ。特にゴーレムと関係ある場面ではなく、曲名だけで選んだ感が強いが、奪われた刻印でも機械人形の敵が出てくるエリアで流れていた。

シャノア

アルバスを追っている途中。なぜかゲーム終盤のグリフも使うが深く考えないでおこう。
記憶とともに感情を失っているはずだが、エクレシアの技術への熱い信頼と自信を持っている厄介なお姉さんとして登場する。夜の一族とは敵対しているが、他のハンターもライバルなので勝負を挑んでくる。目標は失われたベルモンドの力を越えることだ。

CV: 桑島法子
声は原作と同じで、見た目だけ違うことにより、むしろ若干の違和感があるのは否定できない。

BGM: An Empty Tome(黄昏の聖痕)
奪われた刻印』より悪魔城前半エリアのBGM。シャノアのメインテーマ。

アイオーン

時の狭間に13人を集めた人物。「ここには貴方の望むものがあります」と戦士たちに語りかけ、戦いを促す。果たして彼の目的は?
というふうに見せかけているが、実は集めたのは彼ではない。
「望むものがある」というのも、マリア編をやるとわかりやすいが、ここに来た者たちの悩みは殴り合って話してるうちに結果的に進展するという意味である。彼自身に望みを叶える力などはない。
そうして殴り合って高みを得た魂を集めることでラスボスへの扉が開く仕組みなので、その協力をやっていた。彼もこの戦いに巻き込まれた一人なのである。

本作の新キャラだが、『闇の呪印』に出てきた謎の人物サンジェルマンと言動に類似点が見られる。どうも、彼ら「時の管理者」はこのような特殊な空間でないと戦闘力を発揮できないらしいのである。(IGAの退社後の非公式発言で、アイオーンとサンジェルマンは同じ勢力に属していると述べている)

CV:神谷浩史
キャッスルヴァニア』のヨアヒム役。

BGM: Darkness Of Fear(Arr.)
本作のOP曲の戦闘アレンジ。

死神

デスノートにそのまま出せそうなデザインのデス様。この空間が何なのか、アイオーンが何者かよく知っているようである。
そして闇の呪印でもそんな感じだったが、不死者と時の管理者は仲が悪いらしい。
だが今回の敵はドラキュラの敵でもあることにも気づいており、不本意だが疑問は持たず、素直にアイオーンに協力しながら、彼自身はハンターの邪魔をしていく。
コーネルに取引を持ちかけるのは別件で、黙示録外伝のストーリーに基づく行動なのだが、原作をプレイしていないと理解できない。
イムリーパーとは見た目通り同質の存在であるということで、強く敵視している。

参戦時期は不明ながら、ドラキュラ様が健在の時期ではなく、主の復活を目指して頑張ってる時期らしい。
エンディングではなぜドラキュラに従うのか、大いなる意思でも働いてるのか?というようなことを指摘される。『キャッスルヴァニア』では真紅の石を持つ者に従うという設定だったが、それはきっかけに過ぎないのだろう。

CV:坂口候一

BGM: Evil's Symphonic Poem (Death's Theme)(邪神交響詩~死神のテーマ~)
PS2キャッスルヴァニア』の死神の曲だ。

ドラキュラ

ここでは完全な力を持っているらしい。マリアやエリックなどと戦った記憶を持っており、20世紀以降のものということになるが、混沌の産物だから未来の記憶くらい持ってるかもしれない。
シャノアやコーネルに対しても対戦前セリフで「覚えている」と発言する。

CV:中田譲治
本作以外で悪魔城に出演したことはないが、完全なドラキュラ役としての説得力がある。

BGM: Dance Of Illusions(幻想的舞曲)
『血の輪廻』ほか、多くのドラキュラ戦で使われているおなじみの曲。

イムリーパー

ストーリーモードのラスボス。
1万年後より現れ、この空間にドラキュラたちを封じ込めた死神のような姿の魔物。
この「1万年後」というキーワードから察せられる通り、「ドラキュラくん」の宿敵ガラモスの手下である。わかりやすく撃破時にガラモスの名を叫ぶことがある。
こいつの目的はガラモスと敵対するドラキュラをこの空間に封じ込めることであり、他の戦士たちはとばっちりなのだ。
いや何なんだよこいつは
これについて、ドラキュラくんには側近の死神がいるが、敵側にも「しにがみさん」と呼ばれるボス敵がいる。それと同一存在かは不明だが、要はガラモス側にも別の死神がいるのである。
つまりドラキュラくんに出てきたステージボスと同格程度の尖兵が本作のラスボスを務めているということであり、何なんだこいつは。せめてガラモス本人を呼んでこんか。

とはいえ、『月下』にふらっと出てきたガラモスが正史シリーズにおいてもドラキュラと敵対関係にあることは、まあ本作で初めて明言されたことになるのだろうか。ドラキュラ様もベルモンドと遊んでる裏でこういうもんと戦っていたのだ。
『ロードオブシャドウ』シリーズの宿敵サタンの元ネタも、おそらくガラモスという気がする。
また『暁月の円舞曲』に出てきたガラモスのソウルの効果(止まった時間を認識できる)も、本作の時の狭間の設定を考えると意味深である。

デザインは闇の呪印の死神の色違い。もうちょっと頑張ってくれ。
声はボイスチェンジャかかってて誰かわからん。エンディングにはメインキャストしか載ってないが、誰かの兼役か、コナミ社員であろう。

取り立ててつまらないゲームではないけど、無理におすすめもしないよということで。
今やる必要はあんまりないでしょうな…