FF1の移植バージョンによるゲーム内容の違い、詳しいことは攻略サイトでまとまって…いないのだが、この記事ではゲームシステムやアイテムの違いなどは詳しく語らない。
ピクセルリマスターFF1の記事でもちょっと触れたが、FF1は移植に際して、ストーリーそのものにも少々変更が入っている。セリフや演出の細かい違いは大量にあるのだが(特にGBA版以降はゲームのセリフのほぼ全てが書き換えられている)、中には世界観の解釈そのものに影響を与える変更がある。
大きく3バージョンに分けて考える。特に大きな変化を表にまとめるとこんな感じだ。
事柄 | オリジナル | WSC/PS | GBA以降 |
---|---|---|---|
クリスタルの存在 |
光の戦士は球形のクリスタルをそれぞれ持っている。 |
光の戦士は六角形の小さなクリスタルを持っている。 各地の祭壇には大きなクリスタルが設置されている。 |
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コーネリアの大臣 | いない | いる | |
ガーランドのドット | 戦闘前は素顔 | 戦闘前からフルフェイス | |
ガーランドの目的 | 「王女は俺のものだ!」 | 「王女の命と引き換えにコーネリアは俺のものになる。」 | 「王女の命と引き換えに、コーネリアはついに私のものとなる…。」 大臣のセリフも変更されており「セーラ姫をさらい、コーネリアの国王の座を要求しておる…。」 |
コーネリア北の橋 | 話を聞くと即開通している | 開通時にカットシーンが入る | |
リッチのセリフ | しゃべらない | しゃべる | |
シド | 名前も出てこない | 名前だけ出る | |
飛空艇 | 「ひくうせん」 説明書では「飛空艇」 |
飛空艇 | |
浮遊城の描写 | 黒い宇宙空間に浮かぶ機械の建造物 | 白い雲間に浮かび、城自体は機械的ではない (なのにコンピューターのセリフはそのまま) |
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アイテムや魔法使用時のメッセージ | ふざけている | ふざけていない |
※「WSC」はバンダイの携帯ゲーム機「ワンダースワンカラー」のことです。FF9が発売したころ、このハードにFF1が初めて移植されたのですが、いまやファミコンより知名度が低いと思われますので、注釈として書いておきます。
と言っておいてなんですが、私はWSC版のFF1はプレイしておりません…
ストーリー上の重要な変化はガーランドの人物像と浮遊城だ。
ガーランドが王女を誘拐した理由は、ファミコン版では「王女は俺のもの」であり、これによりコーネリアをどうこうしようという意図は、少なくともセリフ上は感じられなかった。
この内容はWSC以降で変更され、GBA版でさらに言い回しが変化した。王女を生贄に(???)、コーネリアは俺のもの?
ガーランドは王女の何を、どうしようとしたんだろう?
さらにGBA版では大臣のセリフも変更され、ガーランドはコーネリア王の座を要求していたことになるのだが、王女の命というセリフもそのままだ。殺してどうするんだ、王女を嫁にする俺が国王だということではないのか。
ここ移植の際にアレンジされて、かえって謎が深まっているんですね。「王女が欲しいからさらった」というファミコン版の、言ってしまえば大したことない動機であったほうが、この冒険の始まりにはふさわしかったのではないだろうか。
とにかく、ガーランドの行動は謎。
またガーランドの一人称が俺から私になってたりもするが、ファミコン版でも「わし」と「おれ」が一つのセリフの中で混在していて、そもそも不安定。
もうひとつ重大な変更が浮遊城の描写。
ファミコン版はスペースコロニーであり、文明が宇宙にまで進出していたことを、これ以上なくわかりやすく表現しているが、移植で大気圏内に落とされ、ありきたりなファンタジーな城に変更されてしまった。
中に出るメカ系のモンスターや、パソコンみたいなセリフはそのままという、歪な状態になっている。
(個人的な推測だが、宇宙進出するのはウルティマ1から直接影響されたものとみている)
移植の追加ダンジョン「ソウルオブカオス(SoC)」と「時の迷宮」についても書いておこう。
ソウルオブカオス
GBA版以降で追加されたダンジョン。本筋とほとんど無関係なダンジョンなのだが、入り口の封印は本編のボスを倒すことで解放されるようになっており、全く接点がないわけではない。
ダンジョンの内容はバラエティ風味?
ちょっとおふざけも入っていて、本編で倒した敵と再会できるフロアもあるので、ストーリーもあるといえばあるが、大したストーリーはない。
時の迷宮
PSP版以降で追加されたダンジョン。コーネリアの街に現れる謎の人物に導かれて入れるようになる。
おふざけもあるが、まずゲームとして非常につまらない脅威の不快ダンジョン。ストーリーもいい加減で、最後までクリアしても謎の人物の正体がよくわかりません…
ストーリーに関わらないとは言うものの、本筋を普通に進めるとこれら2種類のダンジョンが出現するイベントも自然に発生するようになっている。
さて、これらは移植版の発売前から追加ダンジョンとしてアナウンスされており、移植当時に買った多くのプレイヤーはこれが追加要素だと知っていたわけだが、後からFF1をプレイした人は、攻略を読まない限りこれが追加ダンジョンだと気付く要素がないのだ。
このような配慮の不足により、クソダンジョンに間違って挑戦させられるプレイヤーが年々増えていくという、非常に悪い状況を作り上げた。
これら追加ダンジョンはピクセルリマスターでは削除されているが、おそらく本筋との誤認を防ぐ意図もあると考えられる。
ただ、最新バージョンで削除されているとはいえ、今後も追加ダンジョンの話題がFF1の一部として拾われる可能性自体はある、と言っておく。
なんで急にこんな記事を書いたか
3月18日発売予定の最新作『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』(FFオリジン)が、ガッツリとFF1のネタを拾った作品なんですな。
現在体験版を配信中。PS4でも問題なく遊べるので、PS5を用意する必要はなさそうだ。PS5版に無料でアップグレードもできるらしい。
文明レベルのズレている戦士たちの手にはファミコン版を思わせる黒くて丸い水晶。
ファミコン版にいなかった大臣も意外な重要人物として参戦。
何度移植されても名前のつかなかったセーラの妹もいるぞ!
本作はファミコン版と移植版、両方の要素を拾っていると思われ、特にガーランドの人物像は重要であることが見込まれる。ファミコン版と他機種の差はチェックしておきたい要素として記載した。
レトロゲームをやる意味
最近わかってきたが、最新のゲームを知る上で80年代のゲームの知識が意味を持ってくるということが普通にある。
俺は古いゲームをやりたいんじゃねえけどファミコンをやらなきゃ話についていけないかもしれん…
ついていけるならそれでいいんであるが。FFオリジンはついていけるゲームかどうか、かなりFF1のネタが使われていることはわかったが、体験版でははっきりしたことは言えなかった。
さてファミコン版FF1は現在はWiiU、3DSで配信されており、プレイするのは決して難しくはない。だがWiiU、3DSのショップ自体が来年3月で配信終了する予定であるため、これ以降はピクセルリマスター以外のFF1、ほぼ全てが入手困難となる見通しだ。リマスター以外で正規に販売されるFF1は、PSアーカイブス版とPSP版を残して全滅予定。購入にはPSVitaかPS3が必須。
いやピクセルリマスターも(FF1は)悪くはないんですよ。でも他のバージョンの知識が欲しくなったら、どうすりゃいいんです?
まあ中古のファミコンやPSアーカイブスが動く環境揃えるのは少しめんどくさいだけで、PS5本体よりは気軽に入手できるので、頑張ってくださいとなるわけですかな…
かくいう私がプレイしたFF1もファミコン版、GBA版、Wii(VC)版、PSP版、ピクセルリマスターの5バージョンのみであり、上記表のうちWSC版などの情報は動画などで調べたものも含むことをご了承ください。