以前、悪魔城ドラキュラ公式サイトにはシリーズの年表があった。
現在は失われている。
2008年ごろまでは更新され、その後更新停止して2016年くらいまでは存在。
年表が失われた理由は定かでないが、少なくとも非公式設定になったわけではない。公式サイト改訂後も、この年表に基づいてゲームが制作されている。
たとえば、『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション』収録の年表。
内容がコレクション収録作品のものに絞られているが、設定としてはそのまま残っていることがわかる。
キャッスルヴァニアだけ別のページに書いてあった。
ドラキュラGoSのセリフでも1691年と出てきたし、
パルテナ様もこう言っている。
このように最新作でも年代設定が使われている現状、単純に年表がないと不便なことは多いと考える。
シモンが古い時代の人物なのはわかるが、シモンとリヒターの間にどのくらいの開きがあるのか。あるいはアニメ版はどのくらいゲームと同じ設定を使ってるのかの比較。
公式サイトに存在しなくなった年表、その処置には何らかの判断はあるのかもしれないが、それでは俺は困るという理由により、ここに勝手に復刻することとした。
以下、本記事の年表は旧公式サイトのアーカイブをある程度参考にしているが、内容は全て書き直し、ゲームなどで確認できる情報を反映しなおして構成したものである。
また、悪魔城GoS(2月アップデートぶん)などの最新情報、公式の年表に未掲載だった作品も一部記載した。
念のため言っておくが、ネタバレも自重していない。全部書いてるわけじゃないが、黙示録のエンディングからGoSの最新バージョンの内容まで含むので、注意してもらいたい。
年 | 出来事 | 出典 |
---|---|---|
1094 | レオン・ベルモンド、騎士団を抜ける。ヴァンパイアキラーを手に入れ、吸血鬼ヴァルター・ベルンハルトを倒す。 マティアス・クロンクビストは吸血鬼となり、死神と手を結ぶ。 これよりベルモンドは夜を狩る一族となる。 その後、マティアスとベルモンドは数百年接点を持たない。 |
キャッスルヴァニア(PS2) |
1450(?) | ソニア・ベルモンドがアルカードと接点を持った。 ソニアはドラキュラを倒した。その子も高名なベルモンドとなったと伝えられる。 |
漆黒たる前奏曲 |
1476 | ワラキアのヴラド=ツェペシュ公(ドラキュラ)が人類虐殺を開始。東方正教会の要請を受けたラルフ・ベルモンドと仲間たちにより倒される。 ラルフは仲間のサイファと結婚した。 |
悪魔城伝説 |
1479 | 3年前の戦いでドラキュラを裏切った悪魔精錬士ヘクターは、かつての仲間アイザックへの復讐のため行動を開始する。 ラルフに邪魔されたりしながらドラキュラが復活したがヘクターが倒した。 |
闇の呪印 |
1576 | クリストファー・ベルモンドがドラキュラを倒す。ただし完全討伐には失敗していた。 | ドラキュラ伝説 |
1591 | 倒せていなかったドラキュラはクリストファーの息子ソレイユを操り復活するが、またクリストファーに倒される。 | ドラキュラ伝説II |
17世紀後半? | Desmond Belmontが戦ったらしい。 | Order of Shadows |
1691 | 100年の眠りから復活したドラキュラをシモン・ベルモンドが討伐。 | 悪魔城ドラキュラ (FDS、MSX2、SFC、X68000、悪魔城年代記) |
1698 |
ドラキュラの呪いにむしばまれるシモン、トランシルバニアに散らばるドラキュラの5つの遺骸を集め、呪いの封印に成功する。 |
ドラキュラII |
1748 | シモンの孫ジュスト、マクシームが発見したドラキュラ城でドラキュラファントムを倒す。 | 白夜の協奏曲 |
1792 | 闇の神官シャフトにより100年の眠りから復活したドラキュラを、リヒター・ベルモンドとマリア・ラーネッドの二人が倒す。 |
血の輪廻 |
1797 | シャフトに操られたリヒターがドラキュラ城を復活させる。長い眠りから目覚めたアルカードが参戦し、けっきょく復活したドラキュラを倒す。 ついでにガラモスも倒した? |
月下の夜想曲 |
19世紀初頭 | リヒターを最後にベルモンドは姿を消し、鞭は別の者の手に渡る。 ベルモンドに代わり、エクレシアやウェステンラ家など、ドラキュラへの対抗勢力が複数登場した。 |
奪われた刻印ほかの設定 |
1820 | モーリス・ボールドウィンがドラキュラを倒す。 | サークルオブザムーンの設定 |
1830 | オーストリアの古城で吸血鬼カーミラによりドラキュラが復活。ネイサン・グレーブズに倒される。 | サークルオブザムーン |
1844 | コーネルの故郷が焼かれる。妹エイダを探し悪魔城にたどり着いたコーネルは、そこにいた「ドラキュラアルティメット」を倒す。 | 黙示録外伝 |
1852 | ドラキュラが悪魔城で復活。ラインハルト・シュナイダーとキャリー・ヴェルナンデスに倒される。 | 黙示録 |
19世紀 | エクレシアに保管されていたドラキュラの魂の器よりドラキュラが復活するも、シャノアに倒される。 | 奪われた刻印 |
1897 | ベルモンドよりヴァンパイアキラーを受け継いだキンシー・モリスによるドラキュラ討伐。 | VAMPIRE KILLER(設定のみ) |
1917 | エリザベート・バートリーが第1次世界大戦を引き起こし、ドラキュラを復活させる。キンシー・モリスの息子ジョニー・モリスと親友エリック・リカード、イギリスに出現したプロセルピナ城でドラキュラを倒した。 | VAMPIRE KILLER |
1944 | 吸血鬼ブローネルによりドラキュラ城が復活。ジョナサン・モリスとシャーロット・オーリンは復活したドラキュラを倒す。 | ギャラリーオブラビリンス |
1999 | ノストラダムスの予言した恐怖の大王であるドラキュラが復活。ユリウス・ベルモンドによって倒される。 日本の白馬家の協力により、ドラキュラ城はヨーロッパで起きた皆既日食に封じられる。ドラキュラの魂は城の魔力と切り離され、復活することはなくなった。 ヴァンパイアキラーはドラキュラ城に封じられ、ユリウスは記憶を失う。 そしてドラキュラの滅びた日、魔王候補たちが生まれる。 |
暁月の円舞曲などで設定 |
1999 | ドラキュラ消滅後、ドラキュラに関する魔導書を管理、編纂する組織「エルゴス」が設立される。 | GoS(設定のみ) |
2035 | 日本で皆既日食が起きた日、白馬神社に出現したドラキュラ城に迷い込んだ来須蒼真、「支配の力」に目覚める。ユリウスはヴァンパイアキラーと記憶を取り戻す。 | 暁月の円舞曲 |
2036 | 来須蒼真は支配の力を失っていなかった。 ユリウスらと協力し、魔王復活をたくらむ教団を潰す。 |
蒼月の十字架 |
21世紀以降 | エルゴスの魔導書の暴走。 | GoS |
11797(?) | ドラキュラの息子、大魔王ドラキュラくんが魔王ガラモスと二度に渡り戦う。 | ぼくドラキュラくん ぼくドラキュラくん(GB版) |
14672 (魔暦元年) |
地獄界で魔王・龍骨鬼が覚醒。生き延びた月氏三兄弟の末弟、初代「月風魔」は大念動波剣を完成させこれを倒した。 | 月風魔伝 |
1000年後 | 地獄の封印が解け、龍骨鬼が再び姿を現す。 月氏二七代頭首「月風魔」が地獄へと赴く。 |
月風魔伝UM |
ゲーム内で得られる情報と、ゲームでは得られない攻略本などに書かれた情報があるが、あまり区別はしていない。
代表的なゲーム外情報として、シモン、ラルフ、クリストファーの3人の年代は、ゲームで設定されたものではないようだ。90年代に年表が作成された際にまとめて制定されたらしい。
これがどのように決められたものかは、経緯はおいおい検討しながら書いていくが、今回はこれらは正しいものと考えて話を進める。
説明書に書いてある「中世」など時代が限定されそうな記述もあるが、年表を優先するものとして無視する。
一方で、本記事では公式の年表でスルーしていた作品も追加して掲載している。それぞれの経緯も順番に書いていく。
だが本年表でもスルーしているタイトルもある。それらについても必要に応じて言及を行うが、特に11世紀から始まる『ロードオブシャドウ』シリーズについては完全なパラレル作品とみなし、年表には記載していない。
また、ゲームと説明書以外の作品、コミックや小説などの情報は反映しないものとした。
ただしパラレルな作品であるが、Netflixのアニメ『悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-』(以下「アニメ版」)については原作からの変更点、受け継いだ点ともに興味深いため、少し言及する。
もちろんゲーム中に登場する時代のおかしい建築様式、カレー、寿司、ラーメン、パチンコ台などは時代考証の対象としないが、科学技術について部分的に言及するものもある。
以下、このような補足を各年代について行う。年表は上記で終わりなので、これ以降は読まなくてよい。
追記:ヴァンパイアキラーについて、過去に発表されたものの埋もれている設定が発見されたので別記事にしました。年表が形成される前の時点で、既に悪魔城伝説からシリーズがスタートするイメージはあったようです。
ただし現状では非公式なものとして、本記事の年表には反映していません。
- 1094 なぜ11世紀なのか
- 15世紀 黒歴史というかソニア・ベルモンド
- 1476 史実と混ざる時代
- 1479 ドラキュラ最初の復活
- 1576 英雄クリストファー伝説
- 1591 ソレイユ伝説
- ReBirthとは
- 17世紀 デズモンド・ベルモンドについて
- 1691 「たびかさなる」悪魔城ドラキュラ
- 1698 また蘇るドラキュラ
- 169X シモン第3の戦いがあったのか?
- シモン・ベルモンド3世
- 1748 ドラキュラファントムの城
- 1792 戦いの記録が混ざるリヒター
- 1797 アルカードの復活
- 1820-1830 モーリス・ボールドウィンの戦いとネイサンとカーミラ
- 1852 黙示録の年表上の位置づけ
- 1844 コーネルは何と戦ったのか
- 19世紀 シャノアの時代
- 1897 フィクションと交差するキンシー・モリス
- 1917 再び史実と交差するドラキュラ
- 1944 ブローネルと悪魔城
- 1999年の戦い
- 21世紀前半 ユリウスの行方
- 2035年の日食
- 2036年の戦い
- 旧年表にしか書いてない情報
- エルゴスの設立と事件
- 2037年の戦いはあったのか?ドラキュラ亡き後の死神
- ドラキュラ城の位置と、史実とフィクションのドラキュラ公
- 関連する史実の年表
- 1万年後 ガラモスの二度の侵攻
- 14672 新たな魔王と月氏の戦い
- 魔王と死神について
- ベルモンド家の本当のルーツについて
- ヴァンパイアキラーについて
- 21世紀 ココロ・ベルモンドの扱い
- 21世紀? セピア・ベルモンドの扱い
- 初期の年表形成過程とIGAについて
1094 なぜ11世紀なのか
年表の最初にあるのはPS2『キャッスルヴァニア』。
主人公は夜を狩る一族の開祖となる男レオン・ベルモンド。戦いの果てに「ヴァンパイアキラー」を完成させ、吸血鬼ヴァルター・ベルンハルトを討伐した。
また本作で語られているのはベルモンドだけでなく、ドラキュラのルーツでもある。
ネタバレというか、ストーリーを読むだけで察せられるが、マティアス・クロンクビストがのちにドラキュラとなる人物だ。なんでそうなるのかは最後までプレイして見てほしいが。
念のため確認しておくが、本作を含めてシリーズのどこにもマティアスがドラキュラになったという明言はない。死神が従っていることから考えても、また数百年後にベルモンドと接点を持つというエンディングの言い方からしても、マティアスがドラキュラになることは完全に明示されていると言っていいが、言葉として出てきたことはない。
これ、隠してるというより、たまたま言いそびれてるって感じのようなのだが…
以下、本記事ではマティアスはドラキュラであるものと断定して話を進める。
公式攻略ガイド(NTT出版)のインタビューによると、11世紀に決まったのは、『月下の夜想曲』のドラキュラの年齢800歳(正確には『血の輪廻』初出の設定)から逆算して決められた設定とのこと。だが月下の1797年から考えるとドラキュラは10世紀後半、西暦900年代の生まれということになるが、マティアスは1094年時に32歳。ドラキュラの推定年齢と70年くらいずれている。
これを決めたIGA氏も当然そのことに気づいているのだが…特に何もしなかったみたいだ。このシリーズは、しばしばこのような適当なことが起きるが、こうしたズレは許容して進めるものとする。
てわけで、推定800歳は誤りの可能性が高い。730歳前後。
もうひとつ本作で注目したいのは舞台設定について。地名は出てこないが、公式攻略ガイドには「ベルモンド(ベルモント)」がフランス系であることを意識してレオンと名付けた旨が書いてある。
ベルモンドのルーツはトランシルヴァニア以外にあり、十字軍の話題をストーリーで出しているのも地理的な理由のようだ。
(これはアニメ版でもレオンの代にフランスからワラキアに移ってきたという設定にしていた)
またドラキュラの伯爵という肩書きについて、かつて存在した公式サイトではマティアスが伯爵であるとしていた(ここにしかない、公式ガイドにすら書かれていない情報)。ワラキアやトランシルヴァニアに存在しないっぽい「伯爵」の称号が通用するのかよくわからんが(ゲームで語られるのが何語での「伯爵」なのかもあやふやだ)、フランスには問題なく伯爵があるようなので、ここも辻褄が合っている。起源をフランスか何かにすることで些細な謎が二つも解決するのである。
なお、本作は年表などで1094年とされているが(公式サイトにも書いてあったらしい)、ゲームのストーリーでは11世紀後半、十字軍遠征と重なる時期とされており、正確な年代は確認できない。
15世紀 黒歴史というかソニア・ベルモンド
年表上の2作目は結局これになるか…
『漆黒たる前奏曲』について、このブログの見解は以前書いたとおりで、公式の年表から削除したのは妥当な判断だと考えている。
しかし、今回の記事で作ってるのは公式な年表ではない…
それでもちょっと迷ったのだが、掲載した。あるいはロードオブシャドウと同等の「同じ姓名が出てくるパラレル」とすべきではないかと考えもするが…
とにかく年表上に載せたうえで、改めてソニア・ベルモンドの年代について、以下に検討を行う。
前の記事に書いたことをまとめ直すと、
- 発売前の情報で、ソニアは最古のベルモンドとされ、そのとき書かれた年表では1400年前後とされていた。
- 発売されたゲームには最古であることは書いてあるが、年代を特定する情報がない。
- 発売後の雑誌で、ソニアはラルフの母親と明記されたことがあるらしい(未確認)
- KCE神戸のサイトの年表で1450年に特定された。(海外サイトにスクリーンショットが残っているが、詳しい出来事までは書いてない、簡易な年表だったはず)
つまり本作について、正確な年代はゲーム外で後から決まったらしいのだ?
本作を黒歴史としない解釈を取るとして、果たして1450年は妥当なのか?
実は当初の「1400年前後」のほうには一定の根拠がある。アルカードの年齢から逆算できるからだ。
月下の夜想曲の説明書で、アルカードは推定400歳となっており、ここから彼は1390年頃の生まれということになる。10数年程度のズレはあるとしても、本作がアルカードの若い頃のエピソードだとすれば、1400年前後というのは妥当なのだ。
(後述するが、現在得られる情報から、その月下の説明書こそが間違ってたと考えられる。こういうところは本当に適当なんだよ!)
で、なぜ1450年になったのかは、よくわからん。
これは海外サイトにも書いてない情報だが、国内の雑誌でソニアがラルフの母親だと断言する媒体があったと伝えられており、どこかでラルフの一世代前に定められたらしいのだが…
もともと悪魔城伝説(1476年)のラルフは髪も切らない若者という設定もあるし、もう少し後の生まれという気がするが。
とにかく、理由はわからないが最終的に1450年という説ができた。しかし、これは結局のところ大した根拠はなく、ソニアをラルフの一世代前と断定したうえで、適当に決めた数字であろうと考える。
ソニアの存在を認めるとして、ゲームをやってもソニアの子をラルフに定める必要は特に認められないのは前の記事に書いた通りだ。1400年であればまだ無理は少なかったのではないか?
大雑把な視点で言えば、1450年でも1400年でも年表のみで見れば矛盾はない。特に11世紀のキャッスルヴァニアとは矛盾していないことは改めて述べておく。
ただ、年表上の問題はないとして、まず『悪魔城伝説』と人物面での整合性を取る気が本作制作時にあったのか、という点においては、私はかなり疑っている。キャラクターの外見が毎回変化し、パラレル展開も平気で発生し、百年単位で適当に年代がズレていくことのある悪魔城シリーズにあっても、看過できない点というのはあるのだ。
そして後期作品『闇の呪印』で「ラルフが最初にドラキュラを倒した」と明確に設定されたことで、本作は年表上でも整合性が取れない状況へと追いやられたのであるが、その決定はシリーズの歴史では結構後の話だった。
しかし、闇の呪印も突然そう決めたわけではない。ラルフが最初だと決定する下地は、次項に述べる通りシリーズ前期の時点でかなり整っている。
あと、本作が年表から消えて以降の動きで、前の記事に書かなかった事実もひとつ。
「漆黒たる前奏曲」のほかに、黙示録シリーズ、サークルオブザムーンも公式年表には掲載されていない、というのは事実として知られているが、
2006年、北米版『ギャラリーオブラビリンス』(Portrait of Ruin)の予約特典としてCastlevania20周年の記念のボックス(Bonus Material Box)というのが付属したというのだが、ここに年表を掲載したポスターも封入されており、この年表には『サークルオブザムーン』『黙示録外伝』『黙示録』の3作も内容こそ省略されているが、確かに年表に掲載されていたというのだ。
そこで『漆黒たる前奏曲』は相変わらず外されており、本作は外伝扱いシリーズの中でも明確に差がつけられていたことがわかる。
そもそも経緯を見ても1450年の信ぴょう性が低いので、載せようがないのかもしれないが…
現状の公式サイトでも『漆黒たる前奏曲』だけ記述が明らかに削られており(黙示録はちゃんと書いてある)、公式上の扱いは大して変わっていないと思われる。
1476 史実と混ざる時代
『悪魔城伝説』は説明書に15世紀と書いてあるのだが、年表では1476年と明確に定められた。
これは適当に決まったのではなく、明確な理由がある。ドラキュラのモデルであるヴラド三世の没年が1476年だからだ。ドラキュラは史実のドラキュラことヴラド公とは出自も家族構成も本名も違うキャラクターではあるが、部分的には史実と交差している。
これは悪魔城伝説だけでなく、ドラキュラ2のエンディング、ドラキュラの墓にヴラド三世と同じ生没年(1431-1476)が刻まれていることが確認できる。ゲーム内情報だけでも動かし難い設定なのだ。
※画像は高祖シモンが呪いを解けず死んでますが墓の全体を映すための措置であり問題ありません。
悪魔城伝説のストーリーでは、当時のドラキュラは悪魔と契約して力を得た、つまり当時は人間であったふうな書き方をしている(厳密にはヴラド・ツェペシュが人間だったとも吸血鬼に変化したとも書いてないのだが、普通に読めば人間だったと受け取れる内容だ)
対するベルモンドも当時は名声は低く、蛮族として扱われている。本作より過去にドラキュラを倒していたとは考えにくい。
ともかく、本作発売当時はこれがドラキュラと人間の最初の戦いであることを意識していたことは確かなようだ。
実際はドラキュラは11世紀の生まれで、かなり昔から吸血鬼だったわけだが、悪魔城伝説の説明書と合わせると、この頃は表の顔として人間ヴラド・ツェペシュをやっていたように見える。当時のドラキュラが人間と上手くやっていたかは定かでないが、少なくとも人類全てを敵視はしていなかった。
(ここはリメイクなどがあれば扱いが変わる可能性はある。実際アニメ版ではドラキュラはワラキアの王ではなく、人類に宣戦布告する以前から吸血鬼として知られていた)
このことは『闇の呪印』でヘクターが裏切った理由としても語られている。異端者ながら生来善良なヘクターは人類と敵対する意思が全くなく、心変わりしたドラキュラについていけなかっただけだ。
ドラキュラに変化をもたらしたのは、当時の妻であったリサの死だ。これはヘクターの離反とそう離れておらず、1476年ごろと見られる。
『悪魔城ドラキュラジャッジメント』でも、サイファ派遣の数ヶ月前に魔女が処刑されたというバックストーリーが語られている。これがリサのことなのだろう。
※時の狭間が舞台の『ジャッジメント』は年表に記載しようがない作品なのだが、本作で出てきた設定には本編に影響するものがかなり含まれている。本記事でも何度か言及していくことになる。
※悪魔城伝説の説明書はアルカードも当時人間だったような書き方をしているが、これも現在の設定では正しくない。
この話題は、ロードオブシャドウ版アルカードとの比較を含めて別の記事に書いたので、本記事ではこれ以上触れない。
1479 ドラキュラ最初の復活
悪魔城伝説の3年後、『闇の呪印』でドラキュラは城と共に早くも復活してしまうが、このときの復活は極めて不完全なものであった。
ただゲーム後半ではラルフはドラキュラ城復活の可能性にも思い至ったようで、おそらくドラキュラを完全には滅ぼせなかったことは1476年の時点で知っていたのだと思われる。そしてこの事件ではラルフもドラキュラ復活は目撃せず、伝承上の扱いは不明。大きな事件として記録されていない可能性はある。エルゴスには記録があるかもしれん。
このとき謎のタイムトラベラー、サンジェルマンが現れた理由は不明。
彼の勢力は死神と対立しており(ジャッジメントの記事参照)、この1479年のドラキュラ復活を阻止したがっていたようなのだが、いまいち行動に謎が残る。
本作の設定に出てくる魔女狩りは時代的に合ってるのか、よくわからん。ジャッジメントでも言及があったが、リサの死と関連付けた話題らしい。
ちなみに「悪魔城ドラキュラ闇の呪印 公式ガイド コンプリートエディション」によるとドラキュラの年齢は「約400歳」。しれっとマティアスに合わせたものになっている。
1576 英雄クリストファー伝説
『悪魔城伝説』よりわずかに先に発売した『ドラキュラ伝説』も、説明書でドラキュラ伯爵は魔王ではなく「呪術者」だった、つまり当時人間であったことを示しており、こちらも起源として作られていたことがわかる。
だが年表では悪魔城伝説のほうが古いということになっている。この前後を分けたのは何であるか。
これは初代『悪魔城ドラキュラ』の説明書のほうに答えがある。シモンの先祖クリストファーは過去に一度復活したドラキュラを倒した英雄だというのだ。
つまり、クリストファーの前に誰かが倒しており、クリストファーの時代にはもう人間ではなかったのだ。これは初代の説明書で決まっており、ドラキュラ伝説の説明書は最初から矛盾していたことになる。
説明をつけるなら、クリストファーの時代に復活したドラキュラ様も人間のふりをしていた時期があるのだろう。城もワラキアからトランシルバニアに引っ越してるし。
そして、先に倒したのはラルフだろってことにせざるを得ない。
(悪魔城伝説を見なかったことにし、クリストファーが一人で2回倒したとして説明をつけているという見方もある)
ラルフのほうにも別の問題がある。悪魔城伝説のストーリーはシモンの100余年前としているが、シモンの100年前がクリストファーだとラルフは何年前にするべきなのか、クリストファーの100年前にしていいものなのか。
年表ではそうなってる。
『ドラキュラ伝説』は悪魔城伝説から正確に100年後の1576年となり、ラルフはシモンの215年前、クリストファーの100年前ということにして年表にまとめられた。100余年前のことは忘れられる。
まあ最新の復刻でも残してる記述だが…
ラルフ・C・ベルモンドのミドルネームの「C」こそがクリストファーではないかともっぱらの噂だが、発売するまでに彼はクリストファーではなくなったと考えられる。闇の呪印以降はミドルネームを省略するようになった。
1591 ソレイユ伝説
100年に一度復活するドラキュラ伝説、早くもここで15年ズレたのであるが、ストーリーの書き方などからしてもクリストファーの2回目は復活したのではなく、倒し切っていなかったドラキュラが15年生きてた扱いになっているかと思われる。
ReBirthとは
『ドラキュラ伝説ReBirth』は公式の年表、および当時の公式サイトに掲載されていなかった作品のひとつだが、これは単に公式サイトが更新をサボってただけと思われる。
ただ、別に載せなくてもいいのは確かである。本作は『ドラキュラ伝説』と何かストーリーが違う。年表と整合性を取っているかというと、そうでもない気もする。
本作のストーリーはオリジナルより薄い。
本作のストーリーは3種類ある。公式サイトに載っているものと、Wiiの電子説明書に載っているものと、ゲーム開始時に語られる短いものだ。それぞれ内容が微妙に異なるが、だいたいいっしょ。
電子説明書はかなり簡単な内容だが、公式サイトではクリストファーがかつてドラキュラを倒したベルモンド(ゲーム画面ではラルフ)の100年後の子孫ということがわかる。その点では年表上の整合性が取れている。
またドラキュラが呪術者だったくだりも削られている。
これ、整合性を意識した変更なのか、単にストーリーが薄いからそうなってるだけなのか判断に迷うところだ。
ただ一番重要な変更は、ドラキュラ伝説IIに続きそうなエンディングじゃなくなってることかもしれない…
17世紀 デズモンド・ベルモンドについて
17世紀には公式年表に未掲載の作品がひとつある。その名は『Castlevania: Order of Shadows』。北米とイギリスの携帯電話のみで配信されたという作品で、日本での知名度は皆無。
主人公はDesmond Belmontという男。日本語訳は存在しないが、デズモンド・ベルモンドと表記しておこうか。
舞台は1600年代後半ということになっているが、そのストーリーが書いてあったらしい公式サイトも現存しない(そう書いてある開発者インタビューのアーカイブのみ発見している)。
現存するプレイ動画を見ても年代は不明で、ストーリーかなり薄いっぽいということはわかったが、動画が最後までプレイしてるのかさえよくわからない状態だ。
ただドラキュラらしいものは復活したくさい。
また名前だけ登場するジョバンニという男の祖先が錬金術のガントレットを与えたようなことを言っており、リナルドの子孫であることが示されているんだと。あの爺さんに子孫いるのか…?
開発者のインタビューのアーカイブ
17世紀後半であること、IGAがストーリーをそれなりに監修したらしいこと、ただ開発者自身が本作を外伝扱いにしてるらしいことが書いてある。
なんかよくわからん…
1691 「たびかさなる」悪魔城ドラキュラ
シモン・ベルモンドが主人公の『悪魔城ドラキュラ』なる作品は複数存在する。
これらは説明書のストーリーが微妙に異なるが、大筋は同じで、100年ぶりにドラキュラが復活したので倒しに行くことになっている。公式年表を見ても、どうやら全て1691年の戦いという扱いらしい。MSX版だけカルパートの塔がどうのこうのと書いてある。
年表で決められた年は、クリストファー2回目の戦いから正確に100年後。ドラキュラ伝説IIで生じた15年のズレは、ズレたまま話が進んでいる。
これは「100年に一度復活する」とゲームなどでもよく言われているのに反しており、年表でのルールは「100年経つと復活する」なのである。
また、そもそもこの周期が不正確なものであることはアニバーサリーコレクションのボーナスブック43ページでも言及がある。
現在もシモンの戦いは2回だけと伝えられており、1691年の戦いとドラキュラIIだけだ。1691年を舞台にしていると考えられる4作の『悪魔城ドラキュラ』は全て同じ戦いのリメイクであり、どれが正史とか、そういうのはないと思う。
いや、それとも全部やったんだろうか。ドラキュラ伝説の説明書には「たびかさなるシモンとドラキュラの対決。」という見過ごせない文章が出てくる。2回ってことはないだろ。
一人のシモンが1691年のうちに何度もドラキュラ城に挑戦していた可能性は低い気がするが、パラレルワールドの複数のシモンの記憶がまとめて伝わっている記録ならあるかもしれない…
他と比べてシモンの名声が特別高いのは確かなのだ。
1698 また蘇るドラキュラ
悪魔城ドラキュラの7年後とされるドラキュラII、シモンの活躍によりドラキュラの復活は阻止され、ベストエンディングだとシモンの呪いも解けるが、このベストエンドのみドラキュラ様がその場で復活したような映像が出る。どうなってるんだシモンおじいちゃん。
シモンがこれ以降ドラキュラと戦ったという話はないが、歴史に残らない形で3回目のドラキュラ討伐をやっていた可能性がある、と言わざるを得ない。
169X シモン第3の戦いがあったのか?
シモンの戦いと伝えられる『悪魔城ドラキュラ(アーケード版)』は年表が載ってた当時の公式サイトでは作品ごと未掲載だったが、本年表でもスルーした。シモンの結婚式の最中に現れるドラキュラ様、どう見ても他とストーリーが違うからだ。少なくともこれは1691年の戦いではないと見る。ドラキュラ様も元気に昼間から現れたかと思えば、戦えば弱すぎるし、寝起きでボケてパワーダウンしているのでは。
本作も初代のリメイクみたいに書いている媒体もちらほらあるが、明らかにそうではない。
だがこのときのカラーをGoSで元ネタとして拾う程度には、歴史上存在している。エルゴスにはこの謎の戦いの記録があるのだ、おそらく。
GoSのシモンは2回しかドラキュラ城に行っていないと言っているが、アーケード版こそドラキュラ2の後日談であるシモンの3度目の戦いという可能性はないか。発売順的にもドラキュラ2の次作なので、制作側にその意図がなかったと言い切れない。
あるいはこれは高祖シモンとは別の、シモン・ベルモンド2世か何かでは。
シモン・ベルモンド3世
コナミワイワイワールドのシモンは攻略本にシモン・ベルモンド3世と書いてあるらしいが、これは深く考える必要はなかろう。
1748 ドラキュラファントムの城
白夜の協奏曲は説明書ではドラキュラIIから「50年後程」としているが、年表ではぴったり50年後になっている。
ジュストが戦ったドラキュラファントムはドラキュラではない。これはマクシームが生んだ闇人格がドラキュラになりかけている存在であり、まだドラキュラとして復活はしていないと考えられる。
そんなわけでジュスト・ベルモンドの時代にドラキュラは復活しなかった。シモンからリヒターまでの約100年の間にドラキュラが復活したという話はないようだ。だからリヒターは100年伝説を信じており、そのままではドラキュラの復活はないと思ったのだろう。
説明書に明記はないが、ジュストはシモンの孫だ。ゲーム中では祖父シモンと明言している。
リヒターがジュストの孫なのかは明言はないが、たぶんそうだ。ヴェルナンデスの血が強いというジュスト独自の技術「スペルフュージョン」の幾つかは、リヒターのアイテムクラッシュとほぼ同じ魔法だ。リヒターが使っているものも魔法的な技術なのだと考えられる。
1792 戦いの記録が混ざるリヒター
『血の輪廻』の時点では正確な年代は未設定であったが、「リヒターはシモンの子孫である」「ドラキュラは百年に一度復活する」という設定はあった。
続編『月下の夜想曲』でリヒターの戦いは5年前の1792年に定められた。作中に出てくる船のエンジンなどはもう少し先の時代のイメージだが、かといって20世紀まではいかない。
想像になるが、月下制作時に1790年代に定めたのは、既に設定されていたキンシー・モリス(1897年)の百年前だからではないだろうか。
ただし年表上の重要な問題となる「ドラキュラ推定800歳」も本作が初出の設定である。前述の通り、キャッスルヴァニアの設定でも70歳近くずれているが、推定って書いてあるしズレてたんだろう。
『悪魔城ドラキュラXX』については公式年表でも掲載していたタイトルだが、月下につながる重要な要素が回収されない(マリアが非戦闘員、シャフトがいない)ため、基本的には異説として扱うしかないだろう。
ただしアネットの扱いはXクロニクルの元ネタとして使われた。またマリアがアネットの妹というのもXXだけの設定だが、月下でもマリアはリヒターの義理の妹になっている。
またXXの説明書ではリヒターはシモンの数百年後の子孫としている。当時まだ1792年に決まっておらず、ちゃんとした年表も存在しなかったことを裏付けよう。だが19世紀以降とするのは少々無理がある感じもする。
もしリヒターがシモンから最低200年以上未来とすると、年表は15世紀あたりまで遡って大幅に書き直す必要があっただろう。
リメイクである『悪魔城ドラキュラXクロニクル』はオリジナルの血の輪廻と少々ストーリーに違いがある。GoSでもXクロニクルの描写を一部採用しているが、血の輪廻のセリフも出てくるので、エルゴスにある記録は輪廻とXクロニクルのハイブリッドになっているものと思われる。
どっちが正史かなんてわからんけど、シモンと同じく複数の歴史が同時に伝わっていると見ていいのではないだろうか。
1797 アルカードの復活
『月下の夜想曲』は年表が公開される前の作品ながら、ゲーム中で明確に1797年と言っている。
そして月下の設定ではドラキュラ800歳に対してアルカードは推定400歳。悪魔城伝説の説明書の記述に沿わず、アルカードは吸血鬼になってからのドラキュラの息子と定まった。
だがアルカード400歳、これは当時は問題なかったが、現状では不自然な数字となっている。
既に述べたように、リサの死は1476年ごろに決まりつつある。アルカードが1390年代の生まれとすると、1476年には80歳前後、あのリサは何歳だ…?
年表がまだ表に出ていなかった段階で、どうにでも動かせるように余裕を持たせて推定400歳としたのかもしれないが、少々幅を持たせすぎた。
リサの死がやっぱり1476年ではない(1400年前後)、またはあれはアルカードの夢であり描写が正確でない、リサがあれで100歳くらいなど、他の解釈も考えられるが、現状ではうまい説明はなく、「説明不可能ではないが不自然である」という状態といえる。
この中ではアルカードの年齢が一番信憑性が低い。
ここはアニメ版でもリサの死を1475年に定め、さらにアルカードは1455年以降の生まれ、外見よりもむしろ若いという説明になっていた。
もうひとつ本作が重要なポイントは、これまでの作品で既に破られてきたドラキュラが100年に一度復活する設定で、本作のストーリーはこの設定をかなり強調しておきながら、ドラキュラは結局5年で復活する。自己矛盾しているようにも見えるストーリーだ。
つまりドラキュラII、VAMPIRE KILLER、ドラキュラ伝説IIなど先行作品で判明していたように100年に一度復活するルールは絶対ではない。と同時に、100年に一度復活するという伝説には一定の根拠もあり、信じられている。実際に100年周期で復活しているようにも見える時期もあるし、この後の1897年に復活することは本作発表時点で予約済みだった。
自己矛盾しているようにも見えるが、両方正しいかもしれないのだ。
本作のストーリーには他にも疑問点がひとつ。アルカードの覚醒経緯が最後まで明らかにならない。
理由を今から後付けするなら、ベルモンドの弱体化と連動して、誰かが彼を目覚めさせたのかもしれないが。誰です…?
実のところ、ゲームにはアルカードが実際に眠りについた描写もなければ目覚めた描写もない。この後の時代はずっと起きているのだが。
彼は本当に悪魔城伝説の後に覚めることのない眠りについていたのだろうか。表向きそういうことにしているだけで、実は目覚めてどこかで活動していた可能性もあるのではないかと、個人的に非常に後付けしやすそうなポイントだと思ってるが…
1820-1830 モーリス・ボールドウィンの戦いとネイサンとカーミラ
19世紀最初の作品はサークルオブザムーンだが、その本編の前に1820年に一度、モーリス・ボールドウィンがドラキュラを封じたことになっている。そのドラキュラを、吸血鬼カーミラは1830年に10年ぶりに目覚めさせた。だから1820年代にはドラキュラの復活はなかったらしい。
サークルオブザムーンが年表未掲載であったことは別の記事で述べた通りなのだが、その理由として考えられるのは、本作はどうやら自覚的に外伝的な作品として作られている。
ベルモンドが一切登場せず、他シリーズとの関連性も見当たらない。ベルモンドの家名すら登場しない作品はさすがに珍しいのだ。
そのような作品の立ち位置が年表に掲載しない判断に影響したのではないかと思うのだが、一方で年表上の矛盾は特に見当たらない。
さてサークルオブザムーンにはドラキュラの復活周期についての設定はないのだが、説明書に「早くも復活」と書いてあり、1830年の復活は何かイレギュラーがあるようなのだ。いつももっと長く寝てるんだから、もう10年くらい寝ててくれよといったところか。
どうやら19世紀以降のドラキュラの復活周期が速まっている雰囲気、本作発売時には既にできつつあったようなのだ。
カーミラについても言及しておこう。1830年のドラキュラ復活に関与していたカーミラは、シリーズに何度か出ているカーミラと同一個体と考える。
小説「吸血鬼カーミラ」は「吸血鬼ドラキュラ」より古い作品で、この関係性は悪魔城シリーズにも受け継がれているようだ。
どうも本シリーズのカーミラもドラキュラの眷属ではなく、別の由来を持つ吸血鬼らしい(ジャッジメントのサイファ編からそのように判断できる)。
だからカーミラは死神同様に、城が復活する前からドラキュラと独立して活動し、自らドラキュラを復活させることができるわけである。
なおネット上で見かける「開発中はモーリスがリヒターだった」という説については、個人的に信ぴょう性が高い話だと思ってるものの、ソースが見つからなかったことを述べておく。コナミマガジンまで調査してる海外サイトにないんだからソース無いんじゃないかという気がするが、海外サイトでも見つけてない雑誌情報や、関係者からの聞き取り情報がどこかで漏れたのかもしれない、わからん。
信ぴょう性が高いと思う根拠は、「ベルモンドの時代が終わり、ムチが他の家系に受け継がれる」というストーリーだとすると、ヒューの背景にある血筋の重さと、VAMPIRE KILLERへのつながりも含めてしっくりくる描写が多いことですね…
でも現状では憶測レベルであって、これを信用して広めるのは避けたほうがいいだろう。
ネイサンが受け継いだ「ハンターのムチ」とベルモンドのヴァンパイアキラーの関連は一切不明である。これがベルモンドから伝えられたムチだという証拠は全くないが、ヴァンパイアキラーの別名のひとつと考えても矛盾しているわけではない。「ハンターのムチ」が特別なムチなのは確かなようだ。
19世紀になってベルモンド以外のドラキュラへの対抗勢力が複数生まれたという『奪われた刻印』の設定、ネイサンも対象に含んでいるのではないだろうか。
1852 黙示録の年表上の位置づけ
『悪魔城ドラキュラ黙示録』は19世紀中期とされているのだが、『黙示録外伝』ヘンリー編のみ1852年と明記されている。外伝発売までに年代を決めたか。
ラインハルト・シュナイダーとキャリー・ヴェルナンデスはゲーム中で出会うことはなく、それぞれがパラレルな内容に見えるのだが、ヘンリー編では二人とも悪魔城に挑んでいると語られている。
さて先の『サークルオブザムーン』は外伝的作品ながら、年代上の矛盾は見当たらなかったが、『黙示録』は逆で、外伝的な内容ではないのだが年代については明確な矛盾がある。
本作はドラキュラが100年に一度復活する設定を採用しているにも関わらず、『月下』から半世紀ほどしか経過していない。2年前に発売している月下と合わないというのは、結構な大きな問題と考える。
当時は『月下』が異説扱いとして無視する立場で制作していたのだろうか。
もちろんサークルオブザムーンなどでもそうしているように、100年復活設定そのものが正しいものではないとすれば、黙示録に年表上の問題は全くなくなるのだが、そうしていない。むしろ黙示録は100年をストーリーで強調しているため、説明がつかなくなっている。
この時系列の衝突は、黙示録が外伝扱いとされた理由の一端ではないかと思う。
ベルモンドの名、ドラキュラの腹心としての死神、そしてヴェルナンデスが出てくることからも、制作的には歴史的に浮いた作品とする意図はなく、シリーズの正統な作品という意識は強かったことが伺える。「悪魔城ドラキュラ黙示録パーフェクトガイド」にあるプランナーの薬師寺健雄さんのコメントなどを見ても、本作を外伝的扱いにする意図は感じられない。
だが現に整合性は取れていない。それも100年設定の部分のみが。歴史には組み込むつもりだけど年表のようなものを作ることは考えてない、というわけでもないようだし。
これは気にせず年表に載せていいものなのだろうか、軽率に解釈を付け足していい問題ではないかもしれない。でも解釈を変えずにゲームのまま書くと整合性の問題が出てしまう。
本格的にリメイク、新規移植でもない限り宙に浮いた扱いにするしかないかもしれない…
いや何か手はなかったのか。仮に載せるとすれば、ギャラリーオブラビリンス北米版でそうしたように、中身を書かずに年代だけ書いておくのがせいぜいだったのだろうか。
本作は、本来なら外伝的な作品ではなかったはずだ。
年表の消えた現在、公式でそのようにしているわけではないのだが。
他の話題。作中に登場する「ヴェルナンデスの戦士」というヴァンパイアは、当初はサイファ自身として制作されていたという。つまり、本作は悪魔城伝説との歴史的つながりを持ちつつ、サイファを仲間とした歴史はなかったものとして制作されていた。
ただこれは変更され、この敵は名もなきヴェルナンデスとなった(これもパーフェクトガイドのコメント。やめた理由は「安易すぎて雰囲気を壊しかねなかったので」とのこと)。
サイファが死んだ歴史だということであれば、それは十分に外伝扱いにする理由になると考えるが、そうではないんだよな…
なお、この人物はヨーロッパ版の公式サイトでカミラ(Camilla Fernandez)という名前がついていたそうだ(なんか他にも他国版にない情報があるっぽいが、日本のスタッフ関わってるんだろうか…)
他に気になる点として、本作は途中で年代設定を変更した形跡があるということも述べる。
明確にそれが見えるのがレノンの発言だ。彼はもうすぐ大きな戦争が起きると言っているが、これは普通に考えたら第1次世界大戦ではないのか。19世紀にも戦争はあるが、わざわざセリフとして言わせるだけの戦争となると、違うような気がする。
そういやオートバイに乗って機銃で攻撃してくるスケルトン、チェーンソーを持った怪人など、いくら悪魔城が混沌の産物でも時代がずれすぎているようだ(チェーンソーは刻印にも出てきた)。
かなり憶測が入るが、本作の設定の幾つかが制作中に変更される中で、年表上の整合性までは詰め切れなかったのではないだろうか。
年表以外の話題だと、本作にもベルモンドは登場しない。ラインハルト・シュナイダーの設定は「ベルモンド家の流れをくむ」。
コナミマガジンに掲載された情報によると、当初はシュナイダー・ベルモンドという名だったが、シュナイダーは苗字だという理由で変更されたのだという。彼の名はシュナイダーから変更されるはずが、シュナイダーは苗字として残り、なぜかベルモンドのほうが外れたようなのだ。
不思議なことに、ここはベルモンドがいなくなるという年表上の流れに対し、整合性が取れている。いや、むしろ本作こそがベルモンドの衰退設定に直接影響を与えているのでは?
ヴェルナンデスの再登場もそうだ。19世紀に複数の対ドラキュラ勢力が登場したとする説明に、キャリー・ヴェルナンデスも含まれているのではないだろうか。
説明書にはないが、「パーフェクトガイド」に気になる記述として、ヴェルナンデスは「サイファを最後に歴史から消える」とあり、キャリーの代に突如復活したイメージであるらしい。サイファが死んでいなくても、ベルモンドに吸収されてヴェルナンデスは消えたというのは自然な流れである。
キャリーはサイファより以前に分かれた傍系が長いこと雌伏していたものか、ベルモンド内部から再度分かれてきた系譜なのではないだろうか。
そして、21世紀にも経緯不明ながらヴェルナンデス家は存続している。ヨーコはキャリーの子孫なのでは?
(キャッスルヴァニア公式攻略ガイド(NTT出版)に掲載された系譜図によると、ヨーコはサイファより前に分かれたヴェルナンデスの子孫ということになっており、ベルモンドの血筋ではないようだ)
シュナイダーも検討してみようか…
ラインハルトは作中で死神から「ベルモンド」と呼ばれる。デス様が分家を見間違えると考えにくいため、シュナイダーはベルモンドの血がモリスよりも強い、または直系と解釈できる。彼の武器は「先祖伝来のムチ」とされているが、これもヴァンパイアキラーとは別系統の鞭とすれば説明はできる。
とにかく、100年設定以外は、その後の後付け設定と合わせてもだいたい説明がつくというか、本作との整合性を考えている印象、かなりある。
やや説明が難しいのがドラキュラの人物像だったりする。グッドエンド展開を知ったうえでのキャリー編のバッドエンドの内容になるが、簡単に言えばドラキュラ様は簡単に嫁を取らない。女子供も平気で殺すドラキュラ様だが、たとえ利用する目的でも気軽に嫁になれとは言わない男なのだ。
ただこれは裏返しとして、ドラキュラ様が嫁として認める人物はそれにふさわしい相手ということである。他作品のドラキュラ様を踏まえずとも、本作単独でもそういうふうにも取れる。本作の冷徹なドラキュラ様だからこそ、ああいう言い方をする相手は限られていて、印象が強い。
あくまで利用目的にも見えるのだが、たまに見せる人間性の部分が出てるようにも見える。
だからか、カップリングで描いてる人も結構いる組み合わせとなっております。
※黙示録の二次創作を探すと驚異的な確率でキャリー・ヴェルナンデスのR-18画像に遭遇するため、注意を要する。
別の記事に書いた通り、IGA氏はKCE東京の月下は亜流作品であり、黙示録のKCE神戸が正史を作ってくれるという意識で作っていたらしい。
なぜこれが逆転してしまったのか、どっちかが本流という意識がコナミのほうにはあったのか、経緯は定かでないが、ジャッジメントにコーネルが出たことからも、IGA氏にもコナミにも作品としての黙示録を消し去る意図がなかったことは明白だ。というかゲームサイドのIGAインタビューでもそんなようなこと言ってる。
ただ現実問題として、黙示録は長いこと復刻されておらず、埋もれている。
これはドラキュラだけの問題でなくコナミの問題でもなく、どこのメーカーも64の復刻をほとんどやってないという明確な背景があるものだ。
コナミは悪魔城のアーカイブ化は割と熱心で、今後Switchオンラインに比較的来そうなタイトルではあるんだけどな…
1844 コーネルは何と戦ったのか
『悪魔城ドラキュラ黙示録外伝』コーネル編は黙示録本編の8年前とされるので、1844年。
さて、よくわからないのはコーネルが作中でドラキュラ復活にはまだ早いと言っていることだ。コーネル編は黙示録本編と異なり、100年で復活する設定に言及がないが、ここは本来の復活には8年早いということなのだろうか、それともリヒターの1790年代から計算して、100年には50年早いということなのだろうか。あるいは数ヵ月、数日早いだけとか?
とにかく、コーネルはドラキュラの復活時期について伝承を知っていたらしく、それと合わないイレギュラーが起きているようだ。この伝承が間違ってるという説もあるかなあ。
実際コーネル編に出てくる「ドラキュラアルティメット」は完全な復活をしたドラキュラではなく、8年後のドラキュラ完全復活をやるための伏線でしかないのだが…このドラキュラアルティメットってのは何だ?
名に反して中途半端に復活したドラキュラというだけなんだろうか(ちなみに、めちゃめちゃ強い)。
中途半端に復活したドラキュラ様がそのまま頑張っちゃダメだったのか。
あるいはこいつは影武者ではないのか?
コーネル編では悪魔城も既に完全復活している。そしてドラキュラアルティメットを倒しても城は崩壊せず、8年後にきっちり壊される。
城が先に復活し、後から復活したドラキュラが倒されると連動して破壊される流れ、他の作品でもみられるパターンだが、城が壊れないまま8年も存続しているのは非常に珍しいケースだ。
本作の城は異例なことに人間も住んでおり、原型になった人間の居城が後から悪魔城化したものと考えられるが、1844年の時点で城内はまごうことなき混沌の産物である。ドラキュラ的なものが復活しつつあることは確かである。
19世紀 シャノアの時代
実は『奪われた刻印』も公式の年表に未掲載だった作品だ。ゲーム中で年代も正確に設定されておらず、ベルモンドも名前は関わるが直接登場しない。歴史上は大きな事件として残らない、まさに外伝的な作品として制作されていると思われる。
年表存在時の公式サイトに本作は掲載されており、更新をサボっていたわけではないと判断する。
本作の年代を特定する情報としては、エクレシアの設立が19世紀初頭となっていて、本作はそれから結構な時間が経過している。20歳のシャノアが幼少時から育てられている、とされる。創始者バーロウは72歳。
これらの年齢を考えると、1810年ごろから可能性があり、遅くとも1860年代までだろう。
なお本作には蓄音機がまだ珍しいものとして出てくるのだが、エジソンが蓄音機を完成させたのは1870年代とのこと。だとすると刻印は19世紀でもかなり後半の作品ということになるが、これはバーロウの年齢から考えると苦しい。
ただこの蓄音機、1700年代にジュストの見つけた家具にも入っていた物品だが、そうした混沌の産物とは扱いが違うようであるので、考慮はしてもいいかもしれない。
エクレシアにあったドラキュラの魂の器は、いつからあったのだろう。エクレシアの目的から考えると創設時からあったと感じだが、時間が経ってから手に入れたのかもしれないので、これの時期は考慮しないでおく。
1897 フィクションと交差するキンシー・モリス
1897年の戦いはVAMPIRE KILLERの設定のみで語られている。
『VAMPIRE KILLER』はシリーズで初めて正確な年代を明記した作品であり、年表成立の祖ともいえる。そして1897年は小説『吸血鬼ドラキュラ』の発刊された年だ(小説には年代設定はない)。
「キンシー・モリス」は原典小説の登場人物から名前を取ったもので、訳によってはクインシー・モリスと表記されている。
1897年の戦いの内容は不明点が多いが、小説と歴史が異なることはわかっている。キンシー以外の小説の登場人物、ヴァン・ヘルシング教授などは悪魔城史では伝えられておらず、セワードとルーシー・ウェステンラに至っては他の年代に現れている。ウェステンラ家の起源も19世紀にあるようなので、戦いに参加していた可能性はあるが。
また北米版の説明書ではキンシー・モリスはこの戦いで命を落としたことになっているが、日本版では特にそういうことはない。ギャラリーオブラビリンスのセリフではジョナサンは会ったことがないようだが、エリック・リカードはキンシーと面識があったようだ。
リカード家もこの戦いには参加していたと思われる。ジャッジメントの描写では、アルカードスピアとはアルカード自身が作ったものであり、エリックの先代以前に渡していたことがわかる。
またアルカード本人も参加していたかもしれない。
1917 再び史実と交差するドラキュラ
『VAMPIRE KILLER』本編は1917年。エリザベート・バートリーは第1次世界大戦(1914~1918)を引き起こしてドラキュラを復活させた。100年に一度復活するという設定はVAMPIRE KILLERにはない。
そのことは別にいいが、説明書ではドラキュラはエリザベート・バートリーの叔父ということになっており、彼女は300年前に処刑された吸血鬼なのだという。
エリザベート・バートリーは実在人物に由来を持つ。史実のバートリ・エルジェベトはドラキュラより少し後の16世紀から17世紀にかけての人物で、ドラキュラのいたトランシルヴァニアと接点を持つ。処刑されたわけではないが幽閉され1614年没。
ただ11世紀から生きている吸血鬼のドラキュラに、16世紀にになって親戚が出てくるというのは、どういう状況なのか…
しかも北米版の説明書ではエリザベートは1421年に吸血鬼と認定されているんだと。ヴラド公もまだ生まれてないはずでは…
彼女は人間だった頃のマティアスの姪なんだろうか。それとも当時の妻のリサの血筋なのだろうか。これはあまり気にしないほうが良さそうな…
マティアスの妻の名前がエリザベータなのは、何か含みがあるのかもしれないけど。
1944 ブローネルと悪魔城
ブローネルが吸血鬼になったきっかけもまた第一次世界大戦だった。
ギャラリーオブラビリンスは第二次世界大戦の最中だが、こちらの戦争はストーリーにはあまり影響していない。言えるのは、この時代の権力者はドラキュラ城への意識が高くないというくらい。
また、VAMPIRE KILLER後にドラキュラが復活しなかったという話はないようだ。100年設定はこの時代には既に忘れられており、ドラキュラも映画のように何度か復活していたと考えられる。
他の作品との関係としては、エリック・リカードは1999年にドラキュラが復活する予言を知っていた。ハンターたちの中では予言は広まりつつあったようだ。日本でノストラダムスの予言が広まるのは70年代だったか…
またアルカードスピアがサブクエストでジョナサンに渡されるほか、キシンの剣であるステラソードもなぜか渡される。リカードは剣技にも長けるようだが、マクシームの系譜にあるのか?
ステラとステラソードは関係ないのか?
1999年の戦い
設定のみが存在するドラキュラ最後の戦い。いつかはゲーム化されることがあるのだろうか。
断片的ながら、幾つかわかっていることはあるが、一つ言えるのはIGA氏ら、コナミを退社した主要スタッフはこのイベントについて詳細な構想を持っていないように見えることだ。だからこの戦いについては、これから誰かが作るのを待つしかない(GoSのストーリーはコナミ社内だけでなく逢空万太とか外部スタッフが関わってる)。
わかっている範囲のことはまとめてもいいだろう。
まずドラキュラはノストラダムスの予言にある恐怖の大王とされている。ということは、予言に示されている7月にドラキュラが復活したのだろう。
そしてドラキュラ城は白馬家の協力で日食に封印された。現実でこの年ヨーロッパで起きた皆既日食は1999年8月11日。
7月に復活したドラキュラは8月まで戦いを続け、そこで倒されたと考えられる。このとき人間の軍隊もドラキュラ城に攻撃を仕掛けていたらしく、2035年にそのときのゾンビが出てくる。
そしてIGAが抜けてン年後、GoSでついに99年のものとされる画像が登場した。
戦いに参加した者は少なくとも4人いた。武器から見て右端がユリウス、左端がアルカードだろう。ユリウス19歳にしては渋すぎる気がするが。
左から2番目の人物は和装で、伝えられている白馬家の人物の可能性が高いが、弥那との血縁関係はわからない。性別も不明。
もう一人は…?
可能性が高いのはヴェルナンデスだろうか。2035年時点でヨーコ・ヴェルナンデスと白馬弥那には面識があり、白馬家とヴェルナンデス家に強い交流があることを示している。おそらく1999年から付き合いが続いているのではないだろうか。
ただ、シルエットだとこの人物はあまりヴェルナンデスっぽくはないかも…この4人で全員なのかもわからない。
ヴェルナンデスが女性ばかりというルールはなかったはずだが、先祖は魔女なので女系っぽくはある。
ところで日食関係でちょっとミスっぽいところがあるんですね…
日食は史実では8月のはずだが、『暁月の円舞曲』の説明書でグラハムの生まれた日は7月となってるんですね。7月に倒して城の切り離し作業に1ヵ月かかった説?
恐怖の大王の影響で日食の日付がずれてる?
まあ、グラハムはドラキュラの生まれ変わりではなく、影響を受けた程度の存在にすぎないようではある。7月でも8月でも大差はないかもしれん。
21世紀前半 ユリウスの行方
ユリウス・ベルモンドはヴァンパイアキラーを城と共に封じ、記憶を失った。以降は「J」を名乗り、ムチなしで退魔士を続けていた。
ユリウスは当初病院に担ぎ込まれたらしく、戦いの参加者が彼を見つけるのは難しくなかったように思われるが、ここは結構な謎だ。ユリウスが記憶を失った理由も正確にはわからない。
アルカードはユリウスを探そうとしなかったのだろうか、それとも行方を知りつつ、記憶を失った彼をそっとしておくことを選んだのだろうか。
いや、むしろアルカードでも見つけられないレベルでJ自身の意思で潜伏していたのではないか?
記憶を失ったユリウスは力は失うことなく、36年間元気にやってたことは確かである。というか説明書に55歳って書いてあるけど自分の年齢は忘れてなかったのかな…
2035年の日食
2035年までには、大した事件はなかったと考えられている。
アルカードが来日し「有角幻也」になったのは蒼真の監視が目的だろう。だが蒼真の存在を知っていたのは政府関係者でもおそらくアルカードだけだ。アルカードの正体を知るヨーコはグラハムがドラキュラの後継者と見ており、蒼真の秘密までは知らなかった。
皆既日食は1999年から2035年までにも世界のどこかでは起きており、2035年のものだけ厳重に警戒していたのは、グラハムが語っている何らかの予言があったようだ。これがノストラダムスの予言かどうかはわからないが、現に蒼真がここにいたことから、でっちあげの予言でないことは確かだ。
アルカードは蒼真のことを隠しながら「2035年の予言」押しで日本政府に入り込んだと考えられる。
2036年の戦い
『蒼月の十字架』に出てくるドラキュラ城っぽい建物はセリアの教団が作り上げたものであり、日食に封印されたドラキュラ城ではない。
ただエリア名には悪魔城という名前が出てくる。うまく魔王を呼べばここに正しい悪魔城を再建できるといったところだろうか。
既存の城がドラキュラ城に変化する事例は過去にもあり、類似の状況と思われる。
旧年表にしか書いてない情報
ここまで意図的に無視してきたが、旧公式サイトの年表には年代以外にも、ゲーム中で確認できない情報がちらほらあった。
- 闇の呪印はドラキュラの復活回数にカウントしていない。
- 1576年の復活にバートリー家が絡んでいるという噂。
- ドラキュラが100年に一度復活するという伝説はクリストファーの代にできた。
- ソレイユは1591年で15歳。
- ドラキュラ伯爵の姪と名乗るエリザベート・バートリー。
エリザベート・バートリーについての情報が多いようだ。実の姪ではない雰囲気を出しているが、実在の人物と生没年が近いとすれば、1576年は確かに時代が近い。
ただそれだけの話であるがな。
エルゴスの設立と事件
ようやく年表になかった新作『悪魔城ドラキュラ Grimoire of souls』に到達した。
年代は不明だが、蒼月の十字架よりは未来だろうと思われる。
この時代の科学レベルはあまり描写されていないが、通信技術については少し言及があり、2020年代から比べて極端な変化はないようだ。
それ以外に年代を特定する描写はないが、西暦10000年代ということはないだろう。
2036年以降に蒼真がどうなったのかは現時点ではわからない。アルカードは今も日本人をやっており、蒼真に問題が起きていないと認識しているものの、その後の動向はよく知らないようだ(無責任な)。
まだ蒼真本人が生きてるくらいの年代のように思えるが、それも定かでない。でもまだ21世紀だろうという気はする。
さて、本作のデス様の行動については、2月のアップデートで進展があった。
今回のデス様の計画は1999年から既に始まっており、この人は完全消滅したドラキュラ様の復活を30年以上あきらめていなかった。
ここで関連してくるのは暁月、蒼月のちょっとした謎、「なぜ死神が敵にいるのか?」である。あれは99年から進めている計画を中断しワンチャン蒼真を魔王にできないかと独自に行動していたと考えることができる。
デス様のメイン計画は特殊なルートでドラキュラを復活させる方法だったわけだが、別のプランも常に模索していたのだ。
またはここで蒼真にわざと支配させることで、メインプランの伏線としたのかもしれない。
2037年の戦いはあったのか?ドラキュラ亡き後の死神
21世紀のデス様について、前に書いた『神淵の追想曲』についてちょっと補足を述べなければならない。
2037年『神淵の追想曲』においては、デス様は蒼真と戦うことはなかった。以前は主がいないときに城が復活したり、教団に召喚されていたせいで自我がなかったとしている。だが、GoSから考えるとデス様は99年からずっと起きており、召喚などされず自分の意思で行動していたと考えなければならないのだ。
また、この小説では城だけ復活したから自分は目覚めたのだろうとしているが、ドラキュラIIや闇の呪印では死神は城も無い状態でも自力で復活しており、気分次第で自由意志の行動もしてきた(威厳ある雰囲気に反して、どうも彼はかなりの気分屋である)。
99年にもユリウスに倒されていると思われるが、GoSの語る通りなら城なき世界ですぐに復活して30年以上ずっと元気にやっていたと考えられる。
確かに彼は自我が感じられない敵として出てくることもあるのだが、1999年以降はそうだと考えにくい。
神淵の追想曲については、残念ながら説明が難しい描写が出てきてしまい、後発のGoSを優先するべきであろうと考える。デス様のドラキュラへの謎の忠誠心、人間に対する独特の距離感を描いたいい話なんですけどね…
なお本記事の年表にこれを掲載していないのは整合性の問題ではなく、本作がゲームではないためです。他にも小説、アニメ、コミック、ゲームブック、ドラマCDなど、いろいろあるのは知っているが、私が把握しきれてないというのもあるし、それらと比べて本作の正史性は少し高いかもしれないが、特別扱いはしないでいいだろうという立場です。
ドラキュラ城の位置と、史実とフィクションのドラキュラ公
ドラキュラ城、または悪魔城は混沌の産物であり、所在地は時代によって変化する(アニメ版ではドラキュラの操作でワープしていたが、ゲームではそこまであからさまな移動はしない)。
わかる範囲でこんな感じ。
年代 | タイトル | 舞台 |
---|---|---|
1450(?) | 漆黒たる前奏曲 | トランシルバニア |
1476 | 悪魔城伝説 | トランシルバニアのはずれ、ワラキア地方 |
1479 | 闇の呪印 | ワラキア地方 |
1576 | ドラキュラ伝説 | トランシルバニア |
1591 | ドラキュラ伝説II | トランシルバニア |
1691 | 悪魔城ドラキュラ | トランシルバニア |
1698 | ドラキュラII | トランシルバニア |
1792 | 血の輪廻 | トランシルバニアと考えられる※ |
1830 | サークルオブザムーン | オーストリア |
1852 | 悪魔城ドラキュラ黙示録 | トランシルバニア、ワラキア地方 |
1917 | VAMPIRE KILLER | ルーマニアのドラキュラ城跡地→イギリス・ホイットビー |
2035 | 暁月の円舞曲 | 日本 |
「トランシルバニア」に存在することが多いが、「ワラキア」のときもある。トランシルバニア内でも年によって移動しているのだが、遠くに行くのは難しいのかもしれない。
トランシルヴァニア公国とワラキア公国はともに過去に実在した国であり、現在はルーマニアの一地方となっている。
だが悪魔城で「トランシルバニアのワラキア地方」になっていることについて、実際の地理上はトランシルヴァニアとワラキアは隣国だ。「トランシルバニアのワラキア地方」というのは、そういう呼び方をされる地域がないとは言い切れない気もするが、通常の表現ではない。
とりあえず、現実準拠で別地域と考えていい気がするのだが。この世界ではトランシルバニアの中にワラキアがあるという説のほうが有力なんだろうか。
『闇の呪印』のみトランシルバニアと書かずワラキアとしているのは、やはり別地域であり、16世紀以降ドラキュラはトランシルバニアに移動したイメージで書かれたものだと想像する。
またベルモンドもドラキュラの復活位置を把握しているのか、トランシルバニアが地元のものが多いのだが、ラルフに限ってはワラキアの外から来ている。この時代には既にベルモンドはトランシルバニアにいたのかもしれない。
ラインハルト・シュナイダーだけは出身もワラキアになっている。
さて、なぜドラキュラ様はワラキアとトランシルバニアを行き来しているのか。ドラキュラ伯爵のモデルとされる史実のヴラド3世はトランシルヴァニアの生まれとされ、時期によってワラキア、モルダヴィア、トランシルヴァニアなど様々なところにいる。ワラキアを三度統治し、最期はワラキア公として戦死したと伝えられている。
だから悪魔城伝説の舞台は、彼の最期の地であるワラキアなのだ。
一方で、小説『吸血鬼ドラキュラ』では、ドラキュラ伯爵の城はトランシルヴァニアに存在する。
フィクションのドラキュラは、ワラキアとあまり結びついていない。悪魔城がトランシルヴァニアに現れるのはこちらを参考にしている。
だが、史実のドラキュラ公は、ワラキアだけでなくトランシルヴァニアとも深い縁があるのだ。
小説のドラキュラ伯爵がヴラド公だという描写はない。ドラキュラはヴラド三世が実際に用いた名前であり、ブラム・ストーカーもその名を見て使用した可能性は高いものの、ヴラド三世自身のことはあまり詳しく知らなかったのだろうとも言われる。
過去に「ドラキュラ将軍」と呼ばれていたという小説のドラキュラ伯爵、これがヴラド公だという裏付けはない。19世紀時点の肩書「伯爵」というのもヴラド公とは無関係だ。
ただ、トルコ国境で戦ったと言われるドラキュラ将軍、全くの別人と言いきれるほどかけ離れてもいないようであるため、人物像は史実と混ざっていき、20世紀のドラキュラ作品ではワラキアを舞台にするものも出てくるようになる。
悪魔城に登場する魔王ドラキュラ伯爵こと「ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ」は史実と小説の両方の要素が混ざった、どちらとも別の人物だ。「ツェペシュ」は史実のドラキュラの本名ではないが、悪魔城ではこれが本名となっている。
またヴラド公と無関係な「伯爵」という肩書は人間時代に受けていたものらしい。
しかも11世紀から生きてるので、そもそも出自が全く違う。妻のリサも、息子のアルカード(アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ)も、史実と対応する人物ではない。
だがそれでも15世紀のドラキュラは、悪魔城伝説の説明書の通り、史実と同じワラキア公だった可能性はある。少なくとも15世紀の時点で吸血鬼としてのドラキュラは知られていなかったらしい(ジャッジメントのサイファの描写)。人間のふりをしていたとみるべきだ。
ところで、漆黒たる前奏曲もトランシルバニアとしてるんですね…
史実のヴラド公は1450年にはモルダヴィアにいたのだが、1451年にトランシルヴァニアに移ったそうだ。
ソニア1450年説は、この史実と関連付けたものかというと、たぶん違うが…
血の輪廻については補足を入れよう。説明書等にはトランシルバニアと書いていないようだが、ステージ1の看板を読むと「オルジバノマチ」とドラキュラIIに出てきた地名が表示される。このことから、本作もトランシルバニアであると考える。
『悪魔城ドラキュラXX』の説明書もトランシルバニアと書いている。
さらにGoSでも1792年の戦いはトランシルバニアだったとしており、確定としていいだろう。(制作発表されているアニメ版の続編では、1792年のフランスが舞台になるらしい)
地理の疑問はVAMPIRE KILLERにもある。ステージ1のドラキュラ城は「ROMANIA」にあるのだが、当時トランシルヴァニアはハンガリーの一部であり、ルーマニアではないようだ。
だがワラキアは既にルーマニアだったようだ。
ゲームで見える地図上ではトランシルヴァニアなのかワラキアなのかあやふやだ(ただし、英語版の説明書ではTransylvaniaになってる)
その前の黙示録もワラキアなのでいい感じだったりもするが、このシリーズの「トランシルバニア」ってやっぱり全部ワラキアなんじゃないかという疑問も出てくる。
なおステージ6の「ホイットビー」も『吸血鬼ドラキュラ』の舞台となる地で、小説に合わせたものである。
サークルオブザムーンだけオーストリアなのは、『吸血鬼カーミラ』の舞台だからのようだ。あれはカーミラの所有する城にドラキュラ様を運んできたのだろう。
なお、私は地理も世界史も超苦手であり、記述に自信が持てない部分が多いのですが、
本記事を書く際に『ドラキュラ伝説 吸血鬼のふるさとをたずねて』(角川選書 1978年)という文献は参考にしています。原書は1972年に書かれたもので、ドラキュラ映画を愛好していたアメリカ人の著者は、当初はドラキュラもトランシルヴァニアも実在の名称とは思っていなかったとのこと。
『悪魔城ドラキュラ』が発売された80年代の日本ではどうだったのでしょう?
訳者あとがきには1976年にルーマニア政府がドラキュラ没後500年祭に名誉回復のキャンペーンを行い、国内のテレビでも取り上げられたことが書かれていますが、どんなもんだったのか現在のネットで調べてもよくわかりませんね…
なお『ドラキュラII』に史実の生没年が出てくるのは既に述べた通りで、『悪魔城伝説』の「ダナスティ」もヴラド公と対立した実在のダネスティ家から来ているようです。『ドラキュラ伝説』のタイトルも含めて、おそらく本書は参考にしてるのではないでしょうか。
関連する史実の年表
年代 | 出来事 |
---|---|
紀元前8世紀ごろ | ギリシャ神話が成立 |
712 | 『古事記』成立。天岩戸について書かれる |
1431 | トランシルヴァニアでヴラド3世が誕生 |
1476 | ワラキア公ヴラド3世が戦死 |
1555年以降 | ノストラダムスの予言集が出版される。恐怖の大王の予言が発表されたのは死後の1568年とのこと |
1611 | バートリ・エルジェベトが裁判にかけられる |
1740~80年代 | サン・ジェルマン伯爵の活動時期(らしい) |
1872年頃 | 『Carmilla』(吸血鬼カーミラ)発表 |
1897 | 『Dracula』(吸血鬼ドラキュラ)刊行 |
1914 | オーストリアのフランツ大公が暗殺される(サラエボ事件)。第一次世界大戦のきっかけとなる。 |
1973 | 『ノストラダムスの大予言』が日本でヒット |
1999年8月11日 | 大西洋からインドまでの範囲で観測された皆既日食。ルーマニアで最大となったという。 |
2035年9月2日 | 日本で皆既日食。 |
もう一度言うが私は歴史は苦手だ。日本史だってよくわからない。オカルトも吸血鬼作品もそんなに詳しくないぞ。
なのに何でこんな年表を作ってる。特にサンジェルマン伯爵とかネットの情報しかないし、この節の精度は他よりだいぶ怪しいことをご了承ください。
古事記だけは少しだけ真面目に調べた。
ギリシャ神話から始める理由だが、レオン・ベルモンドはメディウサを伝説の怪物だと思っていた。おそらくこの世界にもギリシャ神話はあるのだ。実際にメディウサが存在する以上、神話のような出来事も本当にあったのかもしれない。
(神話が体系的に成立したのは紀元前8世紀ごろらしいが、メデューサの起源はもっと前にあると思われる。
ちなみにIGAは「メディウサ」表記にこだわってると言ってたが、悪魔城でもメデューサ表記の作品もある)
時代は飛んで8世紀の日本で書かれたのが『古事記』。白馬家のルーツは朝廷の時代にさかのぼり、天照大神が天岩戸に隠れた件、すなわち日食に対する祈祷を行ったと伝えられているのである。
この天岩戸の伝説は古事記に記載があるということまでは遡れたが、この元になった神話がいつごろ発生したものであるかは私の調査できる範囲を越えているので勘弁してください…
伝説自体は古事記として制定されるより前に原型があるとみられるが、日食に由来する伝説かどうかも定かでない。日食だとしても、伝説が古事記にまとめられた経緯は別で、実際の日食と一致するものかもわからない。
99年の戦いの鍵を握るノストラダムスは16世紀の人物だ。クリストファー・ベルモンドの時代からちょっと前で、特にベルモンドともドラキュラとも接点はなさそうであるが、彼もタイムトラベラーなどから情報を得ていた、あるいは彼自身がタイムトラベラーかもしれない。
この予言が日本に紹介されてブームになったのが1973年。2022年の今では誰も予言など気にしてないわけだが、2035年の普通の高校生の蒼真くんが知ってるのかなりおかしい気がするが…
悪魔城史においてはこの予言は正しく、恐怖の大王であるドラキュラは出現したわけであるが、もしかしたら、一般にも認識できる形で恐怖の大王は出現し、予言が当たったと記憶されてるのだろうか。
『吸血鬼ドラキュラ』が発表されたのは1897年。悪魔城史ではキンシー・モリスの戦いの年となっており、小説として刊行されたという話はないのだが、2035年にはフィクションのドラキュラも知られていることがわかっている。
蒼真の知識だとドラキュラ城はヨーロッパにあり、ドラキュラが吸血鬼なのはフィクションだと思っていた、つまりドラキュラが実在人物だという認識も持っていたようだ。ドラキュラはおそらく歴史上の人物、ワラキア公として、21世紀にはほとんど現実と変わらない経緯で一般に知られている可能性が高い。ドラキュラをモチーフとする映画が作られる裏で、ハンターたちは本物のドラキュラと戦っていたのだ。
サンジェルマンはサン・ジェルマン伯爵がモデルとインタビューで明言されているが、なんで世間でタイムトラベラーということになったのか、そもそも史実でどういう人物なのか、私はオカルトは詳しくないので経緯は知らない。悪魔城世界のサンジェルマンは実際にタイムトラベラーなのだが、しかし18世紀に活動していたかは定かでない。
サラエボ事件についてはVAMPIRE KILLERの設定に出てくるが、説明書ではオーストリア皇太子が暗殺されたとしている。実際の事件で暗殺されたフランツ・フェルディナントは皇位継承者であるが皇帝の弟の息子であり、肩書は「大公」とのこと。
ただ日本語では「皇太子」でも間違いではないっぽい。あまり使わない気はするが。
99年の日食は実際にルーマニアで起きていたそうだ。ひょっとしたらIGAは99年時にリアルタイムでそれを知って、ドラキュラと結びつけるアイデアができたのかな…
1万年後 ガラモスの二度の侵攻
少し言及してきた最初期の年表で『ぼくドラキュラくん』は11797年だったとのこと。
ドラキュラくんは一万年寝ていたということになっており、年表を書いた人がとりあえず月下の1万年後と決めたらしい。旧公式サイトの年表には書いていなかったので、これは削除された設定なのかもしれない。アニバーサリーコレクションでも1万年後と書きつつも外伝扱いということになってる。
でもそういう話はあるようなので仮の数字として書いとく。その後の資料には11797という数字は出てこないのだが、まあ本作の年代が11000でも12000でも大差はなかろう。これこそ適当でいい。
ただし、「11~21世紀から見て1万年程度後」ではあるのだ。
これは『ジャッジメント』に出てきたガラモスの手下「タイムリーパー」が1万年後から来たと言ってるからだ。アルカードに倒されたはずのガラモスは推定11000年代に確かに存在しており、そこではドラキュラくんとの戦いも実際に起きると。
ドラキュラくんとは何者なのだろう。
ドラキュラの息子とされるドラキュラくん自身は、遅くとも21世紀には誕生していると考えられる。
ただ、吸血鬼でも一万年も眠ることは通常ない。
アルカードの覚めることのない永遠の眠りというのは、ドラキュラくんを意識している感じが多少ある。
だが最新の公式見解を見ても、ドラキュラくんはアルカードではない。ドラキュラくんは魔物のボスであり、大魔王であり、死神もそれに従っている。
アルカードならば魔王となることは決してないのだ。
ではドラキュラくんとは誰なのだろう。
ドラキュラの転生した存在が息子と称しているとか…ではない気がする。
ドラキュラの息子が一人だったという話はないので、アルカードの弟なのだろうか。
やはりアルカードのいない世界で生まれたパラレルな存在なのか?
何しろガラモスほどの存在になると、パラレルワールドから干渉していることも十分考えられるため、パラレルだけど肯定されるという異常な解釈も可能と言える。ジャッジメント自体がそのようなゲームだったのではないか。
はっきりしているのは、ガラモスはドラキュラくんが現れるより前からドラキュラと敵対しているということだ。
ドラキュラは魔王であり、人間の敵だが、本人の意思とは別に、他の魔王から世界を守る役目も果たしていると考えられる。
蒼月の十字架で言っていた世界に魔王が必要な理由というのは、こういうことも含まれるかもしれない。
『ロードオブシャドウ2』のドラキュラもまさにそういう立場であり、宿敵サタンがどうもガラモスと同じ位置にいる。
またガラモスは「宇宙帝王」であるともいい、手下にも宇宙人のようなものがいる。ガラモスは地球外から来た魔王だと考えられる。
本シリーズでもレギオンの中身がグラディウスの敵っぽかったり、どうも地球外から干渉している存在は他にもいるのかも…
GB版『ぼくドラキュラくん』は、ファミコン版と同じタイトルだが、ストーリーは続きになっている。こちらにはドラキュラくんに仕える死神が登場しており、たぶん先代から仕えるデス様と同一存在であろう。
21世紀の戦いを経た彼は魔王の代替わりを受け入れ、1万年も主人の目覚めを待ち続けていたのだろう。
14672 新たな魔王と月氏の戦い
ガラモスが撃退されてから3000年前後経過し、地球の様子はすっかり変わり果てていた。数あるコナミ作品の中で『月風魔伝』について言及する理由は複数ある。
はっきり西暦という設定があること。
死門(ザコ敵)がシモン・ベルモンド本人である可能性が否定できないこと。
悪魔城と年代的矛盾がないこと(丁寧につながりを考える必要がないだけ)。
そしてHDに存在することによる。
本作は悪魔城と無関係と言い切れない状況が揃っているため、今回は地続きなものとして考える。
公式な年表には絶対載らんだろうが。
龍骨鬼もまた「魔王」であるとされている。ガラモスの侵攻が失敗したのち、ドラキュラくんもどこかで眠りにつき、どこかから現れたのが現時点で最後の魔王である龍骨鬼。
だが1000年後の続編『GetsuFumaDen: UndyingMoon』では龍骨鬼は1面のボスという格下げを受けている。龍骨鬼も今や尖兵に過ぎず、本当の敵は地獄の奥にいた。
どうやらこの真の敵は、またしても地球外から侵攻してきたものであり、14600年代の地球そのものに何か異変が起きたことが示唆されているのだが…
正式リリースも済んだ2022年3月現在、まだ詳しいことがわかっていない段階。アプデはまだなのか。
新武具:鎖鞭
— GetsuFumaDen: Undying Moon 月風魔伝公式 (@GetsuFumaDen_JP) October 31, 2021
「その複雑な動きは使い手を選ぶも、幼い頃より鍛錬を積み、
一族の者は皆扱えるようになっている。」
鎖鞭の合計5種類が追加されます👇#GetsuFumaDen pic.twitter.com/8mjK969Taa
しかし、こんな武器を使える人間がベルモンドとモリスとモモコ以外にいるのだろうか…
月氏もまた高い身体能力を持つものとされるが、1万年の時を経て名を変えたベルモンドの系譜か、または彼らも宇宙から来た戦闘民族か何かではないのか。
魔王と死神について
来須蒼真は混沌の力を受け継ぐことなく、ドラキュラの次の魔王にはならなかったが、必要なら別の魔王が生まれるようなことを有角は言っていた。魔王とは代替わりするものであるらしい。
おそらくガラモスかドラキュラくんはそうなのだろう。
ではドラキュラの前にも魔王はいたのだろうか?
吸血鬼ヴァルターの城も悪魔城の元になった城とされており(公式攻略ガイドインタビュー)、彼がなんとなく魔王に近い存在だったことはうかがえるが、そこまで強くはなかった気はする。
キャッスルヴァニアのセリフから、死神は当初ヴァルターに協力していたようなのだが、それは演技だったのか途中で裏切ったのか、とにかく彼はマティアスについた。
彼は(日本版では)名の通り神に類する存在であり、ただの魔物ではないのだが、夜の一族に連なっているが故にヴァンパイアキラーも有効である、みたいなことをレオンが言ってた。
…なぜ彼がマティアスに忠誠を誓ったのか、キャッスルヴァニアのモンスター図鑑によるとマティアスが「深紅の石」を持っていたことが理由らしいのだが、ジャッジメントのエンディングを見るにそれだけでもないようだ。
ドラキュラ亡きあとも復活する死神だが、あくまでもドラキュラ個人の部下であり、他の魔物とは一線を画している。
だが彼は個人としてのドラキュラに忠誠を誓うだけでなく、魔王に従う存在でもあることも何となく示されている。次の魔王であるドラキュラくんに従っているのは本人だろうし、またガラモスにはタイムリーパーという別の死神がついている。ドラキュラ以外の魔王が現れれば、死神もそれに従うのだろう。
ベルモンド家の本当のルーツについて
11世紀『キャッスルヴァニア』で明かされたのはヴァンパイアキラーの誕生秘話だけではない。レオン・ベルモンドが鞭を手に入れる前から十分強かったということだ。レオン・ベルモンドがどのように男爵となったのかも定かでなく、本当のルーツは語られていない。
ベルモンド家の人間の戦闘力の高さは鞭とは無関係であり、これは2036年まで一貫している。
彼らは本当に地球の人間なのだろうか。
ベルモンドとは有史以前に宇宙から来た戦闘民族とかではないのか。ひょっとしたらドラキュラより前の魔王とも戦っているかもしれない。
奪われた刻印でもベルモンドの末裔たちがそれぞれ変態的な特殊能力を持っているという異常な描写がされており、なんか根本的に普通と違う人間みたい扱いをしてきたのは確かである。
ヴァンパイアキラーについて
ベルモンドの鞭「ヴァンパイアキラー」も謎な武器で、リナルドはこれをマティアス家(とセリフで言ってるがクロンクビスト家じゃないのか)の書物から得た知識で作り出した。これ自体もどこから来たか定かでないのだ。
皮のムチだったり鎖の鞭だったりするのは謎だが、鞭もまた、気分によって姿が変わる武器だと考えられる。
ベルモンドのムチがヴァンパイアキラーという名が知られるより以前、初代『悪魔城ドラキュラ』の時点で父親から受け継いだものとされているが、MSX版では鎖の鞭(ネメシスの鎖)が明らかに皮のムチと別の鞭だったり短剣でドラキュラと戦ったり、ドラキュラIIでは別の鞭をそのへんで買ったり、アーケード版では拾った剣に持ち替えたり、GoSでさえもようわからんムチが大量に出てきたり、どうもシモンおじいちゃんは先祖伝来のムチにあまりこだわりがない人物だった。
このシモンの数多くの戦いは、ベルモンド自体の強さがあればムチは不要ということをこれ以上なく示しているが、同時にヴァンパイアキラーと同じくらいのムチがそのへんにあるということも意味する。
シモンの85年前の先祖であるソレイユ・ベルモンドの時代にも別のムチがあった。ソレイユのムチとクリストファーのムチ、どっちが高祖ラルフの時代から受け継がれたヴァンパイアキラーなのかわからないが、確実に同等の武器だろう。
「ヴァンパイアキラー」もリナルド以外の作ったものがあったかも…
21世紀 ココロ・ベルモンドの扱い
これを書いている時点で、オトメディウスシリーズについて詳しくは調べきれておりません。舞台は21世紀で、『オトメディウスX』に出てくるココロ・ベルモンドはユリウスの妹みたいな記載があるらしいのだが(未確認)、このシリーズにはマルチバース、パラレルワールドに関する設定が最初からあるため、深く考えなくてよいと思うが…
本作には武装神姫や月風魔伝の要素も本来と違う設定で出ている。ココロは「オトメディウス世界のユリウス」の縁者であり、悪魔城だけつながってると考える必要は特にないはず…しかし、逆に本来の悪魔城側にもココロが存在してもおかしくはないのかな?
彼女はヴァンパイアキラーを持ってないという特徴はあるみたいだ。オリジナルのヴァンパイアキラーは2011年ならユリウスが封印したはずなので、そこは整合性を取ってるようだ。
オトメディウスの公式サイトのアーカイブ
パラレルワールド設定について書いてある。
21世紀? セピア・ベルモンドの扱い
コナミがアーケードで展開しているボンバーマンの派生作『ボンバーガール』は、ボンバーマン以外の旧ハドソンの版権があまり有効活用されない結果コナミワイワイワールドと化しているのだが、そこに比較的初期に投下されたのがヴァンパイアハンターのセピア・ベルモンドだった。
彼女はベルモンドの正統な血筋のシスターであり、鎖の鞭「ヴァンパイアキラー」を使いこなし、ムチと無関係に吸血鬼を凌駕する異常な身体能力を持つ。
本作にはまともなストーリーがなく、twitterに投下されるギャグマンガでストーリーを進行する方式を取っているが、これをネタで終わらせず、幾らか考慮する必要がある。
ボンバーガールの時代設定は稼働時期と全く同じ2010年代末~2020年代のようなのだが(あてにならない公式twitterだと201X年説や2020年説があり、投稿日そのまんま)、オトメディウスと違い、パラレルワールドについての情報が特にない。
それどころか「月風魔伝」「魂斗羅ReBirth」「究極戦隊ダダンダーン」とは明確な接点を持っている。本来2030年代が舞台の「武装神姫」についても何か含みがあるようだが…
※ただし「ときめきメモリアル」やツインビーは整合性を取っているか怪しいところ。
特に『魂斗羅ReBirth』は魂斗羅シリーズ正史に含まれない作品らしいのだが(これもあまり詳しくない)、ボンバーガールはパラレル側の歴史を回収する作品だとすると、これは自由自在だ。
また本作は『月風魔伝』が超未来であるという設定を明確に踏まえており、オトメディウスのように月風魔モチーフのパラレルな人物を出すのではなく、直接つながりがないキャラクターに剣だけを原作と同一のものとして使用させている。
セピア自身の人物像についても、明確にベルモンドの血筋であるが、彼女はドラキュラと戦う使命はないようである。やはりドラキュラは1999年に滅んだのだろう。そこは矛盾がない。
問題となりそうなのはユリウスが持って行ったはずのヴァンパイアキラーだが…
意図は不明だが、シモンのものと材質が違うと最初から書かれている
さらに最近モモコが振り回している姿が目撃された。オリジナルのヴァンパイアキラーの使用はモリスでさえ命を削る必要があったが、こういう描写が出てくるとオリジナルではない可能性が高いと言える。
ボンバーガールは通常ならワイワイワールドと同じく考慮しなくていい作品なのだが、セピアの諸描写について言えるのは、どこまで考えてもパラレル作品という確認が得られないことだ。
たとえパラレルとしても、少なくともユーザーが簡単にパラレルと切り捨てる気にはならない程度に、念入りに設定されているものと考える。
するとセピアに考えられるストーリーは、ドラキュラが既に存在しないからベルモンドは力を持て余してボンバーバトルに参戦したということだ。
ヴァンパイアキラーはユリウスが封じたのとは別のものだからデザインが違う。ユリウスと血筋が近いから同じ技を使う(色即是空、ユリウス式ランニング)
そして、つまりセピアの父親は1999年から行方不明なのでは…
マンガの描写ではユリウスの影響が強いセピアだが、デザインにはソニアの影響があるようだ(三つ編みのほか、レオタードのデザインがかなり類似)
魂斗羅ReBirthと近い案件?
セピアに対する存在として吸血鬼のアクア(レウィシア・アクアブルー)がいるが、悪しき存在ではなく、宿敵と称していることもあるが敵対はしていない。たまにセピアに対抗してドラキュラの扮装をしていることもあるが、彼女の設定に悪魔城要素はなく、名前もボンバーマン側に由来するそうだ。
ただしステージBGMは「アクア城ドラキュラ」。
初期の年表形成過程とIGAについて
何度か述べたが、年表が最初に発表されたのは『漆黒たる前奏曲』を特集した97年のコナミマガジンだと言われている。
この年表自体は、漆黒たる前奏曲のために書かれたものではない可能性が高いと考える。
なぜなら初出とされる年表では肝心のソニア・ベルモンドの年代が1400年前後と曖昧なのである。ソニアの年代を決められない人に、他の人物の年代を決められたと思えない。
憶測だが、既に年表は月下時点でコナミ内部のどこかに存在しており、別の人がソニアだけ付け足したのではないだろうか。
このへんの経緯は海外wikiの記事(Castlevania Timeline)をかなり参考にしたが、ここにも信じていいか怪しい情報もあり、注意を要する。今回は保存されている画像に関しては信じたが…
特にこうした海外サイトも含めて、ネット上を調べるとソース不明の「IGAのものとされる発言」が結構見つかるのだが、これらは何者かの捏造、曲解の可能性も疑われるため、内容の信ぴょう性と無関係に全部無視した。
まあソースがわかる範囲でも、奔放な発言をちょくちょく残してる人ではあるのだが。
成田良悟との対談で語ったところによると、IGA氏はコナミ社内で「後付けの帝王」と呼ばれていたとのことで、実際にコナミ時代の闇の呪印やキャッスルヴァニアのインタビューを見ても、退社後の発言を見ても、氏は年表の空白部分に大した構想は持っておらず、自在に後付けでどんな時代でも埋められるというタイプであることがわかる。
それがいいかどうかは別として。
あまり良くないという自覚もあったかもしれん…